猫を抱いて象と泳ぐ

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163277509

感想・レビュー・書評

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  • 登場人物の行為がしっくりこず、象や運転手、マスターの死の描写が居心地悪くて、唇の意図なんか高評価の方々はどう消化してるんでしょう。

  • 身体は囚われの身でも、どこまでも空想の世界では自由に泳げる。そんな気持ちで愛おしい小さな世界を気持ちよく眺めていたのに、途中からどうにも冷めてしまった。

  • 唇に産毛が生えているアリョーヒン、太ったマスターは実に美しいチェスを打ちます。チェスを打つ者にとって、見た目なんて関係ない。チェスを打つ者は盤上で打つ手が全てで、互いに対局を通じて、次元の超えた対話をしているということです。まさに、盤上に潜るという感覚、スポーツで例えれば、ゾーンとでも表現出来るのかな。言葉なんて、賢し顏で知識を身につければ、容姿なんて、化粧をすれば、着飾ることが出来る。しかし、チェスを打つという行為は人格がもろに露呈する。印象深い身体的特徴、さらに顔を隠し、ロボットに入ってチェスを打つという展開は盤上での対話を印象付ける演出だったと思います。小川洋子さんにとって、今作は「博士の愛した数式」のように、そのような言葉に出来ない、目に見えない、透徹とした美を言葉にする挑戦だったのだと思います。敷衍して言えば、結局は言葉も容姿も、いくら取り繕っても、滲みでる美があるということかもしれません。文章も然り。ストーリーの秀逸さではなく、紡ぐ文が醸し出す魅力で読者を圧倒させる。物書きにとっての最大の命題なのではと思います。ここまでくれば、もはや、古典となりえます。誤解を恐れずにタイトルについて触れれば、猫の名前はポーン。象は大きくなり過ぎて屋上で生涯を終えたことから、猫とはチェス、象は懊悩に満ちた人生として解釈出来そう。泳ぐとは盤上のゾーンに入るということで、「猫を抱いて象と泳ぐ」とはチェスを胸に、人生を夢中で謳歌するといったような意味に勝手に解釈しておきます。

  • 退屈だったけど美しいお話でした。

  • チェスが題材。人形の中での人生に違和感。必然性に乏しい。

  • 不思議な世界。
    おもしろいというような話ではない。
    タイトルはおもしろいかも。
    確かにチェスの初歩知識があるとよいやも。

  • 独特の世界の中で静かに物語が進行していく。
    なかなか面白そうだなと思って読み始めたが、頻繁に出てくるチェスの描写が全く理解できず(やったここともなければルールも知らない)だんだん退屈に思えてきてしまった。
    そこのところは残念に思いながらも、なんとかストーリーで面白さを得ようとしたが遂に挫折・・・。
    最後まで読めばこの本の印象も変わったのかなと思いながら道半ばで・・・。

  • チェスちょっと始めたくなった。

  • 後に”リトル・アリョーヒン”と称される少年は、住居に改装された回送バスでマスターにチェスを教えてもらった。

    デパートの屋上で飼われそこで死んでいった象のインディラ。
    家と家の狭いすき間に挟まって死んでしまった女の子「ミイラ」と夢で会う。
    学校のプールで発見したバス運転手の変死体。
    自動チェス人形がいる海底チェス倶楽部。
    エチュードという老人ばかりが暮らす集合住宅。

    私、チェスできないからなぁ。。

  • チェスを題材にした大人の童話的な切ない悲しい物語。リトル・アリョーヒンと呼ばれるまでにチェスに長じた少年がマスター、ポーン、ミイラとともにチェスの棋譜を重ねてゆく。対局相手や対局方法に翻弄されながら海底チェス倶楽部、エチュードへの流れてゆく。

著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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