茜色の空

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 81
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163290409

作品紹介・あらすじ

決してスマートとはいえない風貌に「鈍牛」「アーウー」と渾名された訥弁。だが遺した言葉は「環太平洋連帯」「文化の時代」「地域の自主性」など、21世紀の日本を見透していた。キリスト教に帰依した青年期から、大蔵官僚として戦後日本の復興に尽くした壮年期、そして"三角大福"の一人として党内抗争の渦中へ-「政治家は倒れて後やむ」と言い総選挙の最中に壮絶な"戦死"を遂げるまでを、愛惜とともに描く。

感想・レビュー・書評

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  • 2011.6.29読了。
    私が物心ついたときの日本の総理大臣。現職の総理大臣の急死を知らせる新聞の一面は、当時の私には強い衝撃だった。
    本書を読み、大平総理は非常に思慮深く聡明で、地に足のついた政策をやっていたように思われる。もっと長く在任していたら、日本の風向きは変わったのだろうか?歴史にたらればはないけれども。まだ私にとって、昭和の日本の政局、知らないことが多すぎる。

  • 160407 山口廣秀 日銀副総裁
    大平正芳元首相の政治哲学のすごさを再確認

    「権力はそれが奉仕する目的に必要な限りその存在が許される」
    権力者が常に座右に置くべき名言

    191215 堤清二氏に関心を持つ
    この方は、時代の行方を読み、構想する「偉人」神の如し
    関連の本を読み始めたところ
    堤清二氏の著作に本書がある
    再読してみようと思う
    時代は「哲人」を必要としているが、人材は皆無

  • 茜色の空 辻井喬=堤清二 文藝春秋

    大平正芳総理大臣の伝記を小説化した物語
    農家の次男坊に生まれ早くに父親を亡くし
    苦労しながらも東京商科大学に進み経済哲学や思想史を学んだ
    大倉省に入り官僚あがりの政治家となりながらも
    カトリックの信者として清廉潔白を良しとし
    正義感の強い人情家の政党人として見られ
    池田勇人に引き抜かれた異色の人
    派閥は違う吉田派の田中角栄と気が合い生涯仲間として付き合う
    そのために利己的な福田や三木に利用されコケにされた
    しかし消費税などの政策への姿勢を見ると
    明らかに官僚寄りだし
    とても農民や民衆の自律や幸福を目指した政治家とは
    言えそうにない

  • 大平正芳の小説形式による評伝。どちらかといえば地味な印象の政治家だが、その生涯をケレン味なく淡々と描く。淡々としすぎて物足りなく感じる向きもあるかも。タイトルは故郷の山から夕方に瀬戸内海は燧灘を望んだ様子。

    プライベートな面の描写はあまり多くないが、満洲からの留学生や親しい学者の異母妹が登場して多少の彩を添える。あと小説らしいのは、角栄と気の合うところとか(そこまでではないか?)、森野元のゲスい感じとか。

    高松高商、大阪、東京商大時代 p.49まで
    大蔵省時代 p.178まで
    政治家時代(総理以前) p.350まで
    総理時代 p.424まで

  • 大平正芳という政治家は知っているけれど、これほどの知性と洞察力と政治哲学を持つ秀でた政治家だと知らなかった。60年代、70年代の我が国政治の重要局面でこれほど影響力を持った人物であったとは驚きである。‘権力はそれが奉仕する目的に必要な限りその存在が許される’ 氏が書きとめたこの言葉は権力者たる者の自戒をこめたものだろうが、同時に政治家として非難をおそれず権力を行使し良い結果に結びつける責任があるという覚悟でもあるのだろう。

  • さすが作家、と思わせる一冊。何となく知っていた、大平正芳像をくっきりと浮かびたたせてくれた。

  • 大平正芳伝記だが、自民党の歴史を気軽に勉強できる。
    話は沖縄返還あたりまでは面白いが、あとは派閥争いの話ばかりで退屈。主人公が首相になってからが一番退屈とは何事だ。

  • 大平総理の学生時代からの伝記物です。
    若いときから「あー うー」と発声していたらしく、細い目の為驚いても相手に悟られないと聞くと、なかなか昔からひょうきんなところがあったのだと思うと笑ってしまいますね。性格的に相手の話しをじっくり聞くタイプだそうで、あまり敵を作らない人と推測します。また、かなりの読書家らしくただ文学青年というよりは書生みたいな感じではなかったか。とりあえず、私的には尊敬できる数少ない総理大臣の一人ですね。

  • 大平正芳の生涯

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著者プロフィール

小説家、詩人。元セゾングループ代表。著者に『茜色の空』など。

「2010年 『大澤真幸THINKING「O」第4号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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