太陽の坐る場所

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163277202

作品紹介・あらすじ

高校卒業から10年。クラス会に集まった男女の話題は、女優になったクラスメートの「キョウコ」。彼女を次のクラス会へ呼び出そうともくろむが、「キョウコ」と向かい合うことで思い出される、高校時代の「幼く、罪深かった」出来事-。よみがえる「教室の悪意」。28歳、大人になってしまった男女の想いを描き、深い共感を呼び起こす傑作ミステリー。辻村深月の新境地。

感想・レビュー・書評

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  • 「辻村深月さんコンプリート大作戦#2」です

    新作発売予定の6月30日までにあと7作!ってペース遅いな
    上下巻のやつとかもあるのに

    はい、まぁそれはそれとして『太陽の坐る場所』です

    こんがらがった糸が終盤キレイにほどかれていく感じは、ミステリー作家辻村深月さんの面目躍如でしたが、やっぱりこの感じの辻村深月さんは苦手だ

    言い当ててくるんよな

    このなんとも言えない、人間の打算的で身勝手で醜い、だけど誰もがもっている黒い感情
    自分としては、このなんかゴニョゴニョっとしたやつを、ふわっとしたまま、隅の方に押し込んで見えなくしたいのに
    辻村深月さんはひとつずつ取り出して名前を付けていくんよ

    ぼんやりとさせて蓋しときたいのに、はっきり名前をつけられて、明確に存在を突きつけられると、もう向かい合うしかなくなっちゃうんよね

    必死に逃げようとするところを、後ろからタックルされて、羽交い締めにされ、牛乳パックを突き出されるあの感じと言えば分かって頂けるだろうか

    「牛乳もちゃんと飲まなかったら休み時間なしよ!」(お前の個人的体験談やろが!)

    辻村深月さんてそういうところあるよね(いやどういうところよ)

    • 土瓶さん
      ほう、ほう。

      最新作でも話題作でもないのに被るとはこれいかに。
      んでも、おびのりさんの方が表紙がいいね。
      文庫版だからあとがきにや...
      ほう、ほう。

      最新作でも話題作でもないのに被るとはこれいかに。
      んでも、おびのりさんの方が表紙がいいね。
      文庫版だからあとがきにや解説にも期待できるし。
      ということで、今回はおびのりさんの判定勝ちとします( ー`дー´)キリッ
      (えっ? そういう話しでない?)
      2023/05/11
    • ひまわりめろんさん
      妬いてるな
      妬いてるな
      2023/05/11
    • おびのりさん
      そうだね
      そうだね
      2023/05/12
  • 誰にとっても自分の名前は大切だとは思うけれど、
    デビュー作『冷たい校舎の時は止まる』で、ヒロインに「辻村深月」と名付けたように
    辻村さんは、名前というものにかなり特別な思い入れがあるんだなあ、と
    この作品を読んで、改めてそう思った。

    年に2回という、驚くべき熱心さで開催される同窓会に
    なかなか姿を現さない、今をときめく女優キョウコ。
    彼女をなんとか引っ張り出そうと画策する元クラスメートたちの
    回想に散りばめられる嫉妬や悪意や後悔や劣等感の
    ザラザラした手触りがあまりにリアルで、苦しくて息もつけない。

    辻村さんらしい名前のからくりに気付いてしまっても
    10年前の高校時代の記憶と向き合い、キョウコとコンタクトしようとするうちに
    同窓会参加者が1人減り、2人減りしていく展開に
    「ええ~、まさか、そして誰もいなくなった、的な展開になるとか?!」と
    ハラハラドキドキさせる、さすがの筆遣い。

    靴箱の中の紗絵子宛ての手紙を躊躇うことなく破く小学4年生の貴恵の真意と
    徹底的に恥さらしになって堂々と正面から傷つき、歩き出そうとする響子の姿に救われて

    太陽の光を求めて扉を開くことができるのは他ならぬ自分なのだ、と
    しみじみ思う1冊だった。

    • まろんさん
      koshoujiさん、コメントありがとうございます♪

      そうそう、「初期の頃の読後感のよさ」の件に、辻村さんの気持ちが滲み出ていて
      よかった...
      koshoujiさん、コメントありがとうございます♪

      そうそう、「初期の頃の読後感のよさ」の件に、辻村さんの気持ちが滲み出ていて
      よかった~、ファンの気持ちはちゃんと伝わっていたんだ!と思いました。
      マリモさんが教えてくださらなければ、あんな読み応えのあるコラムがあるなんて
      ずっと知らずにいたと思うので、ほんとうにブクログ仲間さんの存在って、ありがたいですね!

      『ハケンアニメ!』も、講談社から出る、高校生が主役の新作も、本当に楽しみです。
      願わくば、メジャースプーンくらいの子どもたちが主役のものも読みたいですよね(*'-')フフ♪
      2012/10/26
    • マリモさん
      いえいえ、私も偶然発見しただけなんですが、作家の読者道は、他の作家さんのもけっこう読み応えがありますよ(笑)。作家さんって本当に本の虫が多い...
      いえいえ、私も偶然発見しただけなんですが、作家の読者道は、他の作家さんのもけっこう読み応えがありますよ(笑)。作家さんって本当に本の虫が多いなぁと当たり前のことに気づきます。

      私も辻村さんの子供を主役にした作品が好きで。ロードムービーのみーちゃんの話なんてもうだだ泣きでした。小学生を主役にした作品でも、大人の読者層に十分通用すると思うので、大人向けは大人の主人公、とは限定しないでこれからも若者なお話書いていただきたいです(笑)

      koshoujiさん初めまして。レビュー楽しみに読ませていただいています。いつも花丸してくださったりありがとうございます。
      確かに、読後感があれ?というものが最近は増えてましたね~。まだ直木賞をとった作品は読めてないのですが、これも読後感が悪いとのことで^^;
      途中がどんなに暗くなっても、最後には明るい希望を示してくれていた初期のころの良さもずっと持っていてほしいですね!
      次回作、今まで閉塞感漂う田舎を書いてきた辻村さんが書く、明るい田舎ってどんなだろうと私も期待しているところです。
      2012/10/26
    • まろんさん
      マリモさん☆

      「作家の読書道」、教えていただいてすぐ、お気に入りに登録してしまいました♪
      教えてくださって、ほんとに感謝感謝です!

      ロー...
      マリモさん☆

      「作家の読書道」、教えていただいてすぐ、お気に入りに登録してしまいました♪
      教えてくださって、ほんとに感謝感謝です!

      ロードムービーのみーちゃん。。。そのフレーズだけでウルウルしてしまう私です。
      あんなけなげな姿を見せられたら、ぜったいに「この子をこの先一生守る!」と思わずにいられませんよね(*'-')フフ♪
      2012/10/27
  • 高校時代のかつてのクラスメイトたち。20代後半になる彼らは卒業しても毎年一回は必ずクラス会(同窓会)を開催していた。年を重ねる毎に集まりは決して良いとは言えなくなってはきたが、そこで必ず話題になるのが女優になって活躍している「キョウコ」。女優になってからは一度も同窓会に参加しておらず、クラスメイトたちは何とか彼女をこのクラス会に参加させようと躍起になる。

    高校時代に何か後ろめたい出来事があった事を匂わせつつ、半田聡美/里見紗江子/水上由希/島津謙太/高間響子の目線で物語は進んでいきます。

    誰もが持っているであろう嫉妬や見栄、優越感や劣等感、だけどもそれを相手に悟られまいとする心理描写はもう脱帽です。ちょっとドロドロで腹黒さが渦巻いてましたが、分かる〜と思ってしまう私もまた腹黒いのでしょうか。笑。

    里見紗江子のストーリーには涙が溢れました。劣等感の塊だった紗江子に、最後救いがあって本当に良かった。女の友情なんて儚くてもろい部分もあるけれど、芯の所で繋がっていたんだねと安心できました。

    語り手が進むにつれて、高校時代の出来事が少しずつ判明していきますが、やはり辻村深月。ただでは終わらない。またしても騙されてたよ、なんか違和感はあったんだけどそうゆう事だったのね。だけどこういう仕掛けは嫌いじゃない。

    あんだけドロドロしてたのに、ラストは綺麗に上手くまとめられていてとても良かったです。

  • 高校時代では主観的にしか見えていなかったことが、時間を経て、他の人の見方を加えて客観的に見えるようになっていく。過去に囚われてた人が、精神的に成長し高校時代のコロニーから抜けていく。
    各登場人物の視点を上手に使って物語の全貌を描いていると感じた。

  • 180409
    読み切った。
    最初全く理解してなかったけれど
    読み進めるうちに謎が解けていった。

    りんちゃんに何かあると思ったけど
    まさに…。
    章ごとで描写が変わるのも面白かった。

  • 高校卒業後10年目の同窓会で始まる。
    このクラス、毎年必ずクラス会をやってる。

    クラスメイトの「キョウコ」が女優に。
    同窓会には来ないので、次回は来させようと躍起になる。

    高校の時、「キョウコ」は女王だった。
    しかし、後半で驚かされる。2人の存在。

    クラスメイト5人の話で区切られてて、
    湊かなえテイストだと思ってしまった。

    学生時代って大なり小なり、些細な出来事が起きてみんなの気持ちも1つになったりバラバラになったり。
    楽しい思い出もあれば苦い思い出もある。
    10年経って明らかになる事もあるんだよね。

  • 【あらすじ】
    クラス会で再会したメンバーは、次こそ女優になった同級生「キョウコ」を呼ぼうと話し合う。青春時代の苦すぎる思い出を抱えながら……


    『私は降りています。最初から何も期待してなんかいない。自覚があるのだから、だからお願い。比べないで。』

    『計算のない人間など、存在しない。人間は皆、自分の都合でしか動けない。』


    【個人的な感想(ちょっとネタバレ)】
    物語としてすごく面白かった。
    最後の方に「そう言うことか!」疑問に思っていた点と点が結ばれた。(倫子=りんちゃんだと思っていたので、少し混乱した。)
    出てくる登場人物で自分と重ねられる人はいなかったけど、「キョウコ」の生き方はかっこいいなと思った。

  • 辻村さんの作品は好きですが
    今回はあまり楽しめず。


    得意の名前トリックが使われてますが
    なかなかわかりづらい設定でした。
    キョウコは響子で
    りんちゃんは倫ちゃんじゃなくて今日子で
    倫子はみちこで…


    あれって誰の話だったっけ??
    ってなってしまい
    頭で理解できても
    楽しむまではいけませんでした。


    再読も考えましたが
    それほどまでの内容でもないかなと感じました。


    名前トリックの為の表現のせいで
    ぼやっとしてるところが多く
    スッキリしない読後感でした。

  • 青春時代の苦い思い出と同窓会。
    ミステリというよりも群像劇と呼ばれた方がしっくり来る。
    女性の内面の暗さや、キラキラしたものの裏側を徹底して描いている。本作に登場する男たちが本当に計算されたような嫌な男ばかりで端から頭をひっ叩きたくなった。そういう小説ではないのですが。
    個人的にはあまりしっくり来なかった。


  • 1人目の話が読みにくくて、読み続けるか迷ったけれど、途中に伏線回収あり!面白かった!

    2人目の地味な子と、3人目の見栄張りなこの話が特に好き!2人目の話ではドロドロしつつも友情があり感動した。
     
     高校の同級生6人それぞれの視点で話があり、自分思っている自分像と、他者から思われている自分像が違っていて面白い。

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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