ロードサイド・クロス

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163297200

作品紹介・あらすじ

尋問の天才キャサリン・ダンス、ネットにひそむ悪意に挑む。陰湿なネットいじめに加担した少女たちが次々に命を狙われた。いじめの被害者だった少年は姿を消した。"人間嘘発見器"キャサリン・ダンスが少年の行方を追う一方、犯行はエスカレート、ついに死者が出る。犯人は姿を消した少年なのか?だが関係者たちは何か秘密を隠している-。幾重にもめぐらされた欺瞞と嘘を見破りながら、ダンスは少しずつ真相に迫ってゆく。完全犯罪の驚愕すべき全貌へと。

感想・レビュー・書評

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  • やってもた!

    単行本上下段で500ページのなかなかの長編でしたが
    途中で前読んだことあるって気付きました
    トホホ

    でもまあせっかく読み始めたので最後まで読みましたよ
    面白かった

    それにしてもこれが10年も前に書かれたなんてほんと驚き去年の秋に書かれたって言われてもぜんぜん納得

    インターネットという虚構の世界に築かれた危うい人間関係にキネシクスの専門家「人間嘘発見器」キャサリン・ダンスが切り込んでいくというのが面白い
    ダンスは尋問相手の微細な動作や声の抑揚などで嘘を見抜く現実の世界の象徴みたいな存在と思うからです
    虚構対現実の代理戦争みたいな

    そしてディーヴァー得意のどんでん返しにネット社会の危険性みたいなんも込められていて非常に示唆に富んだ内容なんだけど
    この作品が書かれて10年たった今も同じ様なことが言われ続けてるってことにうーんってなります
    次のステージはいつ来るんだろう?

  • キャサリン・ダンスシリーズ。ネットいじめの標的にされた少年が次々といじめてきた連中に襲いかかる。またダンスの母親が患者を安樂させた容疑で起訴される。仕事とプライベートのいたぱさみになりながらダンスは捜査を続ける。他にも半安楽死団体や海水淡水化などでてくるが、とっ散らかって、ミスリードとしてはお粗末なまとまりのない内容に思えた。

  • 読み始めてすぐ、おっとこれは! と思い出した。うっすらと・・。
    はっきりと覚えているのは始めと終わり。途中はおぼろ、でもミステリや犯人探しで、最後を覚えているなんて最悪。
    だけれど、メモをしてないとこういう失敗は多い。記録しなかった理由がみつかるかも知れないし。
    いろいろ読むが、また読むことはないと思うとメモしないものもある。でもまぁこの作家なら再読というのも、悪くないかもしれない。
    昨年10月の出版だから読んだのはあまり前ではないのに、あ~あ。

    * * *

    手抜きで「訳者あとがき」から。


    <em>前作「スリーピング・ドール」の事件から数週間。カリフォルニアの風光明媚で平和なモンテレー半島に、新たな恐怖が襲いかかる。</em>
     <em>きっかけは、ある人気ブログに掲載された一本の記事だった。
     二週間ほど前、ハイウェイのガードレールのない区間で自動車が道路を外れて斜面に転落し、乗っていた四人の高校生のうち二人が死亡するという痛ましい事故が起きた。しかしこれまでのところ運転手は逮捕されておらず、州運輸局の道路管理責任を追及する声も上がっていない。記事は”誰一人として事故の責任を取っていない”ことを疑問視していた。
     ブログ主は、警察は運転手を逮捕すべきだと主張したわけではない。また、運転手が高校生であることから、氏名も伏せていた。それにもかかわらず、記事には運転手を知っているという地元の若者からのコメントがたちまち殺到した。オタク、キモい、ヘンタイ、ネトゲ中毒・・・若者たちは独特のネット用語を駆使して、学校でも浮きがちな存在だった少年を容赦なく中傷し始める。
     その後も、やはり同じ記事にコメントを投稿した人々が命を狙われる事件が立て続けに発生、ついには死者も出た。事件とブログが密接に結びついていると断定はできなかったが、事故車を運転していた少年がふいに姿を消したことなどから、連続殺傷事件の犯人は運転手の少年である可能性が一気に高まった。
     インターネットという仮想の世界で”いじめ”に遭った少年が”いじめっ子”たちに現実の世界で仕返しを始めたということなのか。仮想世界でのトラブルが、境界線を越えて現実世界にはみ出してきたのか。
     捜査を任された”歩く嘘発見器”キャサリン・ダンスは、持ち前の尋問スキルを駆使して少年の周囲の人々から真実を引き出しながら、事件の意外な深層に迫っていく。</em>

    書いているうちにますますはっきり思い出した。

    * * *

    というのが大まかな始まりと、捜査官の紹介文で、そこには、ちらりちらりと挿入される伏線があり、キャサリンのお母さんに降りかかった災難あり、コンピュター専門の大学教授の助けがいつの間にか、気持ちの微妙なふれあいになるところもある。

    いつも行動を共にする保安官事務所の刑事に対する心の揺れなどソフトなストーリーも添えてある。

    そういえば面白かったとは思いながら、メモしておかなかったのは、わずかに簡潔にまとまってしまう、終盤の部分に納得できなかったからかもしれない。

    こういうなかで、一応、どんでん返しが効果的に続いて、力量はさすがである、面白い、がそれにしても、終わり方はあまりに安直ではなかったろうか。

    悪人は悪人として裁かれ、無実の人間はそれが自然に証明されるハッピーな結末はいい。解決への糸口がやはり、ほかからの連絡や告発などだというのはよくある話で、空を見てピンと来たり、夢を見てハッと真相に気づいたりする常套の探偵小説に似ている。

    今でも人気のある、RPGなど、ゲームの中の仮想世界が出てくる。実写に近いほどよく出来た画像の中で、怪物や敵を倒しアイテムを集め、役割を決めてチームを作って助け合う、そこでは友達も出来る、家(部屋)を持ち傷を癒すb場所も作れる。こういうゲームを覗いていると、仮想世界にのめりこんでいく気持ちも分からないではない。だが作者の意図はやはり、現代のこの様な現実に対していささかの警告を含んでいるようだ。

    ゲームやブログなど、コンピューター世界に入りこんでいく子どもたちの現実が、活写されて事件解決の手引きになっていく。
    面白く、よく出来た話でも再読すると、作者の意図があからさまに分かって、また別な楽しみ方が出来た。
    ジェフリー・ディーヴァーはまだ読んでない作品を探そうと思っている。

  • キャサリン・ダンス第二作。あるブログと、MMOを巡って起きる連続事件。

    展開がなんとなく読めるなぁと思いながら読み進めていって、それでも最後に予想を裏切られた。
    いいエンタメだった。エピローグは胸に響く。

  •  リンカーン・ライム・シリーズからのスピンオフ・シリーズ、人間嘘発見器キャサリン・ダンスのシリーズ第二作である。

     こちらでもまた、デジタル犯罪である。ここのところこの作者のみならず、犯罪に関する小説も映画もコンピューターやネットを駆使したネタが増えてきた。ある程度出尽くしたのじゃないかと思われるものでも、まだまだネタは尽きないとばかりに、さまざまな作者たちがアイディアを見せている現状を見る限り、ネットやコンピュータの領域というのは、エンターテインメントの一大マーケットとなっているありさまである。

     本作は、ブログ、とりわけ限定エリアでのブログを軸に、特定個人が実際の生活までも含めて攻撃されてゆき排除されそうになる出来事を捉え、そのブログやSNSの特性を踏まえ計画された犯罪というものを描いている。ネットいじめなどは、容易に考えられるのだが、海を越えたアメリカでも学校でのいじめはネットによってより拡散性を増し、燎原の火のように瞬く間に燃え広がる危険性を秘める。そうした怖さと、そこにばら撒かれた精度の低い情報が及ぼすさらなる害悪に焦点を当てた小説とも言える。

     この中には大なり小なりオタクと呼ばれるようなネットマニアの人々が登場し、彼らは時には味方になり敵になり、ダンスの周囲を跳梁する。ダンス自身はネットに明るくなく、そこで助っ人を頼むことになる。彼の手を通じて、ダンスはネットという迷宮に戸惑いつつも足を踏み入れてゆく。仮想冒険の世界は、ネットのブログであり、ときにはRPGゲームの世界でもあり、そこに生きるアバターたちの別次元での生態でもある。

     読者はダンスの眼を通じて、それらの奇妙なあるいは慣れしたしんだ覚えのあるネットワールドを旅することになる。相手の声質や動作、表情などでその心理を見極めるキネシクスというダンス得意の技術は、ネットのアバター相手には成立しにくいが、それでも試みたりするあたりが余興か。

     いつもながらの逆転また逆転で、事の真相に辿り着くには相当の時間と労力をかけなければならないが、真の人間や家族よりもネットのほうに価値を置く人々、仮想空間での仮の人生と真の人生を入れ違えそうになるくらい生活比率の歪んだ人々、などの存在が、一歩間違えれば、われわれ読者の側にも容易に生じてしまいそうなだけに、身近な怖さが一つの味わいといえるテーマになるかもしれない。

     訳者のあとがきによれば、『青い虚空』『ソウル・コレクター』に続くディーヴァーのコンピューター三部作の完結に当たるという。へえ、そういう三部作なんて言い方もあるのかと変なところで感心した次第。

  • スピード感たっぷり 伏線たっぷり 最後の大どんでん返しあり

  • 2010年にネット炎上を書いてたなんて、先見の明ありすぎですね。ダンスの尋問シーンをもっと読みたかったかな。

  • あるネット記事へのコメント投稿から冤罪の汚名を着せられてしまった高校生。その真犯人を尋問のスペシャリスト、キャサリン・ダンスが追う。

    読み出すと止まらないジェフリーディーバー。リンカーン・ライムシリーズはいくつか読んでいて、その中に(確かバーニングワイヤーだったかな?)ちょっと出てきたりしてたんで存在は知っていたのですが、キャサリンダンスシリーズは初めて読みます。やっぱりどんでん返しに次ぐドンデン返しでサスペンス的には楽しませてくれました。サスペンス的にも(適度に先が読めたり殺人のえげつなさのレベルが低かったりして)リンカーン・ライムよりも読みやすい気がします。

    一方で、ジェフリーディーバーとしてはネットの行き過ぎた個人への攻撃を問題視してこのお話を書いたものと思われ、その問題意識もしっかり受け止めたいところ。この本が出版された頃はまだブログ全盛の時代で、SNSは勢いがつき始めた頃、という社会背景がありますが、SNSでの炎上で人が死ぬようになったこの時代にジェフリーがどんな視点をもつのか興味があります。
    キャサリン・ダンスのシリーズは数冊出ているはずですが、最初から追いかけると興味深いかもしれません。この本で一番気になったのはキャサリンをめぐる三角関係の行方ですが、シリーズを追っていくと何か結論が出るのかなあ。

    MMORPGモノの金字塔といえば「ソードアートオンライン」シリーズと一緒にお楽しみください。

  • 尋問の天才キャサリン・ダンス、ネットにひそむ悪意に挑む。陰湿なネットいじめに加担した少女たちが次々に命を狙われた。いじめの被害者だった少年は姿を消した。“人間嘘発見器"キャサリン・ダンスが少年の行方を追う一方、犯行はエスカレート、ついに死者が出る。犯人は姿を消した少年なのか? だが関係者たちは何か秘密を隠している-。幾重にもめぐらされた欺瞞と嘘を見破りながら、ダンスは少しずつ真相に迫ってゆく。完全犯罪の驚愕すべき全貌へと。
    原題:Roadside Crosses
    (2010年)

  • 楽しみに待っていたディーヴァー。面白かった。次回作が待ち遠しい。

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著者プロフィール

1950年、シカゴ生まれ。ミズーリ大学でジャーナリズムを専攻。雑誌記者、弁護士を経て40歳でフルタイムの小説家となる。科学捜査の天才リンカーン・ライムのシリーズ(『ボーン・コレクター』他)や“人間嘘発見器”キャサリン・ダンスのシリーズ(『スリーピング・ドール』他)は全世界でベストセラーになっている。ノンシリーズ長編小説、短編小説など人気作品も多数刊行
『ブラック・スクリーム 下 文春文庫』より

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