今日を刻む時計 髪結い伊三次捕物余話

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163293301

感想・レビュー・書評

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  • しばらく伊三次シリーズから遠ざかっていました。伊三次や中心となって登場していた人たちが所帯を持ち中年に差し掛かって分別がつき、物語に勢いがなくなったように感じたからです。
    ひさびさに中断していた続きから読んでみて、面白かった。
    不破の息子龍之進が、さわやか、無鉄砲、若々しいところから脱皮して、自堕落になった様子から話が始まった。いい具合に人間性に厚みが出てきてこれからの展開が楽しみになる。
    今回人の出自、取り巻く環境、事情などが、親子、友人、恋人など人間関係にどのように反映するかに光が当たっていたように思う。

  • 2022年10月10日
    龍之進がこんなに不良とは知らなかった。
    武家の長男で折り目正しいと思っていたから。
    でもクサクサすることは人生にはあり、
    周囲の人がやきもきし、ときをみて更生の手助けをしてくれる。
    この繋がりが江戸にある。
    こんなふうに結婚が決まったとは。
    後続を読んでいたけど、
    この展開は知らなかった。
    読んで良かった。

  • このシリーズの他の作品と比べてあまり好きじゃない。
    伊三次とお文をもう少し出して欲しかった。

  • 髪結い伊三次捕物余話九巻。前巻『我、言挙げす』から10年の月日が過ぎて……。独身を続けている同心不破龍之進の縁談・嫁とりを中心に物語が進む。龍之進にいくつかの縁談が持ち込まれるが壊れてしまう…、母いなみが武家の生まれであるが吉原の女郎上がりという原因、そのショックで自堕落になった龍之進にお文だけが強い叱責をするのだが…、お文を通じ龍之進の母親のところへ行儀見習いにくる江戸で屈指の廻船問屋の娘おゆう・結核で死ぬ幼なじみの松太郎から遺言として託された彼の許嫁徳江と登場するのだが……。世代交代したなぁ~

  • 伊三次を取り巻く環境が変わった
    そう、前作で火事に焼け出された
    あと10年の月日がたっている
    火事の際に一人子供を授かって
    いまや9歳の女の子
    お文さんも芸者を続けているし
    不破龍之進は母親に反発してか、
    27歳でフラフラとしてる!
    なんだか幻滅だったが、読み進む
    うちに素敵な人間模様が待ってました

  • L 9 髪結い伊三次捕物余話
    読み始めてすぐに一体これはどうなってるんだ、と訝しがるもすぐに気がつく。あーショック。まだお文が芸妓をしてるのはびっくりだったけど、九兵衛が弟子として続けているのには安堵。いきなり時がぶっとんでて寂しい。龍之進は体たらくになってるし。いなみが吉原の出なんて1.2巻の話じゃないかー。龍之進が復活したら伊三次を差し置いて主役顔。別のシリーズにしたらどうでしょう、全然イケル。

  • 伊三次シリーズで久しぶりに面白かった。

    いきなり10年の月日が経っていたが、不破家の若旦那龍之進の若者ぶりを中年女性作家が憧れて描く様な嫌らしさがなくなり、それなりに成長して市井モノらしさが戻ってきた。龍之進が嫁の徳を強引に決めたまで。

  • いつの間にか不破の息子が大人になって、嫁を連れてきた。

  • 前作から内容が10年の時間経過を経ています。ここのところ何巻か、不破龍之進が主役を張っていましたが、それが今回も続きます。

    彼だけ独り身だったのですが、今回やっとお嫁様が決まり(笑)

    本音を言うと、これだけ引っ張ったのですから、お武家の娘が何もかも(母親が吉原にいた事で縁遠くなっていたので)

    呑み込んで、心意気を見せ、縦から見ても横から見ても文句のないカタチで添って欲しかったなあと思います。

    どうも私、このシリーズは町人達が動く巻の方が面白いように思います。一冊の完成度が高いので、小説としては読ませるんですけれどもね。

    宇江佐さんはひとりひとりの行く先をちゃんと描かれると思うのでそこに伴走するような姿勢で読者が読んでいくのもいいですし^^

    でも、お武家様が主役になると、何となくシリーズの空気が違うんです。あれはどうしてかしら?

    ともあれ、独り身にやけになった龍之進に喝を入れるお文、いやさ、文吉姐さんは健在で。さすがです。

    次の巻も、なんだかんだ言って早く読みたい。いいシリーズだと思います。

  • 伊与太が描いた不審な男の人相書きを,伊与太の手紙のように大事にする茜がかわいい。(せっかくの情報を誰にも見せずにいて,兄貴に叱られるんだけど)
    このふたりどうなるのかなあ。

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著者プロフィール

1949年函館生まれ。95年、「幻の声」で第75回オール讀物新人賞を受賞しデビュー。2000年に『深川恋物語』で第21回吉川英治文学新人賞、翌01年には『余寒の雪』で第7回中山義秀文学賞を受賞。江戸の市井人情を細やかに描いて人気を博す。著書に『十日えびす』 『ほら吹き茂平』『高砂』(すべて祥伝社文庫)他多数。15年11月逝去。

「2023年 『おぅねぇすてぃ <新装版>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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