マルガリータ

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 199
感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163295107

感想・レビュー・書評

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  • この話がどこまで事実なのかは分かりませんが、この時代、日本でもこのようなことがあったのかと知ることが出来ました。前半はひたすら史実を追うので読むのは大変かもしれませんが、歴史の勉強をするよりも、この一冊を読めば分かることが沢山あると思います。後半からの展開がよかった。珠とじゅりあんのやり取りのあとの、結もよかったです。今の時代は珠のような人が多く、皆それぞれに、尊いですね。

  • 千々石ミゲルが底なしに良い人に思えた。しかしその中でもところどころに人間味があったのが妙にリアルだと感じた。ミゲルというと、一人だけキリスト教を捨てたということであまり良いイメージは無かったが、この物語では形は捨てても心の中ではキリシタンだったという設定なので悪いイメージは全くなく、ただ本当にいい人。
    自分は物語中盤まで知らず知らずのうちにミゲルに感情移入していたので、ミゲル以外の少年使節が再び行ってしまう場面は込み上げるものがあった。
    そしてなにより、四人の友情が素晴らしい。一人で四人、四人で一人という言葉が今も頭に残っている。
    最後の方のミゲルが私はキリシタンだというシーンからラストにかけてはボロボロと泣いてしまった。
    この本を読んで良かったと思う

  • いつも思うが信仰心に欠ける自分には想像し難いところがある。
    宗教は救われるのか。

  • 1582年にローマへ向かった少年4人(正確にはもっといたのですが)。
    その内の一人、千々石ミゲルが日本に戻ってから話が始まる。
    天正遣欧少年使節の正使として、8年かけてヨーロッパを見聞してきたにもかかわらず、突然の棄教。
    その棄教の理由がドラマチックに書かれています。
    4人はどんなことがあってもお互いを思いあい、日本のキリシタンの殉教を阻止するために力を尽くすが、その努力もむなしく幕府の弾圧が厳しくなる。
    中浦ジュリアンが穴吊りにされる前に「4人の絆が如何に強いか見せよう。1日1人が持ちまわって穴吊りに4日間耐えてみせる。」といったのが印象的。
    2007年にやっとローマ法王からその殉教を認められたそうですが「遅いよっ!!」

    遠藤周作の『沈黙』と何か通ずるものを感じる。

  • 無宗教なのでキリスト物等はなぜ登場人物がそこまで入れ込むのか
    理解しづらいのですが、これは語り部のたまが現代人の宗教観に近く入りやすいです。
    一概にキリスト教のみ虐げられた良いものとしても構図ではなく
    色々な視点があったのも良かったと思います。

  •  この国に殉教者を出しては、いけないというミゲルやジュリアンに共感するよ。命を捨てることが美しいというのは間違っている。なんでそんなにまでして宗教にこだわるのかわからん。

  • 天正遣欧使節として、4人の少年がローマに派遣された。


    帰国後、唯一棄教したミゲルと妻・珠の生きざまを追いかけながら、信仰とは?宗教とは?そして殉教とは?を問う。


    豊臣秀吉や徳川家が登場し、ローマの思惑を垣間見せるなど読み応えある作品に仕上がっている。


    ただ、日本における信仰や弾圧が前に出ているので、ミゲルに寄り添った珠の人生とはなんだったのかと考えてしまう。


    真に純粋だったのは珠ではないかと思えてならない。

著者プロフィール

一九六七年京都市生まれ。会社勤務等を経て、司馬遼太郎氏の夫人である福田みどり氏の個人秘書を十九年間務める。二〇一〇年『マルガリータ』で第十七回松本清張賞を受賞し、作家デビュー。

「2022年 『せきれいの詩』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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