勝手にふるえてろ

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 3473
感想 : 701
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  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163296401

感想・レビュー・書評

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  • 綿矢さんの特徴ある表現で語られる、いわゆるこじらせ女子の話

    実際めんどくさい人間だとは思うけれど、誰しにもある感覚なのかもしれないとも思う

    絶滅危惧種にかけるところはうまいですね
    強い人間、弱い人間の件には妙に納得させられてしまいました

  • 主人公の独白で進む物語は、登場人物の名前がひとりひとり明かされる度に、いろんな意味でモヤが晴れるような新感覚!面白いー!最後にとある人の名前が出てきた(=主人公がその人の名前を呼んだ)ことが本当にいろんなことの暗示になってると思います。
    そして個人的には主人公に共感できて、

    「ストーカー一歩手前の自己陶酔が激しいタイプ」
    「いちいちじゃれかたがうっとうしい。男にかわいこぶられても困惑するだけ。」

    あるあるー!がたくさんあるあるだった。笑

  • イチのような存在がいる人って多いんじゃないかな?忘れられない人というか…
    でもその存在って心の中に留めておくだけで、ヨシカのように再会を試みる人は少ない気がする。
    二が現れないかったら、イチのことを思い続けていたかもしれないですね。
    ヨシカの二を見る冷静さはちょっと面白かったです。

  • 初恋を引きずったまま、学生気分で大人になりきれていない女性、ヨシカが主人公。
    初恋の人「イチ」と、ヨシカに交際を求める会社の同僚「ニ」との間で悩む主人公。
    優柔不断女のよくある話かと思ったけど違いました。

    表現や文体・流れが良く、すらすら読めました☆
    こういう事言う男いるいる!ってニの言葉につっこんだり、
    ヨシカみたいにイタイ事思ったことある…って気恥ずかしくなりました^^;

    会社を休んでいる間ニから連絡が無く、気になってコッチから連絡しちゃうヨシカ。(分かる分かる><!)
    気が無い相手でも毎日あった連絡が無くなると寂しく感じるのは何でなのか…謎!!

    最後にニの名前を呼んだ時に繋がったんだなぁと感じました。
    感情の変化が上手に描かれているので、もう1度読み返します♪
    (中央図書館)

  • 女性の一人称世界がどん詰まってカタストロフィを迎える。そうやって初めて思考を張り巡らさずに人と触れ合う瞬間が生まれる。

    自分もそうだし、確かにここで乗り越えたものって今の人にとっては達成したくてもなかなか達成できないもの、つまり美徳だよなと思う。それがこの小説が50年前でなく現代の作品であるといえるところ、現代性というやつなのだと思う。けれど気になるのは、カタストロフィの解放感よりも、そもそもなんで皆そんなに一人称の思考世界のどん詰まりになってしまったのか、そっちの方である。

    あと恐ろしく読みやすい文章。本当に栄養のある食べ物がやや食べにくいと、多くの人はまず食べない。みんなに食べてもらうためにどんどん食べやすくして、そうすると大事な栄養素もどんどんなくなるんだけど、最後に決定的に大事な栄養素をほんのちょっとだけ残せるか。現代作品の勝負ってなんだかそんな感じがする。そういう意味でもうほぼ最適化されている。

    この人が書く思春期の中高生時代の描写が、大人の目で劣化してなくて、妙な生々しさを保っているのが気になる。特徴だと思う。

  • もててこなかった女が初めて恋愛を身近に感じてしまう話。
    ヨシカは多分、物語世界の、奇跡的に気の合う男女が出会って愛を育み、互いをよく理解し合った上で恋人同士になり結婚、というパターンしか知らない。処女をこじらせた喪女故に悩む。初恋にこだわる。イチと付き合えたら嬉しいけれど、自分が宝物みたいに大事に思うイチが自分なんかを選ぶわけはないというジレンマ。

    綿矢さんが書く、一人で考えすぎた脳内の面白世界が好きだ。

    こういうこと思うわ!と、ふと端々に共感を覚えてしまう、みっともない女性の内面を描く作家さんとして、ヤマシタトモコ、本谷有希子、舞城王太郎、辻村深月あたりを思うのだけど、綿矢りさもそのくくりでいけば仲間だな。私の感想ですが。

  • 「思い出はきれいなままで、なんて意識的に作為的に守りだしたとたん、演技が入る。きれいなままにしておきたいということは、実際はもうそれがきれいな思い出ではなくなったことを頭のどこかで知っているからだ。」


    この文章に共感。誰にでもあるだろう、きれいな思い出。


    その思い出を更新して、さらに前進するか、後悔するか。

    主人公の弱々しくも強くなろという気持ちが伝わってくるし、最後は暖かい気持ちにさせてくれる、良い作品でした。

  • 図書館で借りてきて読んだ。一気読み!
    おんもしれえ!!主人公の女の子頭おかしすぎて笑っちゃうんだけど、冷静に考えてみたら全く別の思考回路を持ってるわけじゃ無いかもと思った。
    既婚者ばっかり休む権利があるのはズルいってのは特に分かる、分かりすぎる。自分を見直す休暇欲しい。。。
    側から見たらヤバい自分の思い込みでボロボロになって仕事行きたくなくなるの本当に分かる。
    あとから考えたら青臭かったなーって思うような理由、
    この主人公にはずっと青臭くいて欲しいとも思った。

  • 綿矢りさ先生の小説は2冊目。読みやすく軽い気持ちで読めるのでほっとします。
    こちらは巷でたまに議論される、結婚相手には1番好きな男がいいか、2番目に好きな男がいいかが大まかなテーマのお話しでしょうか。そもそもイチには歯牙にもかけられてないですが。最後の方まで2人の男性の呼称がイチと二。二は本名に通じた名前で、イチは全く違う名前なのも、結末を見るとなにか意味があったのだろうかと思えます。結末自体も個人的にはいい落としどころで綺麗なまとまり方で好きです。

  • 30ページくらい読んだところで、文のリズムというか流れが自分には合わないと感じ、途中離脱しようと思いつつもう少し…と読み進めたら読み終わっていた。そんな本。
    独りよがりの拗らせ女ヨシカ。ヨシカが中学時代から思いを寄せている、掴みどころのない男イチ。ヨシカに言い寄る薄っぺらい同僚のニ。登場人物はほぼこの3人。
    良さをあげるとすれば、根暗なヨシカの心の声の陰湿さと、たまに訪れるシュールな展開、かな~。

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著者プロフィール

小説家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

綿矢りさの作品

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