W/F ダブル・ファンタジー

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著者 : 村山由佳
制作 : 久留 幸子 
  • 文藝春秋 (2009年1月8日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163275307

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W/F ダブル・ファンタジーの感想・レビュー・書評

  •  なぜこんなに経ってから読んだのだと思った。けれどこの本がでたころ、
    いろいろ大変で本を読む気持ちから離れていた。
    もしそのころに読んでいたら、こんなふうに全身で切なく、寂しく、
    心に沁みている感じに気が付けなかっただろう。

     ああ、どうして・・・と読み終えて思った。
     これだけ男性がそばにきて、抱かれても”ひとり”なのだ。何をどうしても満たされない”独り感”。
     先輩とずっと過ごしていくのかと思っていた。大林の誘いに「やめてやめて!」と叫んだ。
    会っても尚「そのまま帰って!」と願った。
     まさか大林を選ぼうとは。
     大林も本気なセリフをはいていたけれど、何をもって信じればいいのだ。

     先輩からの最後のメールも切ない。
    でもこのなかで一番切ないのは奈津だった。

     普通には到底できないつきあいをしながらも、なぜだかあきれたり悪く思ったりしなかった。

     涙がでそうででなかった。
     切なくて哀しくてどうしようもなかった。
     厚い一冊まるごと、自然にいろんな感情が寄せてくる。

     志澤、最悪!と怒っていたことがいつのまにか消えたラストだった。

  • すごい、の一言に尽きる。
    一気に読んでしまった。最初志澤との情事があまりにも気持ち悪いので読むの辞めようかとも思ったが朝方だというのに一気にこうして読んでしまった。
    村山さんの本は天使の卵、天使の梯子、星々の舟しか読んだことありませんでしたがどうも好きになれなかった。だけどこの作品を読んでだいぶ見方が変わりました。
    奈津のあの欲の強さ、女として、目を奪われた。
    男の書き方も素晴らしい。大林の出現により岩井が変わる描写とか素晴らしすぎて鳥肌たった。
    中央公論文芸賞、島清い恋愛文芸賞、柴田錬三郎賞の三冠しただけある作品。

  • こんなにも共感した本は初めて。想像力が豊かなところ。親との確執。
    自分は変なのかもしれないという罪悪感。
    →奈津・三十五歳、脚本家。尊敬する男に誘われ、家を飛び出す。“外の世界”に出て初めてわかった男の嘘、夫の支配欲、そして抑圧されていた自らの性欲の強さ―。もう後戻りはしない。女としてまだ間に合う間に、この先どれだけ身も心も燃やし尽くせる相手に出会えるだろう。何回、脳みそまで蕩けるセックスができるだろう。そのためなら―そのためだけにでも、誰を裏切ろうが、傷つけようがかまわない。「そのかわり、結果はすべて自分で引き受けてみせる」。

  • テレビで著者のインタビューを観て、興味を持ったので読んでみた。
    主人公の女のしての、そして著者の作家としての覚悟を感じた。

  • たくさんの賞をとった作品だけど、読む人を選ぶ小説なんじゃないかな。30代以下の年齢の人で主人公の気持ちを理解できる人は少ないんじゃないかと、作者と同年代の私は思います。
    まるで作者自身を思わせる主人公に、村山由佳という作家の、自分の内面をすべてさらけ出しても書きたい、という執念のようなものを感じ、圧倒されました。
    40代以上の女性なら、読んでみてもいいのでは。

  • 主人公が同い年で、夫との年の差も近い。
    仕事や境遇は違うけど、奈津さんとは似てるところもあって、勝手に親近感。
    こういうラブストーリーが面白く読めるようになったのは、30過ぎてからだ。
    女性の、あまり公にしない部分が赤裸々に描かれているだけに、レビューは書きづらい(;^_^A
    思うに、恋愛体質というのは肉体的欲求と心理的欲求のどちらを重視するかで変わると思う。
    ただ男性と抱き合えれば済むのなら、相手に家族がいようが関係はない。
    そこに心も癒されたいという欲求が生まれ、その人の特別になりたくなって、そうなると不倫関係は終わらせないと辛い。
    どうして、体も心も癒してくれる相手が既婚者だったのかね。
    こういうところがうまく行かない。
    心のすれ違いを体でしか埋められないから、自由なあまり別の相手を求めてしまう。
    また、現れてしまうんだよね、心に穴が開いてるときに限って。
    ほんとは、ただ独りを愛して愛されたいだけなんだけど、それが叶わないばっかりに、いや、叶っていることに気づかないばっかりに離れることになってしまう。
    実際、女性は一人の男性に一通りの愛され方をされるだけじゃ満足できないのだろう。特に体は。
    でも、心はただ一人を求めているから、そうでなければいけないと思っているから、誰かのものになる。
    心の安定を捨て去ってまで、体の求めるものに忠実になるわけに行かないから。

    あまり書いてると、浮気願望があるかのように思えてくる(-ω-;)
    ないよ。
    奈津さんを羨ましいとは思わない。
    欲望に正直に生きると孤独で虚しいってことは何となくわかるから。

  • なんか濃いものが読みたいなと思って借りた本。

    開いてみればそれは官能小説でした。

    セックス描写が多いものは久しぶりに読みました。最初の浮気相手(出張ホスト除く)、志澤はいかにも肉食な男性。相手をひれ伏させるタイプ。
    次の岩井はロールキャベツ男子。奈津に対する気配りとかがすごく女性受けがよさそう。私もこの中では岩井が一番好きですね。旦那さんにしたいタイプですね。浮気は困るけど。志澤の次の相手として奈津の心と身体を癒す人でした。
    坊さんやらなんやらはおいといて最後の大林。これはまだつかめない。だから奈津も大林にとらわれはじめたのではないでしょうか。

    夫の省吾との擦れ違い。省吾にはきっと悪気はないんですね。だからこそ奈津を苦しめもする。好きになれない夫だとは思いましたがだからといって奈津を愛していないわけではない。
    別居を始めて、たまに省吾のことを思い出しはするけど私は犬のハヤトも思い出してほしかった。一緒にいるのが環だからって、ハヤトのことを忘れないでほしいなぁ。

    志澤を振り切ったと思ってさえやはりどこかで志澤の影があった奈津。
    奈津が夫のもとへと去ってゆくきっかけを与えただけに特別な男性だったのでしょうか。それとも彼のあの攻撃的なところに女は惹かれるのでしょうか。

    最後に岩井が変わってしまったのが残念だったけど、奈津が変わってしまったから岩井も変わってしまったのだろう。せっかく妻にしか言わない「愛してる」を言ったのに。

    花火大会のシーンのラストは美しい情景でした。

    この作品を30代の主婦の目線で読んだらどうなんだろうと思いました。また私と感じ方が異なることでしょう。

    この奈津が60、70になったらどう過ごしているのか気になります。

  • 期待はしてたんだけど、全体的に薄っぺらい印象。
    脚本が書けなくなったから、男をとっかえひっかえしているように
    しかみえなかった。
    旦那とのくだりは、うちの元旦那と似たところがあって、モラハラだなあと思いながら真剣に読んでしまったけど。

  •  途中(P353:岩井氏と会っている時)で思わずおおっ!と声をあげてしまった。その個所を引用します。
    “揺るがない優しさこそがほんとうの男らしさだと気づくとき、たいていの女はすでに年老いてしまっている”
     これはまさに『ベルサイユのばら』のオスカルがアンドレに対し放った台詞“心やさしくあたたかい男性こそが、真に男らしいたよるにたる男性なのだということに気づくとき…たいていの女はもうすでに年老いてしまっている…と…。”と同様ではないか。確か二人が初めて結ばれる直前である。
     著者は岩井氏のキャラにアンドレを入れている!?
     いやいやいや…。アンドレオスカルのあの後のシーンは私にとって至高の1ページであって、淫乱さなどみじんもないのである!ほんの一瞬でも重ねて考えた頭を、思わずぶるんっと振った私だった。
     ずいぶん脱線してしまったが、アンドレとか、岩井氏とか、無償の愛を注ぎ続けるキャラクターに、女性は弱い。著者の計算を感じた設定だった。
     単なる官能小説ではない。
     主人公奈津の極めて動物的な行動に対して、男たちのなんと人間的なこと。あの志澤だって、彼女を振ったように見えて実は「しっぽを巻いた」のだ。彼の理性がストップさせたのだと、私は解釈する。夫、デリバリー君も含め5人の男たちが、頭で理解しようとするのに対し、奈津の体が先走っているところが面白い。
     ラストも、台詞にあったように、風呂敷を広げたまま終わる。これも計算のうちだろうか。奈津が書いたとしか思えない読後感は、著者の思惑通りなのかもしれない。

  • 「ほかの男と、した? 俺のかたちじゃなくなっている」と帯に書かれていて、表紙が女性の裸体って普通は買えません。図書館でたくさん借りたときに一冊混ぜこんで借りました。恥ずかしかったです。

    村山由佳さんの文章は綺麗でとてもすきです。国語の教科書にのってほしいくらい好き。
    ダブルファンタジーは私はダメでした。不特定多数の人とセックスするっていうのがダメ。

    美味しいコーヒーの入れ方シリーズは爽やかな恋愛らしいのでいずれそちらを読みます。

  • ダブルファンタジー
    村山由佳
    文藝春秋

    登竜門で入賞し脚本家として活躍するようになった主人公は、自分の紡ぎだす能力が仕事として世に出る過程で歪められていくことに悩んでいた。そんなある日、選考委員として自分を発掘してくれた憧れの舞台演出家から公演のチケットが送られてくる。夫への形にならない不満、自分の中に棲む抗えない魔物、幼い頃に穿たれた心の穴・・・主人公が自分の本質と向き合っていく小説です。


    上述の紹介文を作るのに、めちゃくちゃ苦労しました。その理由は、もはや清々しいともいえるまでに徹頭徹尾貫かれている不倫官能小説というモチーフがあまりに生々しくて、ついそれに触れてしまうからです。ただ、読んでいくと、あふれんばかりに書かれている不倫とか官能の行間から何か伝わってくるような気がしてなりません。なので、敢えて不倫と官能には触れない範囲で紹介文を書いてみました。
    好みは分かれそうだけど、小説として、すごい本だと思いました。

    最初の方に、1ページにも満たない
    知らないことの幸せを説く老人の挿話があります。
    これの受け取り方と、読み手の「性」に対する認識によって
    小説の印象が大きく変わるのではないかと思いました。

    私にとって、その印象は最後にある主人公の3行の独白で
    まざまざと浮き彫りになりました。
    悲しくて哀しくてしかたがありませんでした。
    私にとってのダブルファンタジーは「悲しく哀しい」小説でした。

  • ずっと前から気になっていた小説でしたが、値段もするし、借りるにはちょっと気が引けるなと思ってそのままでしたが、ブックオフで発見。


    分量も多いし、評価もそんなに高くないので途中で飽きちゃうかなと思っていましたが、私にしてはすんなり読めました。


    主人公の気持ちに入っていけない、理解できないと多くの人が書いていますが、まんま私だって思いました。


    高遠奈津は人気脚本家高遠ナツメとして、活躍している。


    彼女は人一倍性欲が強いのだが、夫の省吾とはほとんどセックスがない。

    その原因は彼の何気ない一言から。

    そんな彼女が尊敬する脚本家志澤と寝ることで、彼女の隠れていた女の部分が露わになっていくのだが……


    結局この小説の中で彼女は夫以外の男五人と身体を重ねていくわけですが、今まで抑圧されていた部分がどんどん爆発していく。


    最初はなんでも夫の言いなりになっていた彼女が、あそこまで豹変するとは。


    「結果はすべて自分で引き受けてみせる」


    倫理観から考えると彼女の行動は大きく外れていますが、ここまでくると良いか悪いかではないのだと思います。

    彼女が作中でセックスにも「心」がなければ、と言っていることに疑問を感じるのも当然だとは思いますが、(こんだけ色んな男とヤってるんだからそんなもんないだろとは思うでしょうが)私にはよくわかります。


    「心」がなければ感じないって。


    夫と出張ホストと坊さんとのセックスは彼女にとってむなしさを与えるものだっただろうけど、それ以外とのセックスは彼女は心から感じている。


    すごい女だな。


    ただ、夫とのセックスが上手くいっていたらこんな風にはならなかっただろうし、何より夫の抑圧から逃れて一人の女性としての尊厳を得るための手段が、彼女にとってはセックスだったんだろうなって思います。


    結局彼女は最後先輩を捨てて、役者を選ぶわけなんだけど、どうなるんだろう。


    また同じように他の誰かと出会い、身体を重ねるのか。


    それとも本当に彼が心から愛し合える相手だったのか。

    寂しさゆえに身体を重ねてしまうことが正しいとはけして思わないけど、そうなってしまう女性が弱い人だとは思わないな。


    間違ってるけど強い。

    開き直ってるようにも感じられるけど、共感できるな。


    こんなこと書いてしまうと、自分もどうかしてると思われてしまうだろうけど。


    彼女も私も本当に欲しいのは「心」から愛し合うセックスができる相手だと思うんだけどね。

  • あんまりにも多くの評がただのエロ小説だといっていたので、油断して読みはじめた。
    性描写が必要な訳や気持ちより体優先の話しだらけの必要性はやっぱり分からない。何処へゆく、村山由佳よ。
    前半の志澤とのやり取りは官能小説というには子供っぽく、恋愛小説というにはがつがつしていて、ただ離婚を考えるに至る主人公の心の動きだけが妙にリアルに浮かび上がった。志澤の言葉には多くの真実があるだけに残念。読者が夢中になるくらいいい男にしてあげれば良かったのに。
    となめた感じで読みすすめて、後半びっくり。どーでもいい坊主含めて三人の男との話は、恋愛としてもぐっとリアル。村山由佳は惑う心理を描くのが上手いんだったわ。惑うことを知っている人なら共感してしまう。分かっていてハマる、気づいたときには逃げられない罠。主人公が阿呆のように何も分からない顔をしているのが気にはなるけど、惑う姿は本物だし、人生は答えなんて手に入らないもんだ。
    意欲的に取り組んだのであろうメールでの睦合いや多分大胆を売りにしたい性描写は興ざめ。露骨に描くことを下品だとは思わないけど、さらっと描いて甘美に聞こえ、心理でなく描写で泣かせて欲しいもんだ。直木賞作品『星々の舟』ではいい制御が利いていて、次が楽しみだった。それができる作家になったと思ったのになあ。
    露悪という意味では作者本人のエピソードとだだかぶりで、私生活見せられたみたいなのも残念。頭を使うと滅入ってしまう。小説は所詮、自分の切り売りだ。生まれる物語は作者の人生だし、登場人物たちは作者そのものだろう。でも、ひねろうよ、せめて。これはあなたのことですねと言われないように。
    私は、私小説が嫌いです。
    というわけで次に期待です。デビューから押してんだからね。

  • 始まりは始まりなのに、終わりはキレイに終わらないのが主人公の虚しさを強調させててとてもいい。これからもナツが男性に期待しては失望していく未来が見える気がした。文中で彼女が書きたがってた芝居のようなとっちらかった、でも気持ちはシュッとしぼんだラスト。
    村山さんの作品はこれがはじめてだがもういっちょこういう作風のを読みたい気持ち。

  • 二度目。
    村山由佳の作品は読みやすい。
    女の性の部分が生々しく書いてある気がした。
    あたしは好き。
    でも、ラストがしっくりこない。
    先輩も途中から嫌いになるし、出てくる男は嫌な感じがする。

  • 男性に対する魅せ方は誰にでも
    持っているものだと思う、
    だから奈津の生き方はわかる気がします

    にしても官能ってすごいですね
    なんか文章の表現がリアルで、リアルで、
    うん、楽しく読ませて頂きました

  • 再読完了
    結局のところ、誰か一人にすべてを与えられた上で
    一人で立って歩きたい女の話。
    けれどもそんな都合のいい男性はいないわけで
    次から次へと渡り歩いてしまう。
    オーラを出している地位知名度の高い女性には
    あきれるほど次の男性が現れてくるし
    はたからみると愚かな程に罠に自らはまってしまうところが
    悲しくて、でも笑える。
    旦那との関係性やらなんやら、なぜか(笑)共感できるところが
    あって他人事に思えない話でした。
    この人は、瞬間的にしか幸せになれないかも。
    いいか、それで。

  • 村山由佳さん久しぶりに読みました。
    学生のころはよく読んでて、「野生の風」とか「青のフェルマータ」とかが好きで。
    ちょうどアメリカ行ったあたりかなんかで「翼 Cry for the Moon」があって
    舞台がアメリカのサウスウェストにしてあって共感覚えたりしたなぁ。
    恋愛ものや学生ものも多いから青春小説みたいなのが多い印象もあって
    しばらく遠ざかってた時期もあったんだけど直木賞受賞した「星々の舟」はよかった。
    そうそう、村山さんのこういう話が好きなんだよ!と思ったのよね。

    で、本題に入ると、この「ダブル・ファンタジー」はいろんな意味ですごい。
    今までの村山さんの作品からするとがらり、と変わってる。
    何かあったんだろうか?と思わせるような感じなんだけれども……。
    年齢層もぐっとあがって、官能的で、性についてたくさん描かれてはいるけど
    ある意味一人の女性の自分探しとも愛探しとも呼べるのかな。
    性についてといえば村山さんの作品では「BAD KIDS」を思い描いちゃうけど
    あれは完全に思春期だし、ある意味ピュアだけど、この作品はいろんな意味でどろどろ。

    なんか女の欲望とか渇望とかいろんなものを見せられて
    同性としては一種の嫌悪感を持ちながらも(同属嫌悪なのかな)、
    わかる部分もあったりしてなんか複雑。
    でも、一度読み出したら止まらなくなっちゃって
    彼女はどこまで行くのだろうか、彼女の行く先は……と一気に読み終わった。
    正直オチなんてものはないような気がする。
    でもそれがやけにリアルというかなんというか。
    もしもっと若いときに読んでたら正直嫌悪感だけが残りそうな気もする。
    よくわかんないや、で終わるような気もする。
    でも30近くなってなんとなくわかるような。(でももうちょっと年とって読んだら更に違うかも)

    好きか嫌いかといわれるとどっちとも当てはまらないんだけど
    なかなか興味深かった!

  • 物語の『官能的』という側面に注目されている(実際、その描写は多い。帯の煽りも確かに秀逸ではあると思う)けれど、これは哀しい物語だと思った。そこがいい。

    女は夫を疎み、恋人に疎まれ、また新たな出合いの中で近づき、離れ、疎み…と、追って追われる関係を繰り返す。
    奔放な生き方と言えば簡単だけど、この道を選んでも、選ばなくても、手に入れられないものもあれば、失うものもあるということがきちんと描かれている作品でした。

    人が他者に抱く幻想は残酷で哀しい。

  • 女としてのリミットに焦りを感じる奈津が選んだ、“外の世界”での道のり。
    男女間の情愛だけでなく、性愛もとことん突き詰めた作品です。

    これは、読む場所も、読む人も選ぶ本だと思います。
    ストレートな装丁(特に裏面)に、帯には「ほかの男と、した?俺のかたちじゃなくなってる」。村山さんの本でなかったら、ぎょっとしておそらく、手に取るのを躊躇ったと思います。

    最初は、読んでただただ圧倒されました。
    「引き込まれる」小説に出会うことはあっても、こんな風に引きずり込まれる、あるいは相手から迫ってくるような小説は稀に思います。
    10代で読んでいたら嫌悪感しか感じなかったかもしれないし、私が男性だったら首をかしげて終わっていたかも。それでも、全ての人に伝わるように書いていなくても、私は「よくぞ書いてくれた」と絶賛したいです。

    普段考えもしないのに、どこまでが著者の経験からで、どこからが創作なんだろうと考えてしまうほどに著者の魂のようなものを作中から感じました。どれもこれもが本当にリアル。

    どこまでも自由であろうと、孤独も責任も受け止める覚悟でいながら、
    気づくと相手に依存してしまう自分から抜け出せずにいる。
    奈津のそんな姿に哀しさを感じ、幼少期における母の影響の強さを思い知ります。

    正しい、正しくない、という問題ではなく、多くの人が心に蓋をしても平穏な生活をおくることを望む中で、周りも自分も傷つけても茨の道を歩かずにいられないのはきっと苦しく、痛いほどの解放感なんだろうと想像します。
    とにかく、いつまでも余韻が続く1冊でした。

  • ダヴィンチには「性愛から女の生を切り拓く圧巻の官能小説」と紹介されていたのでどんなもんかと思って読んでみた。
    思ったほどエロくなかった。

    えろいというか、描写が具体的。しかし濡れ場が長い。そして多い。
    むしろそれしか無いんじゃないかと思うほど。
    序盤はとても苛々するが中盤の地に落とされたような喪失感は最高。 終盤はなんとも言えない気持ちに。

    「面白かった」とは言えないけど恋愛における滑稽さが感じられて中々良かった。
    だがこれから恋愛したい人、ただエロいのを求めている人にはお勧めできない。

    「結局のところ、依存心とは自信の無さの顕れなのだ。女としての自信はただ一人の男から肯定される事でしか取り戻せない。」
    ここが印象的だった。 私は恋愛を諦めている事を公言しているが、それは肯定してくれるたった一人を見つけられずにいる自分を、探すのを拒むことで肯定しているんだと思う。 結局は依存しているんですよね。悲しいけれど。

  • 35歳の女性脚本家が主人公。
    尊敬する男に誘われ、家を飛び出したものの、男の嘘、夫の支配欲、
    自己の強い性欲などに翻弄されながら、自己確立していこうとするお話。
    性的描写が激しかった。
    が、それだけではなく、厳しく育てられ、モラル等に縛られて生きてきた女性が、
    本当の自分の欲望・・・性的なもの以外の、人として生き方も含めて変わっていく内容。
    最後に「そのかわり、結果はすべて自分で引き受けてみせる」とある。

  • 以前からちょっとずつ読んでいた村山さんの作品で、ちょっと前に話題になっていたので読んでみました。
    確かに生々しい性描写が多いのですが、これは官能小説ではなく、人間の内面を深く描いた素晴らしい作品だと思います。人間の他者に対して抱く気持ちの繊細さ・移ろいやすさ、そして他者への思いやりと自己本位の気持ち(傲慢さ)の奇妙な共存のさまが、”フィクション”ではなく、ありのままに描かれていると思います。
    今までの作風と違う、という意見も多いようですが、人間の内面のようすを深く描こうとする姿勢は以前から村山さんが目指してらっしゃるところじゃないかなと思います。今後の作品にも期待です!

  • 途中で飽きることはなく読み終えましたが、
    読後の感想はいまいちです。
    どこまでも終わりのない不倫の果てには何があるのかしら。
    セックスって、相手を変えればそんなにいいものなのかしら。

  • 村山由佳には珍しい作品です。
    「官能」描写が話題になりましたが、読んでみるとたいしたことはありません。
    むしろ、村山さんの作品にしては、確かにすごい「官能」描写ではありました。
    ただ、本作はそれよりも、自らの内的な欲求に正直に生きようとするときの困難さを描いて成功しているといえます。
    ”わたしの求めるものが、あなたの求めるものであり、あなたの求めるものがわたしの求めるものである”
    生き方のなんと困難なことでしょう!
    人の心は移ろいやすいものです。心を「性」に置き換えても良いかも知れません。

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