私の男

  • 4290人登録
  • 3.57評価
    • (452)
    • (679)
    • (879)
    • (190)
    • (58)
  • 943レビュー
著者 : 桜庭一樹
  • ¥ 1,550
  • 文藝春秋 (2007年10月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163264301

私の男の感想・レビュー・書評

  • カテゴリ化するのは無粋な話だけれども、ヒロインは綾波レイ的な何かだよなぁ、という雑感。処女に母性を持たせる聖母性ほど淫心を擽られることはない。
    エログロナンセンス三拍子揃えて勢いで読ませる筆力、薄い本と言われる界隈で好まれそうな題材を山盛りにし破綻させずに多視点(この辺りも薄い本らしさがある)及び逆順時系列を使い纏め上げる構成力、文章内の比喩表現が美しく湿度の高さを見事に表現していて、すばらしいと思う。

    ところでナンセンスはどこにあるのかというと。
    もうそもそも冒頭の結婚が成立してしまうところやら、押入れの中身の腐乱を考えないところやら、(能力についての言い訳はあるにせよ)「目を見ればわかる」やら。現実的に考えたらそこはどうなの? あ、でもこの物語にリアリティは必要ない部分なんで削ったんですねわかります、としか納得出来ない部分。無理やりそう自分に言い聞かせても、喉に刺さった魚の小骨のように、世界に浸る邪魔をしてくれたけれど。

    全体的に文章がひどく官能的。男の手の乾燥した様や唾液の粘度の高さや乾燥した愛液など、水まわりの表現にくどいほど気を遣っているせいだろう。若干しつこく感じる程であるが、でもそこがまた滴るようですばらしい。エロスに湿り気は必須なのである。
    でもこれだけエロ描写が卓絶していても、この小説は官能小説ではないのである……不思議だなぁ。

    文庫版の表紙絵を見かけたけれど、"男"の両目は色のないマーガレットのような”花”で、干からびたような無骨な手だけが色を持っている。やはり男の手は強烈に意識に残るものとして作中に描かれているのだろう。

  • はじめの章から順に読んでいくより最終章から逆順に読んだときの方が二人の別れがせつなく胸に迫った。

  • 書き出しがぞくっとした。
    引き込まれてぐいぐい呼んでいった。あの物語を描ききる筆力は流石だと思う。

    罪の匂いが甘い香りのように見えた。物語全体がねっとりとした暗さに覆われていて、だけどそこが作品の美しさの根底にある感じがした。

    いくつか残された謎があったが、作品の面白さは申し分ないと思う。

  • 父と秘密と関係をもつ女性の話。

  • なんだ?この終わりは?

  • 読了2回目

    こんな終わり方だったっけ?

    物語は現在から過去に向かって進んでいく。

    間違ったことをしていた2人なのに、最後に幸せな結婚が出来た花は良かったと思うけど、安定した海上保安官の立場を捨てて、どんどん荒んでいった淳悟はどうなったんだろう。

    結末はこれが一番良かったんだろうけど、なぜだか花にはお父さんから離れないで欲しかったかも。

  • 親子間のタブー愛という先入観を持って読んでみたが、これは真の愛の物語と思う。そして人の心はいつまでも同じ所にとどまることができず二人は父として年頃の女性として離れて生きるのを選んだ。それが話の結末。すごくいいエンディングだと思った。明るい未来がありそうでないような終わり方。
    全てを受け入れてくれる、愛してくれる人は異性、同姓、親子とか関係ないのです。そういう人に出会っただけで充分ラッキーと思う。25才の淳吾は9才の花に救いを求めて花は、それを受け入れた。その場面は切なくて涙が出そうだった。タブーであるけど、そういう愛もあるかも。。

  • 個人的に苦手な作風だったが、なんとか読み進められた。センセーショナルと言われればセンセーショナル。これが映画化されたとは…!

  • ぐいぐい引き込まれた。
    全体的にじっとりと湿った雰囲気の描写で、ねっとりとして歪んでいる。
    読み進むたびに吐き気と嫌悪感を感じながらも、どこか惹きつけるものがあり最後まで一気に読んでしまった。

  • 怖いくらいに凄い。

  • ドキドキしながら引込まれて読んだけれど、結局近親相姦。気持ち悪い。淳悟最低。

  • 凄く評価はわかれるだろうけど、
    わたし的には久々に刺さった。
    読まない間も気になって、気になって、
    映画の登場人物を見て読んだらハマっててさらに進んだ。
    母が憎くて、でも認められたかった。
    「ものすごく、さびしい。…たえられない」
    からのくだりがすごく理解できた。
    一本線だけの固執が分かる気がした。
    私は生物学上の父には死んで欲しいので父子関係としては憧れないけども

  • 近親相姦の話に運ぶための人物描写が薄く、共感できない。
    なぜ、そのような運びになるのか理由を深く読む部分が少ないので、近親相姦を描きたいために簡単に取って付けたような浅い話に感じた。
    内容がドロドロして深いなら、それを説得させる背景を読み解かないと、単なるエロリズムで後味悪い読み方になる。
    女性と男性のそれぞれの生い立ちや、エピソードを盛り込めば、「だからこの2人はこうなったんだ~」と共感できるかもしれないのにな~。
    もったいないな~。

  • 愛執とか曲がった愛とかそんな言葉で片付けられがちな話だけど好きだなーこの本。流氷から海に突き落とされてだれもあがってこれないってかんじで、でも淳悟は浅野忠信じゃないって!!

  • 描写は美しくて良いんだけど。
    自分自身父子家庭育ちだからか、父子モノは共感出来んと言うか抵抗がw

  • 逃れられない宿命の愛
    こんなにも苦しくて幸せな愛ってあるんだろうかと思う 重たくて、苦しくて、でも離れられなくて…
    テーマは近親相姦なのに、作者の筆力と、現代から過去に遡るという新鮮な展開であっという間に世界観に引き込まれた

  • 北海道の人が関西弁のような言葉を使うところに、ものすごく違和感。
    どのキャラにも共感できなかった。自分語りに重点が置かれてて、そのキャラの本質が見えないというか。
    近親相姦という重いテーマを軽い気持ちで物語にしてしまった感じ。
    しかし、桜庭さんの作品は他に良いのがたくさんあるのに、なんでこれが直木賞。

  • とにかくドロドロしてるし性的描写多めで、しかも父娘の禁断の愛なので、生理的に受け付けない方も多そう。淳吾の花への執着心に何となく共感。たった一人の肉親であり、たった一人の恋人。面白かったけどあまり再読しようとは思わない、、、

  • なかなか良い。20150116読了

  • ここ十年で一番。素晴らしい。

  • 同じ血が流れる、それはわたしの父で、わたしの男である。

    2008年、真っ当な過程で育った男と結婚することになり、花と養父との別れ。
    2005年、惹かれる雰囲気を漂わせる花と恐怖をもらたす養父の家で美郎が見た、見開かれた眼球の窪みを持つ死体。

    2000年、過去の真実を暴くためにやってきた田岡を、いともたやすく殺した淳悟。
    2000年、北で、父娘の秘密を知られたことで大塩のじいさんを殺してしまった花。

    1996年、恋人だった淳悟を得体の知れない小娘に取られた小町が見た父娘の異常さ。
    1993年、震災孤児となった花が、淳悟と出会い共に生活をするまで。

    大好きでずっと一緒にいたくてだけど逃げたくて
    離れたくなくて苦しくてでも、傍にいたかった父、淳悟と花の歪んでしまった愛情と希望と後悔。

    未来から過去へと話は進んでいくよ~。
    結局淳悟が16歳のときに花のお母さんと関係を持って、花が生まれてきて
    震災で孤児になった花と再び再会し、養子縁組の末に父娘からの~近親相姦な関係からの~殺人~。

    押入れに死体入っているとかなんかトラウマになったw
    砂糖菓子の弾丸とちょっと似てたね。

    東京で花が働くようになって、淳悟はニートで、毎日後悔しているってところが印象的。
    淳悟はどこに行っちゃったんだろ~?)^o^(

  • 花が結婚するところからは話は始まり、章が進むごとに物語の時代は遡って行く。

    最終章では、花が地震に遭遇して家族の中で一人助かり、遠い親戚の淳悟に引き取られ、養女となる。
    二人の間に通う、密やかな愛の物語の始まりで物語は終わる。

  • 章を追う事に過去へと進んでいく物語。
    すっきりとしない終わり方が桜庭氏らしい。
    二人の関係は好き嫌い分かれそうだが、ある意味素敵な形なのかもしれない。

全943件中 1 - 25件を表示

私の男に関連するまとめ

私の男を本棚に登録しているひと

私の男を本棚に「読みたい」で登録しているひと

私の男を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

私の男を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

私の男を本棚に「積読」で登録しているひと

いま、この本が売れています

ブクログのランキングをチェックしよう!

電子書籍

南洋と私

寺尾 紗穂

70年目の夏にすぽっと適所を見つけて大きな弧を描いて飛んできたような本

戦後70年目に様々な本が出版されておりますが、この寺尾紗穂「南洋と私」の装幀の凛とした佇まいはおそらくこの夏一番美しい本ではないかと思い、書影画像だとわからないかと思いますが、通常の単行本よりも背丈も低くて、とてもチャーミングですらあります。中島敦から始まる「南洋」への探査から、エッセイ調でありながら忘れ去られた「帝国と南洋」を丹念にフィールドワークし日本統治時代を知る古老たちから様々な挿話を切り取ります。戦後ある時期から、まことしやかに語られた東南アジアの人々は「親日」という逸話はあくまでステレオタイプにすぎない事実を掘り下げていく手際において、著者の誠実な人柄なのか、深い贖罪が満ちているようです。この70年目の8月は唐突な秋の陽気で去りましたが残暑も厳しい9月に改めての「夏の読書」としていかがでしょうか。なお著者の寺尾紗穂さんは現在シンガーソングライターとしても活躍されています。

本の詳細&レビューを読む»