橋をめぐる―いつかのきみへ、いつかのぼくへ

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著者 : 橋本紡
  • 文藝春秋 (2008年11月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163276502

橋をめぐる―いつかのきみへ、いつかのぼくへの感想・レビュー・書評

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  • タイトルどおり、六つの橋を巡る物語。
    橋に思いがあったり、橋で思いを巡らせたり・・・
    橋の役割は六つの物語それぞれだ。
    六つの物語すべてに橋の名前がついているので
    連作かと思っていたら違っていた。
    けれどそれぞれで楽しめた。
    日常のなかで懸命に動いている人々の気持ちが静かに綴られている。

    最後の「永代橋」が特によかった。
    エンジ(祖父)が階段から落ちたことの真実。
    そのときの千恵(孫)とのやりとり。
    なんと粋なことか。
    ”そんなことをするようにはみえませんでしたよ、エンジさん。”

  • 「橋をめぐる」というタイトルと表紙の絵に惹かれ、
    また著者の「紡」という字が気になって、読んでみることに。

    深川に住む人とその周りを流れる川にかかる橋を舞台にした6つの短編集。
    長く住まう地元の人と新しく住人になった人の間に起こる小さないざこざ。
    昔気質の祖父と、世田谷に住む孫の交流。
    下町に育ったことをや自分の両親を否定し、あちら側の人間に憧れと妬みがないまぜになったような感情を持つ優秀な高校生。

    下町と東京西部に対する書き方がステレオタイプに感じられ、
    自分が下町育ちだったら、荒っぽさやあか抜けなさなどの人物造形が若干気に障ったのではないかなと思う。
    愛情からの表現だったとしても。

    3つ目の進学校の秀才高校生と幼なじみの不良高校生の話は、
    「スタンドバイミー」の2人の男の子を思い出させた。
    中学までは乱暴者で手の付けられたなかった不良くんが、
    工業高校で物理に興味を持ち、先生にも助けられて得意になったことを話し、秀才くんの出した難しい問題を解いてしまうシーンは
    ほろりとする。
    不良くんの素顔を知るただ一人の友人、秀才くん。
    本文に詳しく登場するわけではないが、
    不良くんに物理を教えた先生。
    不良くんを認め、大切に思う人がいてよかった。
    不良くんを教え導く大人がいてよかった。
    本当はまっとうに生きていきたいと願っていることが現実になるといいなと思いながら、話は終わる。
    悲しい結末でなくてよかった。

    川によって隔てられた向こう側の街は近いようでいて、
    子どもにはずいぶん遠い。
    大人になっても、心理的に隔たりがあるものか。
    大きな川の存在感を思う。

  • 深川を舞台にした6つの物語は、古くからこの町に暮らす人と、新しく移り住んだ人とが登場しながら、橋や古い建築物も交えて、人間模様が描かれている。橋を渡ることで川を越えるのは、なんとなく気持ちに一区切りがつく気がします。

    それぞれのストーリーが趣深いのですが、私は「まつぼっくり橋」がとても気に入っています。新居を探すカップルの話で、男性のほうはマンション設計の仕事をしている。同行する友人は不動産会社に勤めており、二人は建築を学んだ同級生。不満を抱えながら今の仕事をしている二人が、この新居探しを通して本当にやりたいことをやる気持ちになっていくところがいい。カップルの女性のほうも、勝手な彼氏に不安になりながらも、最終的には背中を押してあげるところが良い。

    そんな気持ちにさせる町、深川に住んでみたいとおもいました。

  • 【収録作品】清洲橋/玄之堀橋/大富橋/八幡橋/まつぼっくり橋/永代橋

  • 東京の隅田川を越えた一帯、いくつもの運河に囲まれた本所・深川から木場にかけてのエリアが舞台。多くの橋で街と街とがつながっている場所だ。

    そのあたりを生活圏とする人々に焦点を当て、最寄りの橋の名をタイトルに、いくつもの人間ドラマが描き出される。人情味あふれる下町の心意気や相手の心をおもんばかった人々のやり取りなど、忘れられそうな人の優しさが感じられる物語の数々だ。

    各作品のテーマはそれぞれだが、このエリアをつなぐ「橋」に、人々の心をつなぐ「かけ橋」を投影させた手法が古くて新しい。
    幼馴染の秀才と悪ガキの友情を描いた「大富橋」が秀逸。

  • よかった。特に「大富橋」と「永代橋」の話が特に好き。

  • どこにでもいる人たちのどこにでもある普通の暮らし。それぞれが悩みや迷いを抱えている。少し暗いところもあったしそれが全部解決したわけではないけれど、この先は明るいこともあるのかなと思える話が多かったのがよかった。大富橋に出てきた陸と嘉人が二人とも素晴らしい場所にたどり着けるといい。

  • 最後のエンジの粋な計らいにぐっときた
    あのとき、一番千恵ちゃんのコトの気持ちをわかってたのはエンジだったね

    どの話も良かった

    優等生とワルの友情も、新居探しをするカップルの話も

    橋をめぐる物語
    今回もどれも良かった

  • 久しぶりの橋本紡さん。橋を題材にした物語集は、藤沢周平さんなどにもいいのがあったと思いますが、これも渋みのある佳作でした。

    大きなことが起きるのではありませんが、人生の晩夏から秋を生きる人々の心の内側を丁寧に描いていて良かったです。

    どの人物も生活感がある感じで書かれていて、ああこんなことってあるなあ、と感じます。

    深川散歩に行きたくなるよりは、立ち入るのを遠慮してしまいそうな気になるお話でしたが、それはこのお話の空気に必要なことだったのかもしれません。

  • 「大富橋」の秀才と喧嘩っ早い幼馴染の話が一番好きです。
    ラノベ感が全くない感じでNHKとかのドラマになりそう。
    「永代橋」は何かの教材につかわれたんでしたっけ。

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橋をめぐる―いつかのきみへ、いつかのぼくへの作品紹介

広告会社に勤めるOL、友香。父と和解はできるのか『清洲橋』、銀座でならしたバーテンダー、耕平。深川で自分の店を持つが『亥之堀橋』、進学校の秀才と不良少年の再会『大富橋』、バツイチの佳子は英会話教室の生徒との逢瀬をやめられない『八幡橋』、新居探しで足を棒にする美穂と哲也のカップル『まつぼっくり橋』、世田谷から来た千恵と、祖父エンジとの交流の物語『永代橋』。水の都・深川を舞台に描く六つの人生。

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