兄弟 下 《開放経済篇》

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163271705

作品紹介・あらすじ

問題児だった弟は、商機をみつけ大富豪に。実直だった兄は、職を失い落ちぶれる。処女膜美人コンテストに豊胸クリーム行商。欲が欲をよぶ開放経済の荒野の果てに、兄と弟がみたものは。

感想・レビュー・書評

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  • Not a masterpiece but the storytelling was really good

  • 文革期の悲惨な境遇を経て、改革開放~現在を兄弟がそれぞれ生きていく。主人公などエネルギーのある物語で、町の人々の描写も面白い。

  • 文革も過ぎ去り今度は開放経済へと向かう世の中、成長した二人の兄弟は働き始める。結婚、仕事商売に奔走する。特に破天荒な弟李光頭の転んでもタダでは起きないタフな性格と商才に驚き呆れた。また兄の優しすぎ李不器用な愛に涙が止まらなかった。

  • やはり大陸の欲望の方が商売上手だとと改めて感じた。

  •  文革編は体制に翻弄される兄弟とその両親等の姿が描かれていた。下巻の開放経済編では、兄と弟の生き方たをはじめとする周辺人物の行き方の違いで、その繁栄と衰退、葛藤が描かれている。
     兄弟の葛藤は、発展経済を背景としたコントラストの明暗がはっきり描かれている。おそらく日本の戦後でも同様なことが起こっていたのだろう。自営業で成り上がっていく者と勤め人(サラリーマン)のそれぞれの悲哀、戦後日本にも共通するものを感じる。
     淡々と語られる物語に引き込まれてしまった。大型連休(GW10連休)の始めに引き込まれてしまった。

  • 無論下巻も同様。とりわけ今の中国の発展のすさまじさと個人史が、タペストリーのように複雑に織り込まれていて、読んでいててもまったく飽きないどころか、まるでフェラーリか何かに乗りながら、中国史を見物しているような、今までにない衝撃を感じられる。すごすぎ。

  • 文革編だけでもダメ、開放経済以降だけでもダメ。両方の時代を知らなければ「中国は、、、中国人とは」と、言ってはいけない。上下巻と通じてリアルな中国を表現できた名作だと思う。文革ものはこれからも読んでいきたい。あと中国人作家の興味も少し湧いたので翻訳ものをこれからも探して読んでみたいと思う。

  • まるで中国版の百年の孤独のようだ。
    幼くして孤児となった兄弟の文革後の二人の人生を軸に語られる。
    子供のときから公衆の面前で自慰行為にふけっていた精力絶倫オトコの李光頭は欲望の赴くままにビジネスを行い大成功。
    一方寡黙な文学少年であった宋鋼は仕事も失い、健康も害し落ちぶれていく。中国で発表後、この小説はその俗悪さが問題となったそうである。、「活きる」のような拡張の高さもなく、欲望に端を発するエピソードがこれでもかこれでもかと繰り返される開放経済編は論争を引き起こすにたる代物だ。
     社会の分析にたけ商才もある李光頭は大富豪となり、ただまじめなだけの宋鋼の振る舞いは読んでいて歯がゆいほどのだめ男ぶり。
     村一番の美女はその高潔さから宋鋼と結婚するが、やがて破綻李光頭と寝る女となる。お金にはまける。美人には負ける。美人もお金には負ける。お金があるというだけでえらそうに振舞う。お金があれば政府も肯く。
    マスコミも批判力がなく、お金にはまける。
    お金お金と欲望のままに突き進んだ李光頭が思い描くのはもっとも貧しかったころ宋鋼のつくってくれたご飯なのであった。
    変動する社会の中でうごめく中国人民のにおいがリアルに感じられる本。

  • 它依舊是BL小說 雖然是經濟開放篇 當年作者的人物訪談我也看了些 他自己也想不到會大賣

  • 上巻は悲劇の間に笑い、下巻は喜劇の間に哀しみの物語である。

    品のない三文小説のようでもあり、涙を誘う筆力もあり、中国と中国人を様々な角度度から表現しているようでもある。

    読み出したら止められない力作。

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著者プロフィール

1960年中国浙江省杭州生まれ。両親の職場の病院内で、人の死を身近に感じながら育つ。幼少期に文化大革命を経験。89年には文学創作を学んでいた北京で天安門事件に遭遇した。80年代中頃から実験的手法による中短篇作品で「先鋒派」作家の一人として注目を浴び、91年『雨に呼ぶ声』(アストラハウス)で長篇デビュー。92年発表の『活きる』(中央公論新社)が張芸謀(チャン・イーモウ)監督により映画化されて話題を呼ぶ。本作『兄弟』は中国で05年に上巻、06年に下巻が発表され、またたくまにベストセラーとなった。他の長篇作品に95年『血を売る男』、17年『死者たちの七日間』(いずれも河出書房新社)、21年『文城』(未邦訳)がある。グランザネ・カブール賞(イタリア)、フランス芸術文化勲章「シュヴァリエ」受賞。作品は全世界で2000万部以上、40以上の言語に翻訳されており、ノーベル賞関係者が中国で必ず面会する作家のひとり。

「2021年 『兄弟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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