- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163276502
作品紹介・あらすじ
広告会社に勤めるOL、友香。父と和解はできるのか『清洲橋』、銀座でならしたバーテンダー、耕平。深川で自分の店を持つが『亥之堀橋』、進学校の秀才と不良少年の再会『大富橋』、バツイチの佳子は英会話教室の生徒との逢瀬をやめられない『八幡橋』、新居探しで足を棒にする美穂と哲也のカップル『まつぼっくり橋』、世田谷から来た千恵と、祖父エンジとの交流の物語『永代橋』。水の都・深川を舞台に描く六つの人生。
感想・レビュー・書評
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「橋をめぐる」というタイトルと表紙の絵に惹かれ、
また著者の「紡」という字が気になって、読んでみることに。
深川に住む人とその周りを流れる川にかかる橋を舞台にした6つの短編集。
長く住まう地元の人と新しく住人になった人の間に起こる小さないざこざ。
昔気質の祖父と、世田谷に住む孫の交流。
下町に育ったことをや自分の両親を否定し、あちら側の人間に憧れと妬みがないまぜになったような感情を持つ優秀な高校生。
下町と東京西部に対する書き方がステレオタイプに感じられ、
自分が下町育ちだったら、荒っぽさやあか抜けなさなどの人物造形が若干気に障ったのではないかなと思う。
愛情からの表現だったとしても。
3つ目の進学校の秀才高校生と幼なじみの不良高校生の話は、
「スタンドバイミー」の2人の男の子を思い出させた。
中学までは乱暴者で手の付けられたなかった不良くんが、
工業高校で物理に興味を持ち、先生にも助けられて得意になったことを話し、秀才くんの出した難しい問題を解いてしまうシーンは
ほろりとする。
不良くんの素顔を知るただ一人の友人、秀才くん。
本文に詳しく登場するわけではないが、
不良くんに物理を教えた先生。
不良くんを認め、大切に思う人がいてよかった。
不良くんを教え導く大人がいてよかった。
本当はまっとうに生きていきたいと願っていることが現実になるといいなと思いながら、話は終わる。
悲しい結末でなくてよかった。
川によって隔てられた向こう側の街は近いようでいて、
子どもにはずいぶん遠い。
大人になっても、心理的に隔たりがあるものか。
大きな川の存在感を思う。 -
よかった。特に「大富橋」と「永代橋」の話が好き。
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深川を舞台にした6つの物語は、古くからこの町に暮らす人と、新しく移り住んだ人とが登場しながら、橋や古い建築物も交えて、人間模様が描かれている。橋を渡ることで川を越えるのは、なんとなく気持ちに一区切りがつく気がします。
それぞれのストーリーが趣深いのですが、私は「まつぼっくり橋」がとても気に入っています。新居を探すカップルの話で、男性のほうはマンション設計の仕事をしている。同行する友人は不動産会社に勤めており、二人は建築を学んだ同級生。不満を抱えながら今の仕事をしている二人が、この新居探しを通して本当にやりたいことをやる気持ちになっていくところがいい。カップルの女性のほうも、勝手な彼氏に不安になりながらも、最終的には背中を押してあげるところが良い。
そんな気持ちにさせる町、深川に住んでみたいとおもいました。 -
【収録作品】清洲橋/玄之堀橋/大富橋/八幡橋/まつぼっくり橋/永代橋
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水の都、深川の橋を舞台にした6つのお話。どれもほんのり希望が見える終わり方だけど、もうちょっと結末まで書いて欲しいな、とすっきりしない感が個人的にあったかな。
以下、良いなと思ったフレーズ。
氷屋が使うのは純水だよ。ただ、飲んでうまい水ってのは、他にもいろいろ入っていた方がいいんだ。人生みたいなもんだよ。真面目ばっかりなんてつまらねぇだろう。女やら、ギャンブルやら、いろいろあるわけさ。 -
とても穏やかな雰囲気に浸ることができる。失ってしまったものも、いつまでも失われないものも、それと意識することはないかもしれないけれど人の礎としてしっかりと存在感を残してる。
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どこにでもいる人たちのどこにでもある普通の暮らし。それぞれが悩みや迷いを抱えている。少し暗いところもあったしそれが全部解決したわけではないけれど、この先は明るいこともあるのかなと思える話が多かったのがよかった。大富橋に出てきた陸と嘉人が二人とも素晴らしい場所にたどり着けるといい。
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最後のエンジの粋な計らいにぐっときた
あのとき、一番千恵ちゃんのコトの気持ちをわかってたのはエンジだったね
どの話も良かった
優等生とワルの友情も、新居探しをするカップルの話も
橋をめぐる物語
今回もどれも良かった -
久しぶりの橋本紡さん。橋を題材にした物語集は、藤沢周平さんなどにもいいのがあったと思いますが、これも渋みのある佳作でした。
大きなことが起きるのではありませんが、人生の晩夏から秋を生きる人々の心の内側を丁寧に描いていて良かったです。
どの人物も生活感がある感じで書かれていて、ああこんなことってあるなあ、と感じます。
深川散歩に行きたくなるよりは、立ち入るのを遠慮してしまいそうな気になるお話でしたが、それはこのお話の空気に必要なことだったのかもしれません。 -
東京下町の橋をめぐる6つの短編。
◆大学4年の夏、父親と衝突して家を出て5年ぶりに清洲橋を渡った友香。長くバーテンを勤めた銀座のクラブが店を畳み、退職金で店を開いた耕平。学校一の成績なのに貧乏で進学が厳しい中3の陸と隣の家の学校一の不良、親友の嘉人。流産のショックから離婚した英会話講師の佳子。婚約中の哲也と新居を探しに不動産屋と物件を見て回る美穂。自分の進学について両親がもめて、ひと夏深川のお祖父ちゃんエンジの家にきた千恵◆
父親と衝突して家を出て5年の友香をとりなす弟がいい子だなぁ。昔ながらの町、新しいマンション、こういう自治会の騒動はどこにでもありそう、うまく話をまとめる大人ばかりじゃないよね。秀才の陸と不良の嘉人の友情はかなり好き。仕方ないんだけど やっぱりお金って人間変わるよなぁ。佳子さん、憎んで別れるわけじゃなくてもやっぱりうまくいかないものなんだろうか。切ないなぁ。美穂と哲也の新居探しはかなりワクワク。夢おっかけてもこんなうまく行くわけないかもしれないけどなんか みんなで作り上げる感じ、すごいワクワクする。ひと夏お祖父ちゃんエンジのとこにきてた10歳の千恵も、職人エンジの男気あるナイスプレー!で「家族」にすごい勢いついた。お祖父ちゃんとお祖母ちゃんに 会いに行こう、て思う -
途中で読んだことがあると気がついた。橋は土地を繋ぐ。土地は人を生かす。
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2014.9.4
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東京の深川にある六つの橋をモチーフに、小学生の女の子から初老男性まで、6人6色の憂鬱と一歩を踏み出す姿を描いた短編集。
少しいびつで距離を取り合う家族を描くことに長けた橋本さんらしい作品群でした。
そして、下町からニュータウンへの過渡期というか雑多な物が混在しながら移り変わる深川の姿と、土着の人や新参の人、半よそ者の、街への愛着が、たとえ対立したとしてもそれぞれの言い分や思い入れあることに少し考えさせられた作品でもありました。 -
短編はあまり好きではないけれど、この小説は良かった。うまく物語を切り出していると思う。もどかしさと懐かしさ、優しさなどが入り混じった感情が読んでいて心地よかった。
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これTwitterで作家辞めますみたいなポストしてて話題になってたから読んでみたんだっけな。結構じわっと来るいい短篇集だった記憶。もっと他にも読んでみようかな。結局作家辞めたのかな?
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高校生のときの県の模擬テストでこの中の橋本紡さんのお話が引用されていたことから手に取った本。どのお話にも橋が出てくるこの短編集は、どのお話も優しい登場人物たちばかりで、終始癒されっぱなしで心地の良い気持ちで読み終えることができた覚えがある。優しい気持ちになりたい、何だか心が疲れてしまったと感じている方は是非読んでもらいたい。
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作品群だけど、それぞれの話に相関関係はない。
必ず橋が出てくるけど、なんで出てくるのか必然性は感じない。別に横断歩道でも踏切でもなんでもいい気がする。
サブタイトルから深読みすれば、町を流れる川にかかった橋を渡る人々とか人生論的に読み解くこともできるかもしれないのだが、ちょっと強引ではないかなあ。 -
さらさらと読めて、読後にあたたかな余韻が残る、心地よい短編集。
男の子の友情ものに弱いので、個人的には『大富橋』がお気に入りです。
表紙もとても綺麗♪
実は最寄駅に行く途中に、大きな橋があるのです。
橋の上で事故なんかあると、大渋...
表紙もとても綺麗♪
実は最寄駅に行く途中に、大きな橋があるのです。
橋の上で事故なんかあると、大渋滞になって電車を何本も逃したり
たまに一方通行を知らないで逆行してくる車に驚かされたり。
日常生活に「橋を渡ること」が組み込まれてるので、この本、とても気になります!
さっそく( ..)φメモメモ♪
乗りたかった電車に乗れなくなるのはイタイ。。。
でもまろんさんのご近所にある橋、
どん...
乗りたかった電車に乗れなくなるのはイタイ。。。
でもまろんさんのご近所にある橋、
どんな橋なんだろうと気になります。
橋っていろいろですよね。
わたしは吊り橋が大好きです。なかなか渡る機会もないですが。(笑)