夏光

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163263106

感想・レビュー・書評

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  • 顔のパーツがテーマになっている。
    最後のお話がとても面白かった。
    乾ルカさんの作品だなという感じがした。

  • 今まで読んだ乾ルカ作品の中ではこれが一番好き。郷愁、哀別が美しく描かれている。

  • 哲彦が疎開先の漁村で出会った少年・喬史の顔の左半分を覆う真っ黒な痣。
    村人たちはそれをスナメリの祟りと忌み嫌うが、痣に埋もれた喬史の左目にはもっと恐ろしい秘密があった―。
    (アマゾンより引用)

    表題作は結局、喬史くんも死んじゃうってこと?

  • タイトルの「夏光」を含む6話の少し不思議でかなり重いお話を集めた短編集。どれも目、口、耳、歯など身体の1パーツをテーマにしている。

    作者·乾ルカのデビュー作らしい。これがデビュー作!!とびっくりするくらいの完成度、どの話も暗く悲しく重たいのに描写がとても美しくてグイグイひきこまれてしまう。

  • 2016.7.20 読了


    なんというか。。。
    乾ルカ ワールド!でした。

    短編集で、どの話も全く別の話なんですが、
    どの話も なんというか。。。な読後感。

    「夏光」は 切なかった。
    てか、それを言うなら、どれもか??


    この作者さん ほんと独特。
    けど、嫌いじゃないです。。。

  • 五感や受容器官をテーマにした短編集。
    受賞した表題作は、やはりうまい。読者をうまくミスリードさせて、最後の最後でオチに気が付かせる。
    いかに書きこむかより、いかに書かずに読者にわからせるか、が大事だなと思わされた。
    表現が独特で、作者自身の言葉を使っているのもいい。
    やや現実離れして大袈裟な部分もあるが、それがかえって大きなものを表現しているように思った。ちょっとやりすぎでは、と思いつつ泣いてしまった。筆力に脱帽。

  • ライトノベルかホラーか…カテゴリーが微妙。古き良き昭和のテイストで繰り広げられるホラーな味の短編集。まぁまぁ面白かった。表題作の「夏光」、死にゆく人を見ると瞳に怪しい光を帯びる友人を持った少年が主人公。これが一番印象に残ったかな。

  • 最初の話がほんとに悲しくて、胸が詰まった。
    戦争は、敵国と自国はもちろんだけど、自国の中でも疎開先の人と疎開してくる人等、対相手を作って対立せざるを得ない悲しさ。

  • 乾ルカ初読。

    きっかけは雑誌で『蜜姫村』が紹介されてて、図書館に行ったらこちらがあったため借りてみた。

    最初はなんだかうまく世界に入っていけなくて、2話目の『夜鷹の朝』でいったん断念。
    でもそれから数日後、また図書館でふと手に取り立ち読みしてみたら、なぜかするすると入ってきた。

    一気読みで読了。
    1回目と2回目の違いはわからない。
    でも面白かった。すごく面白かった。
    全てのお話が自分の読みからはずれた形で進んで終わる。
    ぐっと引き込まれているうちにページが終わってしまった感じだった。

    1話目の『夏光』は2回目読んで少し泣いた。
    「あんなラストにするなんて」という人もいるようだけど、きらきらと輝く美しい瞳で見た世界が、どんなに冷え冷えとして恐ろしいものだったのか、
    命が残り少ないだろう親友のために、ぎりぎりの時間内でできることをしようとした彼の想いを想像すると、涙を流さずにはいられなかった。

  • 第一部 め・くち・みみ
    ◆夏光・・・哲彦が疎開先の村で仲良くなった喬史の顔の左側には大きなアザがあった。大人達はみな、そのアザは喬史の母親がスナメリの肉を食べてしまった祟りなのだと忌み嫌う。
    ◆夜鷹の朝・・・療養のために教授の口利きで桑田家にやってきた石黒。奥様と女中が迎えてくれたのだが、もう一人、石黒には14,5歳の愛くるしい少女の姿が見えたのだが・・・。
    ◆百焰(もものほむら)・・・自分とは違って皆から愛され、ちやほやされ、早くに嫁ぎ先も決まった妹のマチ。彼女が憎らしくてしょうがない私は、誰にも見つからないように蝋燭を灯し続ける。これを100本燃やし尽くすことができれば、彼女に厄を押し付けることができるのだ。
    第二部 は・みみ・はな
    ◆は・・・友人の熊埜御堂(くまのみどう)に自宅に誘われた長谷川。目の前の鍋は確かにすごくおいしいのだが、なぜこんなに食べれば食べる程、飢餓感に襲われるのだろう?
    ◆Out of This World・・・タクが頭を傾けたり回したりすると、からりころりと音がする。マコトとアキヒコはなぜそんな音が鳴るのかわからない。父親仕込みのマジックなのか?でもそれにしたって、宙に浮いているのは―!?
    ◆風、檸檬、冬の終わり・・・末期がんに侵されている初枝さんのお世話をしている私は、彼女からする匂いで思い出すことがあった。かつて人身売買に関わっていた時に出会ったあの子のことを。

    以上6編の短編集。表題作は第86回オール讀物新人賞受賞作。第一部は昔の時代、第二部は現代が舞台で、ノスタルジックな雰囲気漂うホラーが多い。

     朱川湊人や恒川光太郎とちょっと雰囲気似てるかも。特にこれ!といった作品は無かったけれど、少し切なさが漂う「夜鷹の朝」や「百焰」は印象に残っている。

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著者プロフィール

乾ルカ
一九七〇年北海道生まれ。二〇〇六年、「夏光」でオール讀物新人賞を受賞。一〇年『あの日にかえりたい』で直木賞候補、『メグル』で大藪春彦賞候補。映像化された『てふてふ荘へようこそ』ほか、『向かい風で飛べ!』『龍神の子どもたち』など著書多数。8作家による競作プロジェクト「螺旋」では昭和前期を担当し『コイコワレ』を執筆。近著の青春群像劇『おまえなんかに会いたくない』『水底のスピカ』が話題となる。

「2022年 『コイコワレ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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