ヴェネツィアの宿

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著者 : 須賀敦子
  • 文藝春秋 (1993年9月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163479705

ヴェネツィアの宿の感想・レビュー・書評

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  • 友だちのこと、親のこと、それと自らのすすむべき道について、悩み模索しながらも歩くことをやめずに生きた日々が、端正な文章で、生き生きと綴られる。あまりにも生き生きとしていて、孤独にふるえたり迷う姿は、現代のわたしたちとかわらないものだから、半世紀も昔の話であることを忘れてしまうほど。

    「カティアが歩いた道」「アスフォデロの野をわたって」「オリエントエクスプレス」が特にこころに残った。

    "わたし達がそれぞれ抱えていた過去の悲しみをいっしょに担うことになれば、それまでどちらにとっても心細かった人生を変えられるはずだとわたし達は信じようとして、ひたすら結婚に向かって走った。(P.249・アスフォデロの野をわたって)"

    人は悲しみと孤独を抱えてこそ強くも やさしくもなれる。だけどその悲しさを共有しようと思いあえるパートナーに出会えたら、なんて心強いことだろう。それなのに―。
    夫を亡くしたときの絶望感はどれほどだったことだろう。けれどその大きな悲しみゆえに、そして寄り添いあった年月が慈しみに満ちていたからこそ、須賀敦子は残りの人生を凛として生きたのかもしれない。

  • 筆者が今目の前にいるかのように、さらに言えば自分が体験していることかのように、言葉がするすると頭に入ってきて心地よい。
    模索しながら生きる筆者の姿は現代の女性にも通じるところがあって、自分も前向きになれる。
    この時代にこんな体験をしていた筆者は稀なのだとは思うが…だからこそ読む価値あり。

    (だいぶ前に読み終えていたのに保存し忘れてた。。)

  • 須賀敦子さんがお父さんに呼ばれて帝国ホテルで食事をする場面がありますが、それは今の帝国ホテルではなくて、まだライトの建築のものであった、と書いてあります。
    今は、そのライトの建築の一部分は明治村にあって当時を偲ぶことができます。

    ノスタルジー溢れる物語の数々が収録されている本書。

    須賀敦子さんの描くイタリアに
    わたしのヨーロッパへの憧れがあるように思います。

    大切な人との避けられない別れが胸を打つ「アスフォデロの野をわたって」や「オリエント・エクスプレス」などがとりわけ美しい文章で綴られています。

    (まめ)

  • すごく綺麗なエッセイ。ヨーロッパと日本の体験を織りまぜながら綴られている。比喩とかすごく綺麗。綺麗すぎてたまにぼうっとなるけど笑。

    特に悲壮感に溢れているなんてことは全然なく、出来事を淡々と書き綴っているだけだし、出会った人物についても根深く心理描写しているわけじゃなくて、あくまでもその人が語る内容や行動から作者自身が推測したこと・思ったことを書き連ねてるだけなんだけど、なんというかすごい洞察力だった。他人の悲しみとか苦しみに敏感な人なんだろうなと。人の死を乗り越えてきた人間だからこそ、このような文章を書けるのだろうなと感じた。

  • 2010/2/8購入

  • 再読(3回目)

  • 一色文庫にて300円(2009/08/24)
    2010/02再読。
    いままさに、こういう文章を欲していた。引用してみると、ひらがなと漢字の使い分けが美しい。やわらかさと知性がちらちら見えるところから、悩みや苦しみが伝わってくる。

  • 須賀さんの本ではじめて読んだもの
    エッセイとは気がつかず、須賀さん独特の感じ方、表現の仕方をされていておもしろいなぁと思った。
    と同時に、癒しの音楽をきいているようななんとも心地良い文章。
    すぐに他の本も探しにいった。

  • オリエントエクスプレス

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ヴェネツィアの宿の作品紹介

記憶の中から鮮やかによみがえるかけがえのない人間の物語。名エッセイ12編。

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