天平冥所図会

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163261508

作品紹介・あらすじ

華やかな外見のすぐ裏で魑魅魍魎が跋扈する平城宮。権謀術数をめぐらす政治抗争に、木っ端役人まで巻き込まれ、無実の罪に問われ、職を追われ、下手すりゃ命まで!?葛木連戸主と和気広虫の共働き夫婦は幽明境を異にして権力悪に立ち向かう!天平時代に花開く、爽快でポップな歴史ファンタジー誕生。

感想・レビュー・書評

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  • 大仏建立の聖武天皇や、遣唐使の吉備真備が活躍した奈良時代の物語。正倉院の宝物リストを作成した役人に名を連ねている、主人公葛木連戸主(かつらぎのむらじへぬし)の目を通して、歴史的事件がドラマチックに展開する痛快歴史ファンタジー。歴史好きにとってもマイナーなこの時代を、もっと知って、好きになって欲しいと切に願う。

  • 最近仏像に興味があって「日本の仏像」という雑誌を講読したり、
     実際に仏像を見に行ったりしているんだが、天平時代のことをもっと
     知りたいと思うようになった。
     この本は、天平時代を舞台にした史実をもとにしたファンタジー。
     一話目の「三笠山」は、聖武天皇の大仏建立の話。
     最初は面白く読み始めたが途中で「怨霊」が出てきてずっこけた。
     読むのやめようかなあ・・と思ったが、二話目の「正倉院」が面白くて
     結局時間はかかったが全部読みことが出来た。
     「正倉院」は、聖武天皇の死後、光明皇后が、夫の思い出の品がそばに
     あると悲しくてならないと大仏殿に収めてしまおうとする話で、結局それ
     らは最終的には正倉院に納められて、その一覧は「国家珍宝帳」となり
     後世に伝えられているのだ。
     「勢多大橋」は、光明皇后の死後、天皇となった孝謙天皇(聖武天皇と
     光明皇后の娘)が看病禅師の道鏡と親密になったことには危機を感じた
     藤原仲麻呂が乱を起こす話。
     「宇佐八幡」は、道鏡が天皇になろうとして偽の神託をでっちあげた話。
     どれも歴史上の人物が個性的なキャラクターで登場してとても面白かっ
     たし、歴史の勉強になった。
     こういう物語で勉強していたら、多少史実と違っていてももっと日本史が
     す~っと頭に入ってきただろうなあ・・とちょっと残念に思う。
     ほかの時代の話もこういう小説で読みたい。

  • 日本史の中で特に好きな天平時代のお話で、とても楽しめました。イラストも可愛い。まさか幽霊絡みだとは思わなくて、こういう歴史小説もあるんだなあと感心します。戸主と広虫夫婦が好きです。あと、日本史で習ったエピソードもちょいちょい載っていて、面白かったです。歴史小説は先ず基本の知識を持って読むべきだなあと、思いました。

  • 天平時代を舞台にした物語。

    葛木戸主は小役人。実在の人物。

    大仏建立や、正倉院に献納する品々の台帳作成、
    藤原仲麻呂の乱、宇佐八幡宮神託事件などに関わります。

    お水取りの話や、道鏡をめぐる神託事件の解釈にはびっくりでした。

    葛木戸主が天に還るときに妻の和気広虫に語ることばに、ちょっとホロリ。

     はっきりわかった。
     やはり、天は懸命に働き、生きる者たちを見捨てない。
     この世は生きるに値する世だと。

    神様の階層構造と、人間の階層構造の認識も興味深かったです。

  • 会話文が多すぎるのか、もろもろの描写が足りないのか・・・。最初は退屈で読むのがとても大変でしたが、後半は多少おもしろくなってきました。
    読中イメージの助けはドラマの「大仏開眼」。

  • ジャケットの可愛らしさが気になり惹かれて、とりあえず読んでみたら面白かった。

    歴史の教科書に載っている事柄を背景に、政治事件に巻き込まれる、役所勤めの共働き夫婦を中心にした小説なのですが、その歴史的な部分を除けば現代的なキャラクター達なので、すごく読みやすいです。なにより、この夫婦が年の差でありながら、お互いを常に思い遣っている心温まるカップルなのも良かったです。

    しかも読めば、大仏建立辺りの歴史知識も自動的に得る事ができるので、もし奈良の東大寺大仏殿など訪れる予定がある方は、一読してから訪れるととても感慨深いと思います。

  • 歴史苦手で・・・。難しい所漢字は流し読み。
    でも内容は解る。「今の言うところの・・・」と説明もあったりで助かりました。
    今旬の?奈良のお話・・・。大仏様って・・・。

  • 会社の近く(竹橋)に和気清麻呂像があった事を思い出しました。

  • 表紙絵の可愛らしさに反して、内容的には結構権力争いに巻き込まれる話だったり。でも、葛木連戸主の性格とほんのり幽霊ファンタジー的な感じが混ざって程よい感じになっていたと思います。ちなみに正倉院の話が一番好き。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、家電メーカー研究者となる。98年『オルガニスト』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。01年『われはフランソワ』で直木賞候補。現在は専業作家として、良質な作品を上梓し続ける。

「2014年 『暴走ボーソー大学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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