四とそれ以上の国

  • 310人登録
  • 2.79評価
    • (7)
    • (13)
    • (65)
    • (20)
    • (16)
  • 46レビュー
  • 文藝春秋 (2008年11月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163277004

四とそれ以上の国の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • ちょっと怖くて、でもすごく力のある景色。
    電車の中から眺めた四万十川を思い出した。
    雨の中、たまに人気のない駅に止まったあの景色。
    すごくすごく四国に行きたくなってしまった。

    四国を舞台にした5つのお話が収められているけれど、全部なんとなく景色を眺めたという程度で理解は出来ていないと思う。
    代々語り継がれてきた昔話を聞くのに似ているかもしれない。
    理解出来ないことも、不思議なことも、怖いことも、全部そのままを受け入れるしかない。

    中でも最後の「藍」が好きだと思った。
    そもそも藍が逃げるというのがとても不思議。
    どう決着をつけるのかと思ったら、想像以上に鮮やかなラストだった。
    四国に行きたいな。

  • めちゃおもしろい

  • タイトルと、装丁が素敵で何度か借りてみて、漸く読んだ。
    不思議な雰囲気。嫌いじゃない。

  • #宇宙船のエンジンの機械油は、マッコウクジラから採れる。「そして何より鯨がすみずみまで用いられたのは人が読む本だった。(中略)まったく関係ない話にみえたときも、巨大な鯨あるいは目に見えない鯨の影が海面下をゆったりとすすむ気配は本のどこかに必ずたちこめ……」

    #鯨は加工され、その姿をさまざまに変え宇宙にまで行く。遠いものと遠いもの同士を結び付け、さらにより遠くまで行こうとする試みこそが書物の機能であるなら、『四とそれ以上の国』はいしいしんじの最深記録。もはやアーヴィングでもフォークナーでもない、傑作。

    (2009/02/19)

  • 四国を舞台にした短編小説集。しかし、いしいしんじのこと、ただの四国に納まりません。人形浄瑠璃に心奪われ、英語教師は鉄道で南へ行き、巡礼の道を人々は行き、渦を見て、逃げた藍を追う。幻想というか、現に夢がもれ出ているのか、妖しげな世界が繰り広げられています。
    それは、ありとあらゆるものから物語が溢れ出ているからなのかも。四国の人々、土地、歴史、文化、伝統、交通、産業などなど。どれもこれもが物語となり、何もかもから物語が溢れ、それぞれが絡み合う。全ての物語の色が混ざり合いながらも、それぞれの色を残し主張し合う。あたかもマーブル模様を成すように。
    だから、主軸となる物語を見失ったり追えなくなることもありました。溢れる物語に翻弄され溺れてしまったのです。また再読すれば、新たなる物語を掴むことができるのでしょうか。

  • 八十八ケ所巡礼、うどん、塩作り、鳴門の渦潮、正岡子規、高校野球など、四国の特産、風俗、名勝、慣習を、旅しながら、異世界四国を語る。児童文学の時と違って、文章が読みにくかった。若い娘となった藍が可愛かった。未読のポーの大渦の話を読みたくなった。

  • 鯨そのものが小説に似ているのかもしれない。あるいは夢や、空間の穴に見える巡礼路の様子、「なつかしさ」といったようなものに。
    (P.108)

  • 思い出や記憶や予感、感性、善意や悪意みたいな普段は目に見えないものたちが幽霊になって一同に介している感じ。だから不穏で気持ち悪いひと(もの)もたくさん出てくるけれど、そういうものから目を逸らさないいしいしんじさんの優しさ…でしょうか。我々がいつも目を逸らしているもの、見ようとしないものって何だろう、と思いを馳せました。単純に「なにこれこわい」では終わらせられない。やっぱりすごいと思う。

  • この本のレビューで、ある人が
    「『ポーの話』以降の模索の先の一冊、という気がする。(略)うーん、そっちにいくのか。」
    と書いていた。私も同感。

    私は『ポーの話』は好きだった。でもこの『四とそれ以上の国』は模索の一冊という感は否めない。

    『ポーの話』では全体的にファンタジーと清廉さでまとまっていたのに対し、『四とそれ以上の国』は不思議設定の世界と現実感的な描写がちぐはぐな感じがした。

    ファンタジーと清廉さを脱却しようとしているのが伝わる。
    より人間くささを出そうとしているのが伝わる。

    だけど、それが、私としては私の好きないしいさんではなくて残念だった。読むのがしんどかった。

    私はいしいさんの物語を読むとパウル・クレーの絵を思い浮かべてしまう。
    美しい様々な色彩を感じるし、物事を形どおりに描かないという部分がそう感じさせるのかも知れない。
    何が描かれているか見えるのではなく、感じる作品。

    現代社会の細事による感情じゃなくて根本のところの感情がいしいさんの作品にはある。
    現実社会で生きている私たちじゃなくてもっとずっと太古の人間の有様のような、そういう人間の本質の世界を感じる。しかも人間の善の部分。

    この『四とそれ以上の国』はこれまでのいしいさんに人間の血なまぐさい部分を少し足したような作品だと思う。

    『四とそれ以上の国』は『塩』『峠』『道』『渦』『藍』という5つの短篇から成る四国を舞台にした本。
    短篇なんだけれど、四国という繋がりによって長編のような感じもする。
    私はとくに『道』がしんどかった。

  • よくわからなかったけれど、夢をみているような、なんだか土臭いような世界に連れていかれるような感触は、楽しめました。
    「藍」では、“逃げ出した藍”が妙にリアルで生々しく、藍の独特のにおいが思い出されて、息苦しくなるようでした。

全46件中 1 - 10件を表示

いしいしんじの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

四とそれ以上の国はこんな本です

四とそれ以上の国を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

四とそれ以上の国の作品紹介

四国・阿波、ある夜、「藍」が逃げ出した。人間でいえば十六、七…。心の奥底に秘められた言葉、記憶、すべてを解き放つ、「それ以上」の物語。

四とそれ以上の国のKindle版

四とそれ以上の国の文庫

ツイートする