荒野

著者 : 桜庭一樹

• 文藝春秋 (2008年5月28日発売)

感想・レビュー・書評

[fujino8823さんの感想 · 2013年1月31日]

少女の感情がすごく生々しくて、昔の自分を思い出して時々直視できなくなるくらいリアルだった。
荒野の家族構成や生い立ちは多少変わっているけれどもここに描かれる少女の感情は多くの人が共有することができるものだと思う。
個人的には働いている女性におすすめ。現実から離れて過去を振り返るのにすごくいい素材が至るところに隠れているので、自分の過去に脱線しながらちょこちょこ読みたい本。

[もちさんの感想 · 2012年12月26日]

読んでいる途中、とてももどかしく感じる。読む側のこちらも、荒野や周りの登場人物たちと一緒に悶えたくなる。荒野は色々なことを感じながら、それでも経験の中でひとつずつ、知っていく。少女から大人の女、という意識に変わっていく過程が詳細に書かれている。

[takosukeさんの感想 · 2012年12月23日]

もう荒野が可愛い。そりゃパパも黒猫ちゃんって呼んじゃうよねって思いました。
パパと荒野の関係は、父と娘を描いた桜庭作品の中で一番好きです。この「荒野」って作品自体も一番好きかも。荒野のパパは娘を溺愛しているけど、父であり、小説家であり、男であるわけです。女のことは小説にするけど、荒野のことは小説にしない。一線を越えない信念が良いですね。
パパの周りと取り巻く女たちもみんな素敵でした。どいつもこいつも良くも悪くも女でした。醜い部分をさらしてる人もいたけど、そこまでさせるパパってすごい魅力的なんだろうなぁ。
そんなパパや周りの女たちに囲まれて少女から女へ成長していく荒野の姿が、爽やかで甘酸っぱい気分にさせてくれました。

[奈緒さんの感想 · 2012年11月21日]

今日の昼休み、３年生の女子が「今日、おせち作った」と嬉しそうに報告してくれました。
「そうなん？上手に作れた？」と聞くと携帯で撮った写真を見せてくれながら、いろいろと説明してくれました。
「本当はお雑煮作りたかったんやけど、違うの担当になった」
違う生徒が話しかけてきて閲覧室の方に行き、カウンターに戻ると、先ほどの女子と２年生の男子が外の廊下で何やらしています。
のぞくと、パックに入ったおせちの残りを男の子が立ったまま、食べています。
私が「美味しい？」と聞くと
「はい。美味しいです」と男の子。
なかなか微笑ましい光景でした。

今日の図書紹介は、桜庭一樹著「荒野」

　一人の女の子の中学入学式から場面が始まります。

幼い少女が少しずつ大人になっていきます。
お父さんの妻、恋人、そして自分自身の初恋と向き合いながら。

主人公の少女がとても可愛く魅力的です。
ただ、このお父さんが、少し悪くて100％のお薦めはしていません。
生徒から聞かれると、ちょっと大人の世界がでてくるけど、大丈夫かな？と軽く聞きながら手渡しています。
でも皆、大丈夫そうです。

[orientarunekoさんの感想 · 2012年11月5日]

父親の再婚相手の連れ子（同級生男子）がツンケンしてて「嫌われてるのかな？」と思う荒野。
ひとりだけ、離れに部屋をもらって（隔離されて）一緒に住んでいるのだかいないのだかわからない男の子。
そして

「すごく、悪い事なんだ……！」

の、シーンは、正直、萌え。

なんだかふわふわしていて、でも情熱的な時間が切り取られている。
読んだ後はなんだか満ち足りた気分。

[めさんの感想 · 2012年11月5日]

ねぇ、恋ってなあに？
優しい他人。
女の脂。でも肌は乾いている。

でも、もう子供じゃないから。


おかえり。

[イトユリさんの感想 · 2012年11月2日]

恋愛小説家の父をもつ少女、まだ大人ではない。
荒野を目指す青年との出会いと未来は。

[katujityudokuさんの感想 · 2012年10月21日]

和三盆。そんな感じの甘さ、柔らかさ、佇まい。

[そら *さんの感想 · 2012年10月15日]

2012.10．15　読了。



第一部
鎌倉で、蜻蛉のような恋愛小説家の

父を持つ山野内荒野、十二歳。大人以前。

中学校入学の日、閉まる電車のドアに

制服を挟まれた荒野は、文庫本を熱心に

読んでいた少年に助けられた。


文庫少年と同じクラスになるが、

荒野の名前を聞いた途端、なぜか冷たい目で睨む。

大人びた美人の江里華、

活発な麻美という友達もできた荒野。

ようやく恋らしきなにかを

つかまえたとともに、身近な大人たちの

暗く熱く湿った感情にも気付き始める。


第二部

荒野、十三歳。大人になるすこし前。

荒野が心を寄せる相手は遠く海を渡ってしまい、

たまに届く手紙を楽しみにしている。

女の子も男の子も恋の話題に敏感で、

カップルもちらほら成立する。

しつこいニキビに悩まされる荒野は

男子と話すのも苦手だったが、

そんな荒野に好意を寄せる男子もあらわれた。

義母の蓉子さんが妊娠し、家の中も空気もとろりと変化していく。


第三部

荒野、十五歳。荒野の想い人、悠也は

海の向こうから戻ってきて東京の高校へ進学。

麻美は年上の新しい彼氏と付き合い始め、

美しき江里華は孤高を貫いている。

荒野には妹が誕生し、今まであんなに

女の気配で満ちていた家の中が

不思議なほど静けさに満ちていた。

そんなころ、父・正慶の本「涙橋」が

恋愛小説に贈られる賞の候補になるが、

その中で描かれていた女というのは……。

荒野、子供から大人へ。時は流れた――。



(文藝春秋から引用)


主人公の荒野がとてもとても可愛らしい。


荒野が１２歳から１６歳までの

成長が描かれた作品。


文章をとても丁寧に書いている作家さんなので

他の作品も読んで見たいと思います＊＊

私、このような作風の作家さん結構好き。



直木賞を受賞されたこともある

作家さんなんですよ＾＾

[sheep1110さんの感想 · 2012年10月15日]

12/10/13

著者プロフィール

1971年島根県生まれ。99年、ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー。2007年『赤朽葉家の伝説』で日本推理作家協会賞、08年『私の男』で直木賞を受賞。著書『少女を埋める』他多数

「2023年 『彼女が言わなかったすべてのこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」