風葬

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 151
感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163275703

作品紹介・あらすじ

拿捕、遊郭、マフィア…男女の欲望が交差する根室港。デビュー作で北海道に生きる男女の性を艶やかに描いた作者が挑む新感覚官能ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 北海道が舞台。
    教職にあった親子が自分達に降りかかったそれぞれの事件を通し人間模様、社会問題を知っていく。
    当時ソ連に翻弄されていた漁業の町で起こった事件。ロシアの日本漁船の拿捕はいまだに続いている。
    そしてそれらには大きなお金も絡み、悪事で財をなした一族も一枚かんでいた。かつて教師だった父親が救えなかった命と、生徒の自殺で辞職に追いやられた息子の正直な思いが感じられ教師の立場にあったふたりの心の葛藤も見える。

  • 相変わらず上手い表現、いつもの北海道で暗いストーリー。歴史も勉強させてくれる。

  • ぐいぐい引き込まれラストまで一気に読み切りました。
    書道の先生・夏紀と訳あって教師を辞めた優作の視点が交差しながら、周りを取り巻く人々の運命が渦を巻いて絡み合っていく様が素晴らしかった。
    桜木さんの他作品で見られる性愛の描写はなく、サスペンス中編といった感じです。この人にどんな過去があったのか、この人とどう絡んでいるんだろうと次のページをすぐすぐ読みたくなります。
    面白かった。

  • あまりにも悲しく切ない…
    後半、涙なしでは読めませんでした。
    同じ北海道在住の方という事で、親近感も湧きましたし、他の作品も是非読んでみたいと思います。

  • 年末年始に読む本を探しに行った図書館で手に取り,そのまま,図書館でよみふけってしまいました。
    せつない話ですが,この著者特有の北海道の風景描写に心奪われます。

    北海道を訪れて,少し寂しいけれど,豊かな自然に触れたくなりました。

  • 母の一言から、自分の出生の秘密を探ることになる書道家女性の話だが、北方領土、レポ船など、聞いたことはあってもよく知らなかった話が出てきておもしろかった。

  • 『風葬』というタイトルが一体何について示しているのか気になる。死体を埋めない葬制。外に晒し続けるという事は、その死を最後まで見つめ続けるということだと思う。
    個人的には「それぞれの『罪』の後始末の仕方」がこのタイトルの意味だと感じた。
    自身の罪を埋める者、燃やす者、見つめ続ける者。誰がどのようにして自分の罪と向き合うのか。私は徳一と春江が好きだった。

    「生まれたばかりの夏紀を抱っこした瞬間、私はこの子がいれば生きていけると思ったの。そのとおりだった。もっと時間が経って私がみんな忘れたら、ときどきそばにいてちょうだい。それでいいから」
    物悲しい真相に向かう中のこの一節が絶品。

  • 根室のとある岬から始まった
    ある周辺人物たちの隠された過去。

    主人公である篠塚夏紀が感じた、戸籍の違和感。
    どうやら調べていくうちに母があるところの
    娘だったことがわかります。

    そして彼女の探し物に協力してくれた
    親子もまた問題を抱えていて…
    これもまた重たいねぇ…

    基本的に救えません。
    ただ一つ、協力してくれた息子の
    不条理さが認められたことですね…

  • 久しぶりに桜木ワールドを満喫しました。日曜日の午後、楽しい時間を過ごせました。読み応えがありました(^-^) 「風葬」2008.10発行です。

  • 釧路、根室を舞台に、出生の秘密を明らかにしようとする女性と、過去の事件を解き明かそうとする親子が交錯していく。

    時おり誰が誰だか人物がごっちゃになり、頭の中で相関図を描きながら読み進めた。解決の糸口や人物関係が、偶然に頼るところも多く、やや安易。その割りにはいろんな要素を盛り込みすぎて、もっと整理したほうがと思ったり、逆にもっと書き込んでほしいと感じる部分も多々ある。でも、それも今の作者のレベルと比較してしまうからこそのこと。初の長編であり、北の果ての独特の空気は、すでに漂っている。

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著者プロフィール

一九六五年釧路市生まれ。
裁判所職員を経て、二〇〇二年『雪虫』で第82回オール読物新人賞受賞。
著書に『風葬』(文藝春秋)、『氷平原』(文藝春秋)、『凍原』(小学館)、『恋肌』(角川書店)がある。

「2010年 『北の作家 書下ろしアンソロジーvol.2 utage・宴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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