存在の耐えがたきサルサ―村上龍対談集

  • 文藝春秋
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (477ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163553801

作品紹介・あらすじ

援助交際、分子生物学、戦争、キューバ、心理経済学、近代化の終焉、夢、エクソダス。村上龍最新対談集。

感想・レビュー・書評

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  • センスの塊だ。タイトルからして完璧な対談集。「存在の耐えがたきサルサ」内容関係無しに興味をそそられてしまうよ。

    中上健次、柄谷行人、坂本龍一、河合隼雄、他にも素晴らしい著名人たちが村上龍と語り合う。
    本気で日本を憂いている彼らの会話からは強大で偽りのないエネルギーを感じた。唖々、体の先端に衝撃を与えてくれる幾つもの言葉には興奮せずにはいられなかった。厳格で辛辣な言葉からどうして未来を思い描いたのだろうか。彼らは「ホンモノ」なんだ、それしかない。「ホンモノ」から発せられた「ホンモノ」の言葉は間違いなく生きている。憂いに溢れた現代社会だが、仁王立ちで四方八方からの難敵に睨みを効かせる勇気を持つんだ。

    読後30分も経過していない今自分でもびっくりするくらい気持ちが高揚している。生きるんだ、「ニセモノ」として生きるなんてゴメンだ。
    強く、強く、志の中に自らの拠り所を創りながら。

  • 中上健次、浅田彰、蓮實重彦、坂本龍一、柄谷行人、庵野秀明のみ読了◆ジャズもロックも、いうならアフリカの音楽が西欧とぶつかり。島の中でジャマイカとぶつかった音楽がレゲエで、プエルトリコとぶつかったのがサルサ(中上健次)◆神秘主義も結局ケミカルな問題にすぎない(略)修行といったって、脳内物質を変えるということしかない(柄谷行人)◆(免疫は)無意味論であるべきなんだよ(略)無意味な分子のメカニズムが、なぜか知らないけれども、内と外のバウンダリーをつくり出して、高度な有機体をつくり出して、云々というところが面白いわけでしょう(浅田彰)◆システムから外れて情念のカオスみたいなところへ自滅的にのめり込んでいくのが本物だという間違った思い込みがあって、実際にそれでやっちゃうミュージシャンもいるわけじゃない?それは全然違うと思う(阿部薫やカート・コバーンも間違った、と浅田彰)◆一人の女の子がこういうことを言っていた。親は簡単に離婚してしまうし、友達はすぐさよならで、残るものが何もない。しかし、入れ墨だけは残るからやるんだと言うんですよ。(柄谷行人)◆表現したいというのは、すごくくだらない動機かあ出て、俺はここにいるぞとか、俺はこの色が好きだとか、俺はこの女が好きだとか、そういうものじゃない(略)ものすごく自意識過剰な行為(坂本龍一)◆映画も基本的に妥協の産物ですよ。特に監督は、いちばんこだわっているように見えて、実はいちばん妥協していると思います(庵野秀明)◆直観は、ひらめきなんかではなく、それまでに厳密に考え抜いたことから発生するんですよ(村上龍)◆といったあたりが印象に。庵野監督、シンエヴァンゲリオンの密着番組では全然妥協してなかったように思うけど、年月が経ったからだろうか。◆お互い褒め、仲間褒めから、あいつはダメだ、あの作品はダメだ、あいつはバカだ、みたいなのが始まったり、ワキの甘い、詰めの甘い放言がでてくると、ああ対談集というフォーマットゆえか、と思う個所もあったが。そういった厳密じゃないところがまた対談の魅力という人もいるのかもだけど◆

  • 「存在の耐えがたい軽さ」は高校生のあたしにはとても読めるような本ではなかった。

    そしてこのあたしに、存在の耐えがたき軽さを読もうとした時があったということが今や驚きになってしまっている。
    大学生のあたしの頭はところてん、茹ですぎたスパゲッティなのである。時は満ちたのだろう、そして今やその潮はどこか遠くの島まで退いて行ってしまった。

    今のあたしは村上龍を読む。じょしこおせいの援助交際をよむ。
    女子高生は性的接触を求めて援交をするのではなく、経済接触のために行為に及ぶという。そりゃそうだ。なんでそれがわからないのか、あたしゃあんたがわからんよって頭の中でまくしたてる。これはどうやら世代によってうまれた思考の壁は思ったより高いようだ。でもそれを乗り越えようとするおじさん達の行程をのぞいていると、なんとも好感触。彼らは真面目に考えているから。うーん、努力っていいねえ

    ミランクンデラで頭を固ゆでにしていた頃をなつかしみながら。
    今のあたしは悩むおじさん達を高笑いで見ているよ。形勢逆転ってやつである

  • 中上健次、柄谷行人など豪華なゲストの対談集。内容も分子生物学から援助交際まで幅広いです。濃い話でしたが面白かったです。

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著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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