まほろ駅前番外地

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著者 : 三浦しをん
  • 文藝春秋 (2009年10月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163286006

まほろ駅前番外地の感想・レビュー・書評

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  • 前作『まほろ駅前多田便利軒』は読んでいたのだけれど、
    ドラマ化されるのはこちらの『番外地』のほうなのだと聞いて
    あわてて手に取った、またしても計画性のない私。(間に合ってよかった!)

    前作を読んだのはかなり前なのに、登場人物が皆、くっきりと印象に残っていて
    あれ?これって誰だっけ?という人が一人もいないあたりが
    敬愛する名作漫画で培われた、しをんちゃんのキャラクター造形の素晴らしさです♪

    若くして、裏の世界では冷徹な仕事ぶりで通っているのに
    イラつきながらもママには寛容で、恋人の清海にはバランスのとれた和食を作り
    サンドイッチのお弁当まで作って夏期講習に送り出し
    飼う気のなかった子猫のために猫用品をごっそり買い込んで帰宅する星くんが素敵。

    多田が息子のふりをして見舞っていた曾根田のおばあちゃんが
    「まほろばキネマ」の看板娘で、遠い昔、映画のような「ろまんす」に身を焦がしていたり

    バスの間引き運転追及が生き甲斐の岡老人の陰で、実は奥さんが
    聖母マリアの如き慈愛あふれる視線で多田と行天の仲を見守っていたり

    倍も年上の夫に恋し続けた挙句に死なれた未亡人に、多田が久しぶりに恋したり

    無関心な親に放置され続けている少年、由良のことは気にかけて
    なにかとちょっかいを出す行天が、泣き叫ぶ幼児には発作的に怒りを爆発させたり

    まほろの懐かしい面々が、思いもかけない過去や新しい一面を見せてくれて
    もう、楽しくてたまりません♪

    それにしても、多田の恋は発展途上のままだし、ラストの「なごりの月」に
    行天の今まで見えなかった一面を突如として垣間見せちゃってるし、
    しをんちゃんたら、続きを書く気満々ね?!と
    ファン心理をくすぐってやまない筆遣いが心憎い、『番外地』なのでした。

  •  「まほろ」続編。やっと読めた。
     前作からだいぶ時間が空いてしまったけれど、曾根田のばあちゃんや岡夫婦や由良公の名前と前作のちょこっとしたエピソードを読んで、「ああー、そうだったそうだった。」とすぐに思い出せる。ルルたちも元気そうで良かった。


     岡夫人視点の話では、昔の多田があんなに暗かったのだと知ってびっくり。行天のほうは、前作にいろいろと含みがあったから、多田と暮らすようになって変わっていったんだなあって、実感していたんだけど、多田も行天と一緒にいることで変化していったのね。それはよかった。

     
     家族でも恋人でもなく、友人でもない多田と行天。細く薄い結びつき。
    行き場もなく、一緒にいたい相手もなく、「行天でも、まあいないよりはまし」と考えて、行天と一緒にいる多田だけど、はてさて行天の方はどうなのか。


     チワワにケーキを食わせようとしたり、
    便秘になると食欲が増したり、
    いきなり多田の運転する軽トラから飛び降りて由良公を追いかけたり、
    なぜかやたら歌がうまかったり、
    ありえないくらいケンカが強かったり、
    なぜかいきなり筋トレを始めたり、
    正月にはやたら立派な門松を欲しがったり、
    金剛力士像の吽形を目指すから、多田には阿形になれといったり、

    はたから見ると、ハチャメチャな言動をとる行天。けれど、彼はいまだいえない傷と狂気を内に秘める存在。


     多田と行天には、これからも離れないでいて欲しいと願う。
     お互いを大事だと感じる気持ちがあれば、家族や恋人や友人といった言葉を越えて、そこにはとても低音だがしぶとく存在する「愛」が存在するのだと私は信じたいから。

    と、いうわけで、続編期待します。

  • 「バイバーイ」と、別れた後、
    また、すぐにでも会いたくなっちゃう感じのふたりだなぁ~と、思った。

    便利屋稼業の多田と、行天。
    番外地編から出会った私は、このふたりの過去については、何ひとつ知らないが、
    暗く、重い何かがあった事を仄めかせつつも、
    不穏な陰が物語を覆ってしまう事など、まるで無かった。

    逆に、
    キレイごとを並べる必要など無くても、
    ごく自然に二人の周りに集まってくる人達との関わりを見てると、
    両者の間にしっかり結ばれている絆、は浮かび上がってくる。
    どこまで行っても、何をしても反発しあう、対称的な二人だが、
    物語の底のほうで、しっかり根付いているお互いへの信頼が、
    まほろ町を温かく照らす、柔らかい灯りになっている様な気がした。

    とにかく、
    本を閉じて「バイバイ」はしたが、
    またすぐにでも二人に会いたい!
    とんでもなく魅力的な便利屋稼業さん達の物語♪

  • まほろ駅前多田便利軒の番外編的本書.
    悪いのに憎めない、そんな人がたくさんでてくる.
    人情やさんの多田さん、行天はまだまだ何かを隠し持っていそうな感じ.

  • 三浦しをんを読むといつも戸惑う。いったいこの底なしの暗黒はなんなのだと思うから。冷たい井戸の底から拭きあげてくるひんやり湿った風のような文章の手触りが、心地良いのか不快なのかすら判断できない。
    思い余って他の人の感想を探ってみると、これまたまったく予想外の感想ばかりでさらに戸惑う。
    「ほのぼの」「心あたたまる」という系統と、「すごく面白い、可笑しい」というコメディとしての評価、あるいは「薄い」「全然おもしろくなかった」という不評の三つ巴なのだ。
    私は一度も「ほのぼの」とか「心あたたまる話だ」とか思ったことはないし、声を出して笑うという意味での可笑しさも感じたことがない。
    では面白くないのか、薄いと思うのかといえば、まったくそうではなく、むしろ、あまりの底の深さにぞっとしている。どの人物も決して一色ではなく、善と悪が複雑に絡み合い、単純な好悪の判断をさせてくれない。

    本作は「番外地」というだけあって、スピンオフ作品が主になっている。特にバスの間引き運行疑惑にとらわれている岡のその夫人の物語であるとか、星良一、田村由良の物語は、番外編ならではの楽しさを味わうことができる。
    ラストの「なごりの月」は、次回作へ続く物語なので、宙ぶらりんな形で終わっているが、近々に続編が出るようなのでそれを楽しみに待ちたい。

    それにしても、行天。全然好きになれないタイプなのに、どうしてこんなに惹かれてしまうんだろう。おそらく彼が持っているであろう底なしの暗黒に引き寄せられてしまうのだと思う。子どもに対して見せた彼の逆上ともいえる嫌悪感は、いかにも行天らしいと言える。

    それとも。
    すべてが私の勝手な深読みに過ぎないのだろうか。行天はただのわがまま男で、多田はさえない中年男にすぎないのか? ゲラゲラ笑って読み流せばいいだけの話なのだろうか。
    どうしてもそう思えないから、読み終わると気持ちが落ち着かなくてウロウロしてしまう。

  • まほろば駅前多田便利軒の続編だったのだね。読み始めからなんだか続き物の雰囲気。しくじった。。と思ったけど仕方なく読む。
    まず多田って名前にびっくり。同級生にいた。(笑)面白い名前だな~と思ってた。(失礼)そして行天。。。こんな名前の人いるのか?(笑)と思いつつ読むと、このでこぼこコンビが繰り広げる心温まるストーリーと思いきや別に温まらない(笑)

    でも時代感の無い独特の空間を旅してるように読めた。三浦さんの書くこういう雰囲気好きだなぁ。。。前作も読もうっと。

  • 前作の1年後。いろいろな人が主人公になった短編集。どの話でも行天のキャラが強烈。トイレに腕がはまるとか!間引き運転の証拠をつかもうとしているおじいさん、憎めない。

  • そうか、そうか、番外編だから番外地だったのか。と読み終わってから気付きました(苦笑)
    今回は主人公達の周辺人物(前作登場)にスポットがあたって、特にバスの間引き運転を見張る岡夫妻の話が良かったと思いました。前作ではちょっと偏屈な老人という印象だったのですが、これを読んで、ちょっと偏屈でかわいい老人に印象が更新されました。
    多田の恋の行方や行天のトラウマも気になるところですが、それは次作への持越しですよね?

  • 多田、行天のペア再び。ぶっ飛んでいるようで、繊細な彼等の前作から1年後のお話。
    前作お客様たちも健在。

  • まほろ駅前多田便利軒の続編。
    相変わらず多田と行天が活躍し、相変わらずカッコイイ。

    前作に引き続き、お薬を売るギャングの星くんや、冷めた小学生の由良公、娼婦のルルとハイシーも大活躍。

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    多田目線じゃない話が多いと思いながら読んでたら、本の帯にスピンアウトストーリーと記載があり、なるほどと思った。
    でもそういうのって、スピンアウトと呼ぶんじゃなかったっけと思い、wikipediaでスピンオフの頁を眺める。
    すると、なるほど、本編にこだわらない設定のことをスピンアウトと呼んだりもするとのこと。微妙にふたつの言葉は同義語ではないみたい。難しい。
    連載終了した漫画で、その後をスピンオフで読めたりするのは嬉しかったなあ。

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    最初の指輪の話がどこか別の話につながってくるのかと思ってたらそうでなくて、読み終わったとき少し恥ずかしくなった。

    さらなる続編ももうすぐも出るみたい。楽しみ。

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