伏 贋作・里見八犬伝

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163297606

作品紹介・あらすじ

いにしえの因果はめぐり、江戸の世に-ちっちゃな猟師の女の子の命を賭けた大捕物。

感想・レビュー・書評

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  • 女の子の猟師・浜路は兄の道節と共に人のようで人ではない「伏」という人と犬の血をひくものを江戸に狩りにやってきたというお話。彼女の伏狩があるからこそ、面白いのかもしれないが、冥土という滝沢馬琴の息子の書いた八犬伝が本当に面白い。また、伏である信乃が話す伏森のお話も非常に興味をひく内容でした。この2つの部分だけ独立しているような感じはするけれど、ここが一番面白かったです。

  • 桜庭さんアレンジの里見八犬伝。桜庭さんテイストがふんだん散りばめられている。構成も進行形、物語、過去語りと引き込まれる。

    懸賞金稼ぎの猟師浜路は兄道節が住む江戸へ行く。江戸には伏と呼ばれる人間の姿をした半獣の狩りが行われている。作中作、冥土が安房まで行き調べて描いた「贋作・里見八犬伝」でその伏の物語が分かる。そして伏狩りをしていくうちに一匹の伏の話を聞き妙な気持になる。なんだかコメディタッチもあるのだが、切ない登場人物たちにグラグラする。

    関係ないけど昔ファミコンで里見八犬伝をプレイ。八犬士たちがかっこよかったし面白かった。里見八犬伝ってドラマチック。

  • ん〜、すごく不思議な感じ。
    上手く言葉に出来ないモヤモヤがある。
    これを読む前に里見八犬伝を読んだが
    その時と同じものを感じた。

    "繁栄の光"と"犠牲の陰"。
    人身御供といった"犠牲"によって
    平和が成り立っている里見家。
    現実感の話ではなくとも寒気を感じた。
    そして20歳までしか生きられない、
    伏姫と八房の子供達である"伏"は
    玉梓の呪いから始まったこの悲劇の
    被害者であると私は思う。
    たとえ悲劇の物語が終わったとしても
    "伏狩者"と"伏"の物語は
    永遠に続くだろう…。

    • 円軌道の外さん

      あおさん、はじめまして!
      関西出身で今は東京在住、
      読書は勿論、映画と音楽と猫には目がないプロボクサーです。
      遅くなりましたがリフ...

      あおさん、はじめまして!
      関西出身で今は東京在住、
      読書は勿論、映画と音楽と猫には目がないプロボクサーです。
      遅くなりましたがリフォローありがとうございました(^o^)

      桜庭さんの作品が大好きでひととおり読んできましたが 
      コレは見逃してました!(汗)
      滝沢馬琴の南総里見八犬伝のリメイクになるんやろか?
      80年代の薬師丸ひろ子主演の映画でも有名ですよね。
      また読まなければリストに書いて近いうちにチェックしたいと思います!

      それにしても、 あおさんのレビューをいくつか読ませてもらって
      その素直な感性と好きが溢れる文章に惹きつけられました。
      本棚の趣味も僕のツボだったし(笑)

      またオススメありましたら
      教えていただけると嬉しいです(笑)

      ではでは、これからも末永くよろしくお願いします!

      あっ、コメントやお気に入りポチいただければ
      必ずあとでお返しに伺います。
      (仕事の都合によってかなり遅くなったりもしますが…汗)

      ではでは長文失礼しました。



      2015/04/26
  • 以前から気になっていた本。
    映画化もされたとのことで読んでみました。

    華のお江戸に出てきた山育ちの猟師の少女・浜路は、兄・道節とともに江戸を騒がせる伏を狩ることに。
    伏とは、安房の地に伝わる伏姫の物語を起源とするらしい、犬の血をひく人間です。
    白い肌に切れ長の瞳、他人にも仲間にも情が薄く、その行為の残虐さによって、江戸では懸賞金がかけられるほど。
    さあ、浜路と伏の大捕物、はじまりはじまり~!

    伏たちは残虐ではあるけれど、狡猾ではありません。
    本能のままに生きるがゆえに、どこか純粋なところがあるように感じました。
    だから、浜路と伏の追いかけっこはときにコミカルであるし、伏たちを根絶やしにしなければならない悪だとは思えないのでした。

  • 狩人の女の子が、江戸で伏を追う。
    里見八犬伝を下敷きにし、犬の血を継いだ人間が伏だ。
    キャラクターもいいし、江戸を舞台にした話も好きなので面白かった。
    ファンタジーに分類出来るような要素もあるし。久しぶりだな、この感じ。
    途中に贋作里見八犬伝という里見八犬伝の本当の姿というような話が入り、伏本人の話も入り、物語が入れ子になっているんだけど、それもまた伏の悲しさのようなものに迫ってて。
    …まぁ伏たちは基本はけろっとして生きてるんだけど。
    狩るものと狩られるものか……

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「里見八犬伝の本当の姿」
      八犬伝ファンとしては、気になるところです。
      「里見八犬伝の本当の姿」
      八犬伝ファンとしては、気になるところです。
      2012/05/28
  • 本家・八犬伝とはずいぶん趣が違う。
    相変わらず、ハードで切ない物語をカラリと描いてくれる。

  • 里見八犬伝をベースに物語られた、ファンタジー、と分類して良いかな。
    「本当の花を見せにきた」と同じテイストを感じる物語だった。
    「伏姫」は最初からそのような意味を持たせたネーミングだったのだろうか。

  • 里見八犬伝をベースとした時代物ファンタジー?な感じで面白かった。
    作中の『贋作里見八犬伝』で語られる伏姫と犬の子とされる犬人間『伏』と、伏を狩る使命を本能的に果たす猟師の浜路。
    伏達の生い立ちやそれぞれの人生や価値観には同情を覚えてしまうような切なさもある。
    それでも正義の名の下に伏を退治する浜路と道節の兄妹に少し冷たいなぁと感じつつも、そこに清々しさを感じてしまうような…
    恥ずかしながら里見八犬伝は読んだことがないけれど、これはこれで面白くて読むのをなかなかやめられなかった。

    続編も期待できるようなラストなんだけどな…

  • おもしろかった。
    時代小説というよりも、ファンタジーと言った感じ。
    軽い感じで、スラスラっと読めた。
    エンターテイメントとしては良かった。

  • 伏!
    映画見て面白かったのと、以前から里見八犬伝が気になっていたので手にとった一作。

    本の厚みも太くて読めるかなーと思いましたが何日かけてスラスラ読むことができました。

    その後のお話があれば読みたいと思える作品でした。

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著者プロフィール

1971年島根県生まれ。99年、ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー。2007年『赤朽葉家の伝説』で日本推理作家協会賞、08年『私の男』で直木賞を受賞。著書『少女を埋める』他多数

「2023年 『彼女が言わなかったすべてのこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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