- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163275802
感想・レビュー・書評
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このお話で、不思議と心が暖まり、優しい気持ちになったという人は、数少ない共感者かもしれないです。お互いが、お互いの。
私はとても、ほっとした気持ちになりました。生きてる間にこのお話に出会えてよかった。
どこか現実味のない少女のような主人公が、恐ろしくて悲しい過去を、子供の頃に一緒にいた男の子と振り返っていくお話。その中で次々と明らかになる、ショッキングな出来事。でも、その出来事よりも、登場人物の内面に起こっていることが、手にとるようにわかる感じがしました。
私はどこかいつも、自分がふわふわと浮いていて、みんなと同じ人生を歩めないように感じていることがあります。
それが苦痛だった20代だけど、30代になって、それを受け入れはじめている自分もいます。
目に見えない大切なものを。人の気持ちを。自分の受け取る力を育てることの大切さを。
普段気にして生きていること、それでいいんだよ。って言ってもらえたような本でした。
星5つ!
(37歳にて読了)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
推しがばななさん読んだと聞いてすぐさま読んだ。ラッパーがこんな本読んじゃうんだもんな。最高の世界線だな。
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「抱きしめられたこと、かわいがられたこと、おいしいものを食べさせてもらったこと、あたたかいふとんにくるまって寝たこと」そういうものがあれば、その先に困難があってもいくらでも立ち直れる。ここがなぜか泣きたくなるくらい胸が締め付けられる。
"そういうもの"がある私は、ああ、私、愛されてるんだということを実感して、幸せなのと同時になんだか怖い気分になる。
はかない からか、いつか過去のことになって、本当にそれが思い出の中だけの出来事になってしまったらと思うと怖い。だから自分のそばにいるひとたちを死ぬ気で大切にするんだ。 -
「ひとかげ」を読み始めたときの印象がよみがえった。なんだか突飛。でも読み進めていくうちに印象がどんどん細やかになる。
主人公の視線をものすごく自分の目と近い位置で感じられるというか、取るに足りない、もしかしたら誰の目にも映らないような些細な動きが丁寧に的確に描かれていて、唸るような文がたくさんあった。終わり方もいいな。
そこまでを人生とカウントしていいんだったら希望を感じられる。 -
ひさしぶりに ばななさんの新作を読みました
あとがきにもありましたが つらいファンタジーでした
ばななさんの描く物語は ますますつらいものがたりになっていっているなぁ
今回のものがたりは いままでなかった どんでんがあって 驚いた
でも それも ばななさんの世界の一部で ほっとした
ところどころ 人生のだいじなことが かかれて いた
いつも ばななさんが描く ものがたりの 主人公になりたいと おもう -
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私はよしもとばななの言葉がわかっているのだろうか。この人の放つ温かく光あふれる言葉の何分のいちも受け取れていないのではないか。なぜならこの人のお話の多くは大きな傷を負ったり大切な人を亡くした人の方へ寄り添っているから。
でも、それなりに過ごしている私ですら心の奥深くに光がさすのだから、よしもとばななの温かさははかりしれない。私はこの本をこれから何度も読み返すだろう。人生に行きづまったり、暗いところから出られないとき、いつも私にひかりをくれると思う。そして、自分へもたらされた沢山の幸福に感謝して、生きていく。歩いていく。
近年のばななさんはひかりからあかりへと、やわらかくなっていると思う。自分の読書にしか伝わらない魔法のような言葉で、伝えてくれている。願わくは、いつまでもその言葉が解るわたしでいたい。そういう生き方をしたい。 -
予想外のラストに仰天。
切ない真実に涙。 -
素晴らしかった!
ずっと根底にある切なさも、最後に紐解かれる感じも好きでしたが、切ないながらに読み終わると晴れ晴れしい気持ちに。
吉本ばなな流ミステリー、みたいな感じ。 -
物語の中の出来事は悲しい事なのに、読むとあったかい気持ちになれる。