たったひとつの青い空: 海外帰国子女は現代の棄て児か

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163408507

作品紹介・あらすじ

海外帰国子女が、日本の教室で凄絶ないじめに遇う例が多い。TV特派員の妻として一男二女とともにニューヨークに滞在し、わが子が帰国後の日本で凄惨ないじめに遇った経験をもつ著者が、いじめは何故起こるのか、海外における教育、とくに日本人学校のあり方はこれでよいのか、等を考えつめた労作。

感想・レビュー・書評

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  • 大沢さんはアナウンサーをしていたということもあり、自分の思いを文章化するのがうまい。文章は理路整然としていて、一気に読めてまう。柳田邦男さんの「マッハの恐怖」を読んだ時のような読後感がある。つまり、胸を打つが、読後感が良くない。
    読者が、体験したくないことを、これでもか、これでもか、と突いてくる。胸が苦しくなる。

    河合隼雄さんの「生と死の接点」1989の「片側人間の悲劇」の中で、この本を参考図書としてあげている。
    『片子の悲劇は、現代日本において多く認められ、社会問題としても取りあげられている、いわゆる「帰国子女」の悲劇を想起させる。長期間にわたって海外に滞在した両親と共に住み、その後日本に帰ってきた子どもたちが、どれほど「居づらく」感じ、自殺を強いられるほどの状況にいるか、その点について詳述は避けるが、そこには、「片子」の問題、つまり、欧米型の父性の侵入に対する、日本人の母性的一体感による無言の排除の姿勢が、端的に認められるのである。』

    差別というテーマは、現代以降も未来永劫、答えがないテーマだと思う。

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