WORLD WAR Z

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (536ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163291406

感想・レビュー・書評

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  • 大傑作。全世界を舞台に、ゾンビとの人類滅亡をかけた世界大戦のあらましを、終戦から10年後の視点から描く500ページ超えの大作。

    国連の調査官が世界中の生存者達に過去を振り返ってもらい、その聞き取り調査の結果をまとめて個人的に出版したもの、という形を取っている。本文の言葉を借りれば、公式な報告書からは削られた「人間的要素」が詰まった生々しい声の記録。

    インタビューの対象は政治家、役人、軍人、医者などに留まらず主婦、引きこもり、果ては宇宙飛行士など多岐に渡る。
    それぞれの立場、それぞれの視点から描かれる戦争。体験談は戦争の発端、拡大、終息へと時系列に連ねられている。それぞれのミクロな体験談が、次第にマクロな戦争の輪郭を少しづつ象っていく。この形式が新しい。じわじわと明らかになる戦争の全貌。一見無関係なエピソードも後に意外なところでリンクしてくるのが心憎い。
    戦争そのものの政治的、軍事的な展開はリアリティに溢れ、時に楽観的に、だけど多くの場合は悲観的に進行していく。死なずに済んだ多くの命があった、と誰もが認めている。現実は「インデペンデンス・デイ」とは違う。そんな簡単に世界はまとまらない。現実にもこうなりうるだろう。

    映画はだいぶ原作と違うらしい。ゲームはどうなんだろうか。気になる。

  • 映画・ゲーム化もされた、ゾンビパニック小説です。
    舞台は日本を含む全世界。
    ゾンビとの戦争“world war Z”が終結してから10年後、生存者へのインタビュー形式で話が進みます。
    スケールは地球規模ですが、戦時を語る個人の存在感がそれに勝り、不思議な面白さがある一冊。

  • 映画未見。
    ゾンビもの、なのだけど何より見事だと思ったのはこの作品の形式。
    世界中に広がったゾンビとの戦争が終結した後、国連職員が各地の生存者に行ったインタビューをそのまままとめた、という形。
    あくまでインタビューを受ける人の主観で語られるので、逆に語られない空白に起きたことや感情を想像せずにいられない。
    インタビューされる人々も地域や立場が様々で、全体と細部が同時に入ってくる。
    キャスティングが上手い。
    ただ、国や民族の描き方が結構ステレオタイプな感じがして、そこは残念。
    しかし惨事に乗じて私腹を肥やす輩やら、統治者による事実の隠蔽やら…ああ目の前で今見てますね…

  • #fb 映画と全然違うお話よー、という予備知識ありで読んだ。しかし、それにしても読みにくかったよ。なんでだろう。電子書籍でよんだから、だけだったとはとても思えず。訳のせいかもね。エピソードによってはぐいぐいと読み込んでいったけど、あー、よくわからーん、とページだけ進めてしまったものも多数。

  • ゾンビ戦争を生き抜いて10年。
    生き残った人たちにインタビュー形式で綴られる個々の物語。

    多種多様な人たちの書き分けがすごい。
    微妙にリンクしていたり、最初と最後で繋がっていたり。
    ちょっと分厚いけれども面白かった。

  • ブラッドピット主演の同名映画の原作。でも内容は別物。

    世界がゾンビとの対決をして、その戦争が終わって10年後に当時の関係者にインタビューするという形式。ちょっとなれない形式の小説だったので読むのに疲れた。

    しかし初のゾンビ小説としてはぞくぞくするほどの面白さもあった。ゆえに星は迷った。三つでも良かったが四つにした。

    ちなみに映画はものすごく面白かったので、原作も読みたくなった次第。これはこれでまた別モノとして面白くはあった。

  • 子供たちを守るために、燭台でゾンビと戦ったシスターが胸アツ

  •  ゾンビものというジャンルの可能性。ゾンビものの、突き詰めえる一つの極地。
     ……いやー、実にお見事でございました。

     ゾンビものを読む時に、どんな内容を期待するか。ホラーか、スプラッタか、アクションか、全面戦争か、あるいはゾンビによる終末ものか。
     全部が詰まっておりました。

     世界じゅうがゾンビと戦い、かろうじて勝利(というか、とりあえずの優勢)を収めた世界の、世界各国の人たちのインタビューもの。
     ゾンビが世界を席巻して、政治体制が変わった国あり、不気味な沈黙を守り続ける国あり、国から総移住をする国あり(日本だけど)。
     あの時あの場所で、ゾンビがゾンビと認識されなかった頃、ゾンビが出始めた頃、ゾンビが大地を覆っていた頃、どこで何をしていたか。

     数多くの人が登場して、それぞれの“ゾンビ体験”を語っていくのですが、
     一つ一つのインタビュー内容がよく掘り下げてあって、内容がしっかりしている。叙述トリック的なものとか、ショートショート的な話とか。

     一人一人にフォーカスをあてたら、個々に一冊分の小説が書けるんじゃないかってくらい、内容が充実していました。
     そのくらい、ゾンビシチュの燃えを一冊に突っ込んだ本。
     個人的には、ゾンビ全面戦争の方向性を決めたレデカー・プランの提唱者と、あと宇宙ステーション滞在中に地球上がゾンビ禍に呑まれていった宇宙飛行士の話が好き。あと、家族揃って北に逃避行した女の子とか。

     ちなみに世界じゅうの方のインタビューなのですが、日本代表はオタクでヒキコモリの青年と、シャベル一本でゾンビを打ち倒す盲目の老人が出ておりました。
     ……日本のイメージってこれなのか……?

  • 検査するには、自分が何を見つけようとしているのか知っていなければならない。


    だが証拠がないからといって、その説をまちがいだと決めつける根拠にはならない。


    たいていの人間は、実際に何かが起こるまで、いまこの日常が続くと信じている。


    生まれてこのかた憎悪しつづけてきた人々について自分がほとんど何も知らなかったことがようやくわかった。


    「この世でもっとも価値のある商品は恐怖だ」「テレビのコマーシャルを見てみたまえ」「視聴者はなんのために金を払うと思う?商品か?ちがうね。その商品なしに生きていくと想像したときに感じる恐怖のためだ」ズバリ、大正解。老化の恐怖、孤独の恐怖、貧困の恐怖、挫折の恐怖。恐怖は人間のもっとも基本的な感情だ。恐怖は根源的だ。恐怖は売れる。そいつが俺のモットーだ。「恐怖は売れる」。


    軍隊ってのはおかしなもんで、金になるスキルをいろいろ身につけられるぞとか言って入隊を勧めるくせに、いちばん金になるのは誰かを守りながら別の誰かを殺すことだっていう肝心要のところは教えてくれないんだよな。


    無知こそがほんとうの敵で、冷たくて硬い事実は武器だった。


    自由は、手に入れてしまえばそれでおしまいというものじゃない。どうしても手に入れたい何かがまずあり、そこでそれを獲得するための自由が必要となる。


    わたしたち、わたしたちの国、わたしたちの子どもらの命運を決める選択はすでになされていた。攻撃だ。


    一匹のダックスフントが俺の相棒。ダックスフントはまちがいなく究極の都市戦士だ。タフでスマート、しかもミニなら狭いスペースだって自由自在。

  • 個人の視点で世界的な出来事を描くのが面白い。終わり方がイマイチかな。あとご家庭に日本刀は置いてない。

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