旅をする木

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著者 : 星野道夫
  • 文藝春秋 (1995年8月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163505206

旅をする木の感想・レビュー・書評

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  • 読み終わった後、爽やかな心地よい風が吹き抜けていったそんな感じがしました。行ったことはありませんが、アラスカを目の前にみているようで、日常を忘れてしまいそうになります。

    啓発書のように、何かを教えようとするのではなく、さりげない優しい言葉の中に、ハッと気づかされることの多い、素敵な一冊ではないでしょうか。

  • 星野道夫のやさしい言葉遣いとやさしい写真は、なぜか読んでいて&見ていて心に突き刺さります。それは彼が、本当にやりたいことをやった生涯を送ったからこそ表現できる重みがあるからでしょう。思わず線を引いてしまう名文が溢れています。

    本書は僕が初めて読んだ星野道夫の本であり、収録されている「もうひとつの時間」と「十六歳のとき」は、全作品の中でも僕が最も好きな文章です。今後も、事あるごとに常に読み返すことでしょう。

  • 「人の心は、深くて、そして不思議なほど浅いのだと思います。きっと、その浅さで、人は生きてゆけるのでしょう。」

    本は、見つけて読もうと思った時が私にとって読むべき時なのだと思うようにしている。
    この本もあの本ももっと前に読んでおけば良かったと思い始めたらキリがないから。
    しかし、今作は久しぶりに「十代で読んでおけばよかった」と思ってしまった。
    この作品を十代で読んでも海外に飛び出したりはしなかっただろうし、その前に私は今の人生を変えたいわけでもない。
    ただ、今作をあの頃に読んでいたら、少しは呼吸が楽になったように思うのだ。
    強さと美しさを兼ね備えた文章。
    何度も読み返したい。

  • 世界について、命について、人間と動物の関わりについて考える私は、まるで星野さんに語りかけられているようにこの本を読んだ。机の上ではわからないこと。頭ではなく心とからだで感じること。
    人に出会える本。すごいなあ。わくわくが静かに湧いてくる。
    「世界が明日終わりになろうとも、私は今日リンゴの木を植える」P194
    世界のなかに人の社会があるということ、もうひとつの時間、この感覚を大事にしていこう。私も世界を体感したい。

  •  先月鑑賞した没後20年の写真展の予習のつもりで図書館に予約を入れたがけっこう時間がかかった一冊。借りてくればサクっと読めるが…。なんだろう、どの章も、どの文章も涙ながらに読むところ多し!

     そもそも、雑誌「BRUTUS」などに引用された部分が、高校時代にアラスカの村へ手紙を送った話とか、アラスカへ渡る前後の話だったりしたので、本書は若かりし頃の星野道夫が読めるのかと思って借りてみたが、なんと晩年の文章だらけだ。 上梓されたのが、1995年8月、シベリアでその生涯を終える1年前ではないか!

    『アラスカ風のような物語』、BRUTSUやCoyoteなどの雑誌の特集記事、先の展覧会、そこで見た映像などの情報と相まってなのか、読んでいても感極まってしまった。

    一年に一度しか見れないカリブーの大移動の話では、

    「この世で何度めぐり合えるのか。その回数をかぞえるほど、人の一生の短さをしることにはないのかもしれません。 アラスカの秋は、自分にとって、そんな季節です。」

    と語る。 1993年の文章だ。そうなんだよ、あなたの人生はもう残り少ない…と思うと涙。

     “アラスカに暮らす” と題した章で、結婚してアラスカにずっと暮らしてゆこうと思い始めてからの心境の変化を語る。

    「それまでのアラスカの自然は、どこかで切符を買い、壮大な映画を見に来ていたような遠い自然だったのかもしれない。でも、今は少し違う。」

     そう思い始めて、あなたは何年生きたんだ!?とまた涙。

    “夜間飛行”で、相棒のドンと生還する話や、他のブッシュ・パイロットの死の話を語り、そのドンの奥さんが言った「あの人、次は自分だと思っているの・・・」という言葉が、“ぼくの頭から離れなかった”というが、次の順番が変わってしまう。 涙、涙、涙。。。。

    結婚、子供が生まれた話など、静かに歩み寄る運命を知ると、なんだかあらゆる文章が予言めいているというか、残り少ない貴重な時間に、思いのたけを残しておこうという無意識の筆運びを感じ取れるようで、いたたまれなくなるほどだった。

     そのほか、悠久の時の流れ、新しい旅へのあこがれ、10代の頃に亡くした親友の想い出、運命を変えた写真集の作者との出会い、素敵すぎる。ただ、それだけしか言えない。

    この本に10代、20代の頃に出会っていたら!?とさえ思えるほどの内容だった。星野道夫は自分にとってのジョン・モーブリイになり得たかもしれない。
    いや、60を超えてから日本語の勉強を始めたビルの話もあるじゃないか!

    「世界が明日終わりになろうとも、私は今日リンゴの木を植える・・・・ビルの存在は、人生を肯定してゆこうという意味をいつもぼくに問いかけてくる。 」

     なにをはじめるにも、もう遅いということはない。冒頭の「新しい旅」の中、星野は言う、

    「もう一度あの頃の自分に戻れないか、とも思ったのです。つまり、目の前からスーっとこれまでの地図が消え、磁石も羅針盤も見つからず、とにかく船だけは出さなければというあの頃の突き動かされるような熱い想いです。」
     
     星野の存在は、人生を肯定してゆこうという意味を自分に問いかけてくる・・・気がする。

  • 私の微かな記憶にあった、もしかして熊に襲われて亡くなった写真家なのか?と思いながら図書館で借りた本。内容は16歳で2ケ月間のアメリカ・メキシコへの一人旅や友人の死、北海道への憧れから繋がるアラスカ大学への入学、そしてそのままアラスカでの10年以上暮らす事に。星野道夫の人生とたくさんの出会いとエスキモーやインディアンの事、古代から続く大自然と狩猟生活について、まるでその場の光景や風景や情景が思い浮かぶ文章。詩人を感じさせそうな表現力。大切にしたい本で読み伝えられたら良いな。

  • アラスカの広さと静けさ。そのなかで天と地と人が織りなす物語を、暖かく語りかけてくるエッセイ群。

    。・゜*・。・゜*・。・゜*・。・゜*・

    H25.2.13 読了

    最初は本の中の世界に魅了されてため息ものだったが、中盤からは同じような語り口にだれてしまい、読み終えるのに苦労した。

    しかし、その中で琴線に触れる文章がいくつかあったので、覚え書き。

    ・『春の知らせ』カリブーの出産
    ・『海流』
    ・「しかし、誰もがそれぞれのより良い暮らしを捜して生きています。便利で、快適な生活を離れ、原野に生きてゆく人々。さまざまな問題を抱えながら、急速に近代化してゆくエスキモー、インディアン……」
    ・「この入江(人に教えたくないほど美しい秘密の場所)にはたくさんの思い出があるのです。そしてここにくるたびに、ぼくは悠久な時間を想います。人間の日々の営みをしばし忘れさせる、喜びや悲しみとは関わりのない、もうひとつの大いなる時の流れです。」
    ・「無窮の彼方へ流れゆく時を、めぐる季節で確かに感じることができる。自然とは、何と粋なはからいをするのだろうと思います。一年に一度、名残惜しく過ぎてゆくものに、この世で何度めぐり合えるのか。その回数をかぞえるほど、人の一生の短さを知ることはないのかも
    しれません。」
    ・「スイスには自然は残ってないのです。ほとんどが人の手が入った人工的な自然です。もし動かせるなら、スイス人は山の位置さえも動かしたでしょう。…(中略)…ヨーロッパアルプスは箱庭のように小さく見えます。とても美しいのですが、奥行きがないのです。ホッとさせてくれる自然ですが、人間を拒絶するような壮大さがないのです。」
    ・「ぼくはクマのそばに腰をおろし、ごわごわとした体毛を撫でながら、その一本一本の毛の感触を確かめていた。手入れをしたような汚れのなさに、人間の想像とは裏腹の、野生に生きるもののかぐわしさを感じていた。」
    ・「その番組が少しうまく撮れたとか、撮れなかったなんて、きっとそれほど大した問題ではないと……それよりも一日のうち十五分でも二十分でもいいから、仕事のことをすべて忘れて、今ここに自分がいて、花が咲いたり、風が吹いたり、遥かな北極海のほとりでキャンプしていることをしっかり見ておかないと、こんな場所にはなかなか来れないんだし、すごくもったいない気がすると…(中略)…結果が、最初の思惑通りにならなくても、そこで過ごした時間は確実に存在する。そして最後に意味を持つのは、結果ではなく、過ごしてしまった、かけがえのないその時間である。」

    。・゜*・。・゜*・。・゜*・。・゜*・

    これを書いた後に他の方が書いたレビューを読んでいて、初めて星野さんが亡くなっていたことを知った。

    著書の中で、星野さんの友人たちが大自然の中で亡くなっていたことも書かれていたが、ご自身も同じような運命を辿られていることを知って、より一層命のはかなさだとか、そういう事を感じた。

  • 広大な大地と海に囲まれ、正確に季節がめぐるアラスカで暮すエスキモーや白人たちの生活を描くエッセイ集。

  • なかなか良かった。他人が世界をどう見ているのか、関わり合いのなかで知りたい、というような気概が感じられる。
    出会う人、出会わない人、その差の不思議に想いを馳せる。

  • アラスカの大自然が頭の中で広がってきます。行ったことは一度もないけれど、文章を読んでいると想像で湧き出てきます。

    大自然の中に身をおく事に強く惹かれます。

    文庫版を買って鞄の中に潜ませておきたくなります。読めばいつでもアラスカに旅している気になれるから。

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アラスカの広さと静けさ。そのなかで天と地と人が織りなす物語を、暖かく語りかけてくるエッセイ群。

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