一刀斎夢録 上

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163298405

感想・レビュー・書評

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  • 壬生義士伝、輪違屋糸里などに続く、浅田次郎の新撰組を主題にした歴史小説。

    新選組三番隊長・斎藤一。鳥羽伏見、甲州、会津。そして死に場所を求め、男は西南戦争へ。血風録の中心にあった男が語る、幕末維新と寄る辺ない少年の運命。
    悪鬼の所業と言わば言え。土方の遺影を託された少年隊士と斎藤。二人の縁は慟哭の結末へ。

    聞き語り、回想録のようなストーリー展開。歴史的な事実と物語を絶妙におりまぜられており、徹夜してまで一気に読み進めてしまいました。お勧めです。

  •  主人公は軍人の梶原稔中尉。祖父は上野戦争で亡くなった幕臣だった。梶原中尉が明治の終わりに乃木将軍を見かけた事から物語が始まる。

     大正という新しい時代と乃木将軍の死に虚ろな思いを抱えつつ過ごしていた梶原中尉は、全国武術大会の決勝で敗れた友人、榊警部に「藤田五郎」という人物の話を聞いた。

     現在住んでいる場所を聞き出した梶原中尉は手みやげの酒をぶら下げて家を訪ね、その過去の話を聞き始める……。


     主人公は梶原中尉だが、話は藤田五郎こと、斎藤一の過去という事になる。この、斎藤さんの話し方が面白い。梶原中尉と一緒になってついつい引き込まれ、今晩はもう遅いから続きはまた明日、と梶原中尉が帰宅した所で私もしおりを挟んで一休み、そしてまた斎藤さんの話を聞きに行く……という感じでまた本を開いていた。

     斎藤さんが梶原中尉に色々教えながら、心得など伝え、斎藤さんが話している形で進む。だから、途中で話が飛んだり、そういえば、この人物は~と思い出したように話たりするが、概ね時間の流れ通りに進む。梶原中尉に分かりやすく伝えようと面白い例えをしたりもする。

     同じ浅田次郎さん作品、「壬生義士伝」と繋がっている部分もあるので、読んだ事がある方は同じ斎藤さんが大正になってから語っている作品と考えていいと思う。

    上巻の内容は
    坂本龍馬暗殺~長州の間者話と芹沢暗殺の夜~市村鉄之助との出会いと吉村貫一郎~父の話~試衛館に初めて行った日~甲陽鎮撫隊

    市村鉄之助との話(上巻終盤、江戸に戻った後)はちょっと泣きそうになった。

  • この作家さんの時代物は、本当に面白い。一言一言に、思わず頷いてしまう。衒いや見栄もなく、ズバリと本音が出てくるのがとても爽やかで、気持ちがいいです。

  • 一刀斎とはよく言ったものだ、僕は伊藤一刀斎景久をすぐに思い浮かべたのだが、やはり全く違うものだった。もともと浅田次郎先生が伊藤一刀斎を題材にして書くなんて思っていなかったので、これは何?と手にとってみた

    一刀斎夢録(上)    浅田次郎
    一刀斎夢録(下)    浅田次郎

    斎刀一…逆に読むとこうも読める。一文字置き換えると斎藤一。漫画などでもお馴染みの新選組三番隊長の斎藤一のことである。

    浅田先生の時代小説に「輪違屋糸里」と映画化された「壬生義士伝」がある。そんな関係から伊藤一刀斎は考えなかったがまさか逆さに読むとね2011年に創刊されて僕はボロボロになるまで読み上げた折り目を入れたページは10ページ以上で多くのことを学んだ。本来、僕の中で書こうと思っていた作品に近いもの…というよりもエンディングが近いんですよね。かなりがっかりしたのですが、これはこれでかなり勉強になった。

    夢録とあるが、どちらかといえば酒語りの中での回想録に感じる。斎藤一が藤田五郎として西南の役の際に抜刀隊に入り、九州に渡った。ここでの浅田先生の斎藤の心情として山口次郎でもなく藤田五郎でもなく、新選組三番隊隊長の斎藤一に戻ったのだとあるが、僕もそんなふうに前々から捉えていた。

    市村鉄之助は死に場所を求めていたんだと思う。新選組の旧隊士たちは心の片隅にいつでも死に場所を探していたんじゃないかと思う。

    「千年の武士の世は、生き残ったものの方には重すぎる」

    女性がこの作品に共感を得るかと言ったら微妙であるが、エンディングは斎藤の話から離れ、梶原と榊という天才剣士二人の天覧試合になるのだが、何とも言いようがない終わりがまたいい。男に生まれてきて…と実感させられるような作品である。

    浅田先生の新選組の個人をテーマにした作品は群を抜いているような気がします。

  • 難しいかなぁ・・・と思ったが面白くて上下巻ともすぐ読めました。新撰組三部作だそうだが、他のも読もうと思う。

  • 浅田次郎の新撰組もの。明治になって生き残った斎藤一が新撰組時代から西南戦争までを語るというストーリー。上巻は主に新撰組のころの話題で、戊辰戦争に至るまでの話。

  • 「真剣勝負では卑怯な者の勝ちじゃ。」

  • 面白い。直ぐ「下」を読も。

  • 司馬遼太郎-新撰組血風録、竜馬がゆく
    あまたある幕末を描く小説の傑作にいれてもいいくらいアツくなれる小説でした。
    浅田次郎氏の壬生義士伝(こちらも傑作!!)を読んでからこの本を読めばなおいっそうのめり込めると思います。

  • 新撰組 斉藤一の物語です。ものすごく面白い。これから下巻へ。

著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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