あなたに大切な香りの記憶はありますか?

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163276809

作品紹介・あらすじ

キーコーヒー株式会社のWEBサイト「書茶」にて二〇〇七年九月十四日より〇八年十月三十日にわたり公開された作品を、単行本化。

感想・レビュー・書評

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  • 「香り」、「匂い」、「におい」をテーマにした短編集。

    それぞれに味がある。
    『いちば童子』より気に入った作品は、
    ①巧い!
    ②共鳴
    ④切味抜群
    ⑤美しい!!

    ①夢の香り 石田衣良
    35歳の季理子は鼻をひくひくさせる。20年間求めていた夢の中のにおいに遭遇して。
    ②父とガムと彼女 角田光代
    毒々しいほど甘ったるいガムのにおいは初子さん、私が小学校の頃、父と浮気していたのではないかと勘違いしていた女性が父の通夜に顔を出してくれたのだ。
    ③いちば童子 朱川湊人
    俺の好きだった市場の匂い。混ざり合うのではなく一つ一つが音階のよう。アイツも同じこと言うとった。
    ④アンタさん 阿川佐和子
    誤ってワインをかけてしまったオトコに、食事に誘われた。仕事は宮大工の見習い。私は彼を気に入るようになって、木の香りが好きになった。
    ⑤ロックとブルースに還る夜 熊谷達也
    予備校時代に2年間だけ住んでいた仙台・国分町。30年前によく通っていたロック喫茶がまだ残っていた。ドアノブを引くと、コーヒーとアルコールの入り混じった匂い。
    ⑥スワン・レイク 小池真理子
    叔母の家に泊まりに来て、行き先を告げずに出かける。優しい運転手のタクシーでたどり着いたのは水と雪の匂いだけするスワン・レイク。
    ⑦コーヒーもう一杯 重松清
    「ちょっと考えれば分かること」がわからなかった19歳の僕は、当時3つ歳上の彼女の部屋に住んでいた。ある日彼女はミルを買い、部屋を満たすようになった『マンデリン』の香り。
    ⑧何も起きなかった 高橋のぶ子
    高校時代、あらゆる匂いを譬えることで競合っていた品子と真子。28年ぶりの交流再開で今度は、いや・・・。

    もちろん、『いちば童子』もいい。匿名だとしても滲み出る朱川作品の香りと後味。(ラストも、僕は好きなのだが・・・)

  • 香りにまつわる短編集。
    「アンタさん」が印象的でした。女性の彼氏に対しての舞い上がり方や感情表現が面白かった。

    「コーヒーをもう一杯」も男女の別れとコーヒーを紐付けた切ない話でジーンときました。

    全体的にどの話も読みやすく、サラっと読めました。

  • 【 コーヒーもう一杯 】
    「コーヒーのことが、今懐かしいわけじゃないの。これから懐かしくなるのよ。あなたはいま、未来の懐かしさを予感してるの。だから、なにも思い出せないのに懐かしいの」
    「不意にたまらない懐かしさに包まれたことがある。小学校のグラウンドの風景全てが、まるでパノラマ写真のようにくっきりと目に映る。現在の風景と記憶の中の風景がぴったりと重なり合ったような気がした。でも、そうじゃないんだと思ったの。5年生までの運動会を懐かしんでるんじゃなくて、この風景がいつか懐かしくなるんだろうな、って感じてるの」
    「いつか懐かしくなるのよ、この部屋でコーヒーを飲んでたことが」

    度々感じてきた、この感覚。
    心がざわざわして、でもとてもあたたくて、言葉に表せなかったもの。
    早朝の真っ暗な朝焼けの空に、一つだけ明かりが点いた職員室。
    クラスで一番のりに登校して、教室の鍵を取りに行った時に見える先生の姿。
    ひんやりとした空気と先生の声に導かれて入った時の職員室の雰囲気。
    質問を終えて、職員室を出た時には安心感に満たされていた。数時間には布団の中で泣いてたのに。
    愛って、優しさってこんなものなんだって。
    当時から、懐かしい記憶がした。

  • 香りをテーマにした8つの短編です。
    父とガムと彼女はいいお話でした。
    アンタさんはこの後どうなったのかなぁと気になりました。
    ロックとブルースに還る夜は最後、えっ!そうだったらいいのにって思いました。

  • 『夢の香り』石田衣良
    『父とガムと彼女』角田光代
    『いちば童子』朱川湊人
    『アンタさん』阿川佐和子
    『ロックとブルースに還る夜』熊谷達也
    『スワン・レイク』小池真理子
    『コーヒーをもう一杯』重松清
    『何も起きなかった』高樹のぶ子

    重松さんのお話が一番好きだったー

  • 石田衣良の作品は大体嫌いだけど、この話は良かった。
    朱川湊人と阿川佐和子は、「香り」が取ってつけたような感じだったけど、面白かった。
    角田光代は、一番テーマに沿っていた気がする。
    熊谷達也の話は、「香り」というか「音」だし、小池真理子は「映像」あるいは「音」だと思った。重松清も「音」や「味」かな?まあ香りも「聞く」っていうし、テーマには皆沿っているのかもしれない。
    高樹のぶ子の話は「それで要するに何なんだ」という感じだった。

  • 同僚から貸して頂いた本。「香り」をテーマに作ったアンソロジー。KEY COFFEEのWEBサイトで公開された作品を単行本化したものだが、しおりでしかアピールしていないところが好感度大。
    恋人の香り、食物や飲物の香り、物の香り・・・誰しも持っている思い出の香りに関わる話をさくっと読める読みやすい8編の短編集。恋愛モノが読みたい気分だったからか、石井衣良さん「夢の香り」・阿川佐和子さん「アンタさん」・重松清さん「コーヒーをもう一杯」あたりが印象に残っている。

  • 高樹のぶ子こわー!角田光代のも切なくて良い。石田衣良は本当に石田衣良。

  • お父さんを愛した2人の女の話のみ印象的。

  • 978-4-16-327680-9 221p 2008・10・30 1刷

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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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