- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163276601
感想・レビュー・書評
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平安宮中の恋物語、暗いです。
報われない思いや禁忌の恋や諦めや妬みが、平安貴族の優雅さをもって情緒ある形に落ち着いています。
それでも、生き抜いている女性たちがよいですね。
けっこう好きです、こういうの。
折しも私的平安ブームの最中ですし。
帝の寵愛を競う女たちと、血縁の親王がほしい男たちと、その中心にいる天皇。
清和天皇、陽成天皇、宇多天皇の治世を割と史実に基づいて描いています。
高子さん、すごいなー。
「東風吹かば」は、こないだ読んだ成風堂シリーズ最新作に出てきた「飛梅」の元ネタがラストに。
菅原道真、意外と腹黒い。この人だけじゃないけど。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
連作3編の収録。題名は和歌から。泥ぞ〜は陽成天皇、凍れる〜は藤原高子、東風〜は菅原道真となっている。全編通して読み終わると、高子が中心なのでしょうか?登場人物のほとんどがままならない想いを抱えていて、どんより暗く切ないです。
最後はもの悲しく余韻が残りました。
高子に負けず存在感を出していた源暄子にも興味がわきました。調べたら本当に実在していた人物ですが、情報はなし。関連本を読んでからもう一度再読したい。
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平安王朝で生きる者の哀切な物語。
男はただ政に生き、女はその道具として生かされる。
人々の欲望が渦巻く宮中で幸せを掴める女などはほんの一握りで、その地位が幸せとも限らない。
乳兄弟であった貞明と益の悲しい関係から始まり、年老いた高子と暄子が静かに二人寄り添うラストで終わる。
嵐のように巡っては過ぎ去るすごい時代の一片を見てしまった。 -
読みにくい。「花宵道中」のが読みやすかった。多角的に描かれているから、入り込みづらいのかな、と。繊細な感じなんですけどね。誰メインなのか。。。あと、これはスルーした方がよいのかしらと思った描写が幾つかあった。
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入内できぬ女の思い。后になっても叶わぬ恋。報われることのない帝の愛――。平安王朝を舞台に様々な狂おしい愛のかたちを描く中篇集(アマゾンより)
后がねとして内裏に上がるため、愛する男と引き離された藤原高子。
彼女に狂おしいまでの恋を教えた在原業平。
年若くして帝となった、高子の息子・貞明。
貞明を慕う、乳母の息子・源益。
入内を果たすが、顔も見せない貞明に心乱す紀君。
愛する男の子を産んでも、満たされない想いを抱える麗景殿。
帝に唯一の愛を捧げられながら、それに喜びを感じることがない石女の姫君・多美子。
摂政による政治の介入を阻止すべく奔走したあげく、自らが帝となる運命を歩んだ源定省。
定省の上に親政の夢を見、そして滅んだ菅原道真。
欲はなかったはずなのに、結局は藤原北家にすべてをささげた藤原基経。
「泥ぞつもりて」「凍れる涙」「東風吹かば」の3編の中で絡み合う、人々の想い・想い・想い・・・。
綺羅綺羅しい殿上人の心中に潜む、泥のようにつもり消えないその想いの数々に、自分自身もまとわりつかれるような心地になる物語です。
史実に則った話ですので、宮木さんのオリジナリティは薄れましたが、男色あり、百合ありと、バラエティ(?)に富んだ一冊。
密やかな恋の想いに悩む夜に読むと、ハマり込んでしまう作品かもしれませんね。 -
お盆に実家で読んだ本⑤(ラスト)
歴史ブームで世の中が沸いていますが、
意外と平安時代は盲点ですよね。
その中でも、天皇ものは少ないと思うなぁ。
(私が知らないだけかもしれませんがね。)
ただ、なぜかはまりませんでした・・・残念。
今まで『伊勢』の授業ぐらいでしかお会いしなかった
高子がすっごく生々しく「女」として登場していたり、
天皇のエピソードもそれぞれ知っていたりで、
興味がそそられる要素満載のはずなのになぁ。
もうちょっと落ち着いて読めばよかったです。反省。 -
業平と逃げる、あの有名なシーンで泣いた。
待つしかなかった女の、気持ち。