ゴジラとヤマトとぼくらの民主主義

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163466606

作品紹介・あらすじ

ヤマトの「宇宙愛」とは何か、タエ子の「農村」とは何か、ゴジラの「復活」とは何か、ウルトラセブンの「明けの明星」とは何か、アリオンの「革命」とは何か、そして80年代の日本とは何だったのか。「愛と正義」の謎を解く。

感想・レビュー・書評

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  • 98

    アニメや特撮映画の作家たちをイデオロギーの見地から痛烈に批判。力の入った評論。「諸君!」掲載。

  • 宇宙戦艦ヤマトの特攻賛美
    漫画『沈黙の艦隊』の超大型ミサイル原潜ヤマトが国連下、核ミサイルを独占し世界が核廃絶するという戦後民主主義の究極の幻想をあざ笑う。つまり彼等は絶対権力に憧れ、自分が持てば世界は平和だとスターリン、毛沢東、ポルポト同様の傲慢なのだ。「国家権力絶対に反対する」?そうなれば大量破壊兵器がアルカイダレベルにまで拡散するが。
    宮崎駿『ナウシカ』もヒューマニズムとかyんきょう環境保護が両立するとの性善説幻想。非人間までヒューマニズム対象か。

  • 「ひがみ(自分は不当に扱われている)」と「甘え(誰かが助けてくれる)」が戦後民主主義(政府や武力なしでも、正しいことを強く願えば、助けがあり、秩序は維持される)の二大特徴である。それに骨がらみのクリエーターが作るアニメ・特撮は、ひがみと甘えの塊で、海外ならまともな大人は見向きもしないが、日本に限っては大人にも親和性がある。国家が自分たちへの奉仕することのみ要求していると、ファシズムに至るというのは、現在の文科省と大学の関係のようだ。補助金のために学問の自由はきわめて制限され、文科省はきわめて独裁的である。

  • サブカルに隠れた戦後民主主義の偽善性を暴くというのは判るが、「おもひでぽろぽろ」の最後を見て、映画館でスクリーンにポップコーンを投げたくなったというのは、ちとナイーブに過ぎるか。ウルトラマンの脚本家金城哲夫の生に、戦後の言語空間の歪を見るという章は読み応えあり。

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著者プロフィール

1966年、東京生まれ。評論家・作家。東京大学教養学部卒業。1989年、戯曲『ブロークン・ジャパニーズ』で、文化庁舞台芸術創作奨励特別賞を受賞。1990年、最初の単行本となる小説『チングー・韓国の友人』(新潮社)を刊行した。1992年の『ゴジラとヤマトとぼくらの民主主義』(文藝春秋)より、作劇術の観点から時代や社会を分析する独自の評論活動を展開。これは21世紀に入り、政治、経済、歴史、思想、文化などの多角的な切り口を融合した、戦後日本、さらには近代日本の本質をめぐる体系的探求へと成熟する。著書に『平和主義は貧困への道』(KKベストセラーズ) 、『右の売国、左の亡国 2020sファイナルカット』(経営科学出版)、『僕たちは戦後史を知らない』(祥伝社)、『バラバラ殺人の文明論』(PHP研究所)、『夢見られた近代』(NTT出版)、『本格保守宣言』(新潮新書)など。訳書に『新訳 フランス革命の省察 』(PHP研究所)、『コモン・センス 完全版』(同)がある。『新訳 フランス革命の省察』は2020年、リニューアルのうえPHP文庫に収められた。

「2021年 『感染の令和』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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