風化する女

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 79
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (156ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163258003

感想・レビュー・書評

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  •  「新しい葡萄酒は新しい革袋に詰めなければならない。」と、扉に記されている。
    これは何を意味しているのか、と考えながら読んだ。けれど考えても明確な答えは出ず、頭の中で考えがぐるぐる回っている。
    それが面白い。
    読み終わってからずっと考えている。
    面白い。

  • 風化する女」、「海行き」、ともに都会での現実的な日常生活から回想とともに旅する。
    孤独死した会社の先輩であるれい子さんを辿る旅、回想を交えての「わたし」の彼女への思いはとても温かく救われる。一方で孤独、死、という言葉がポトンと心に重しが落ちて、また風化というタイトルも切実で。
    「海行き」の女友達2人が男友達に会いに田舎へ帰る旅。学生時代の思い出を語りながら思いながらの場面がとても良い。

    私の昔を知る友達に会いたくなってしまったなぁ。
    ちゃんと私を覚えていてくれているだろうか、なんてしんみりしてしまった。

  • れい子さんは、一人ぼっちで死んでいった。

    会社の、部署は違ったが、互いに昼休みを一人で過ごしているのをきっかけに
    仲良くなった、れい子さんは
    43歳で独身のまま、突然死んでしまった。

    生真面目だけど、仕事が暇なときには、13階の誰にも使われていないトイレで居眠りしたり

    普段は化粧っ気もなく地味なのに、下着は黒や赤のスケスケだったり

    他の会社の子たちが私服の靴はおしゃれな割に、会社の靴はだらしないのを嫌ったり

    よく旅行に訪れていた北海道にいたひげ面の男の人の正体だとか

    誰かに好かれることもなかった、孤独なれい子さんの足跡。

    他短編。学生時代に仲の良かった譲くんとサラちゃんと私。
    「海行き」は、なんだか甘酸っぱくて切ない。

    れい子さんみたいな人は、会社では浮いちゃうだろうなあ。
    それでも惹かれてしまう人柄なんだろうなあ)^o^(

  • 鳥取の羽合(ハワイ)。ほんとにあるんだ。「地下鉄のザジ」ってフランス映画は有名なのか?知らなかった。

  • 飾らないシンプルな文章やリズムは好きだけど登場人物が類型的過ぎる。

    人物の描写も展開ももうすこし大胆な作品のほうが好み。

    どちらかといえば表題作よりも「海行き」が良い。

  • うーん。苦手。...が第一印象。

    会社でお昼を一緒に食べる「れい子さん」の突然の死。特に親しい訳でない主人公が、れい子さんについて、気に留めだして、どういう生活をしていたか何に興味を持っていたかを知って行く話。

    とは言っても探偵の様に積極的に調べるわけでなく、行きがかり上知ってしまったという体裁。また、深く関わろうともしない。あっさりとした小説。

    同時収録の「海行き」。こっちの方が読みやすい。大学時代の友達と別の友達の故郷を訪ねる話。卒業から月日が経ちお互いがバラバラででも何か細い糸で結ばれているというような、淡い感じの話。
    特に面白い!!という話ではない。

  • 第103回文學界新人賞受賞作「風化する女」と「海行き」の2作品を読んだ。
    どちらも、20代後半の目線だなあ、感じだなあ、と思った。たぶん作者もそのくらいの歳なんじゃないだろうか。
    私小説っぽくはない、作者から距離はあるのに、作者が透けて見える、温度のある小説だなと思った。
    特に「海行き」は大学時代の友だちに久しぶりにに会う話で、大学を出たばかりのわたしでもうっすらと予想している距離やさみしさが書かれていて、よかった。

  • 突然亡くなった同僚のれい子さん。
    特別仲がよかったわけでもないけれど、謎が残る彼女の足跡をたどり
    彼女になりきって、写真を頼りに北海道へと始めての一人旅にでる。
    40代独身で死んでしまった同僚。彼女がいなくなっても変わらない日常。
    そんな彼女は毎日何を考えていたのか。
    内容よりもタイトルが衝撃的な作品。
    旅という非日常な世界を通してだけ、自分を解放できていたかもしれない彼女を想い主人公も淡々と思いを馳せる。
    主人公よりも序盤でなくなった彼女のほうが気になる作品。

  • ワタシの読書は非常に偏っているので、偶にCDのジャケ買いの様に書店で知らない著者の本を題名買いしてみることがあり、これもその1冊。『風化する女』は会社が同じ地味な女の人が孤独死し、主人公が別の顔を探してみる話。『海行き』は学生時代サブカル好きだった3人が三十路手前になり、故郷に帰った男友達を女友達2人で訪ねていく話。なんというか、起承転結もなく、淡々としていて、アクもなく、文体は全くなく、ハズレだった。未だにアングラ好きで 60'70'sのメークと服装を愛しているワタシだもの。登場人物に共感出来る訳がない。

  • 2編入っているけど最初のがおもしょかった。賞とったのほうの。

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著者プロフィール

1976年生まれ。2006年、『風化する女』で第102回文學界新人賞を受賞しデビュー。2022年、『あなたに安全な人』で第32回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞。他の著書に、『月食の日』『夜の隅のアトリエ』『まっぷたつの先生』『雪子さんの足音』などがある。


「2023年 『夜のだれかの岸辺』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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