- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163264509
感想・レビュー・書評
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明治時代を舞台にした短編集。どれも主となるのは女性である。
商家から武家に嫁ぎ、倒幕後は生活のため、へび屋(薬として焼いたものや粉末を売る)を始めたひと。
アメリカ人の軍事顧問に、人身御供のように嫁がせられたひと。
芸者から政治家の妻になったひと。
髪結い見習いから、見込まれてドイツ人教師の妻となったひと。
どうにもならない理不尽な流れの中、飲み込まれるひと、必死であらがうひと、逆らわず流れて行き自分の居場所を見つけるひと。
戦い方や落とし前のつけ方はそれぞれだが、どれも一本筋を通そうとする、凛とした感じがある。
こういうのを大和撫子と言うのだろうな…。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
明治維新直後の東京を舞台に、時代の波に翻弄されつつ、雄雄しく立ち向かった女たちの短編集。これまでの価値観と生活基盤が瓦解し、その中で生きていかなければ、と自分を励ます女たちがけなげで、したたかで、哀れで…。維新の英雄たちの素顔が、あまりに成り上り者然としていたり、人非人と言えるほど身勝手に冷たかったり。男尊女卑がまかり通っていた明治の男だし、幕末の理想に燃える心は真実でも急に手にした権力は嬉しかっただろうし、と思うと、さもありなん、と思ったり、いや、いくらなんでもそれはあんまりだろう、と思ったり。
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小樽発。江戸幕府瓦解後の明治初期を描く蜂谷涼の連作短編書き下ろし。薩長藩士が無茶苦茶悪人扱いされて、薩長関係者は、気分悪いかも