少年Aこの子を生んで: 父と母悔恨の手記

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163553900

感想・レビュー・書評

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  • 親子だからこそ
    見えない、見せない部分がある

    09/04/30

  • (2015.07.07読了)(2009.03.30購入)
    少年Aの書いた話題の本は、いずれ読むとして、その前に関連本をいくつか読んでおこうと思い、積読から探し出して読みました。
    少年Aの父と母によって、少年Aの生い立ちや事件当時のこと、事件後のことなどが書いてあります。
    犯罪を犯した子供の、親の責任とは何でしょうか? 被害者の親にどう謝罪したらいいのでしょうか? 少年Aの年齢は14歳です。20歳を過ぎていれば、犯罪を犯しても、本人の責任だけで、親はあまり関係なくてよさそうです。
    少年Aの父母は、少年Aに直接会って、本当に二人の子どもを殺害したことを確認してから、被害者の両親への謝罪をしようと、考えたようです。どうしても、自分の子どもが殺人を犯したとは、信じられなかったので。ところが、少年Aに会うことがなかなかできず、会っても、確認できる状態ではなかったようです。早い段階での、被害者家族への謝罪のタイミングは逸してしまいました。

    【目次】
    神戸連続児童殺傷事件について
    一章 被害者とそのご家族の皆様へ-父の手記
    二章 息子が「酒鬼薔薇聖斗」だと知ったとき-母の手記
    三章 逮捕前後の息子Aと私達-父の日記と手記
     Ⅰ 逮捕された息子A
     Ⅱ 逮捕後、家族の漂流の日々
     Ⅲ 淳君の行方不明と私達
    四章 小学校までの息子A-母の育児日誌と手記
     Ⅰ 初めての子Aの誕生
     Ⅱ Aの日常と躾
    五章 中学校に入ってからのA-母の手記
     Ⅰ 気付かなかった「前兆」
     Ⅱ 不登校、そして忌まわしい事件が……
    六章 Aの「精神鑑定書」を読み終えて-母の手記

    ●命の大切さ(28頁)
    私たち夫婦は十四年間、ずっと世間並みにあの子に「人の命の尊さ」を教えてきたつもりでした。
    でも、話しているうちにAが、人間や人の命の大切さ、尊さについてまるで理解していないこと、その当たり前のことに対する感覚がズレていることに、ハッと気付かされたのです。
    ●違う息子(33頁)
    メモに書かれているAは、私たちが思い描いていた息子とは違っていました。あの子が私たちに話していなかった猫の惨殺の話があったり、同級生に対する暴力などの説明が、以前私たちに話したのとは全く違う箇所が、いくつもあったからです。
    ●帰りたくない(40頁)
    「社会復帰したいと思いますか?」
    「このまま静かなところで一人で死にたい。家には帰りたくない」
    ●弁護士(62頁)
    弁護士の先生は合計八人もついて下さるとの事。本当にありがとうございます。
    ●小六から(64頁)
    六年生の春休みに、万引きをしていたのが分かった頃から、Aは少し変わり、よく学校に呼び出されるようになりました。しかし、いい子ではないが、根は素直で思いやりがある子と今でも思っています。
    ●事件前(109頁)
    Aは五月十三日、同級生の友達(男子)を公園に呼び出し、自分の拳に時計を巻きつけて殴り、歯を折るなどひどいけがをさせました。
    Aは、「自分の悪口を言ったあいつが憎く、仕返ししてやったん屋」と泣きながら言い、怒りに手がつけられない感じでした。
    生徒指導の先生からは、Aの鞄の中に入っていたタバコ、小刀を見せられました。
    ●一歳六カ月(134頁)
    十二月三十日、Aが躓いてサイドボードの角で頭を強打。
    ボコントすごく鈍い音がし、Aの頭に穴が開いたように血がどんどん溢れ、もうびっくり仰天して、急いで救急病院に連れて行った。
    Aの傷は骨の一歩手前まで達し、五針も縫う大怪我だった。
    ●万引き(172頁)
    家宅捜索で出てきたナイフや大工さん用の工具など、事件に使用した道具はすべて、万引きで調達していたというのです。
    ●中一(178頁)
    中学に入った四月早々に、Aがカッターナイフで、他の校区の学校の小学生の自転車のタイヤを切り刻んでパンクさせた、と学校の先生から連絡を受けました。
    六月にも先生から電話が来ました。Aが部活の練習のときに、ラケットで仲間を叩いたというのです。
    次には、友達三人と一緒で、同級の女生徒の体育館シューズを燃やした上に、その子の鞄を男子トイレに隠すという問題を起こしました。
    ●スリル(198頁)
    「警報のブザーが鳴らない方法を友達から教えてもろたんで試したかったんや。それに万引きするときのスリルが面白いんや」
    ●命(209頁)
    「人の命なんか蟻やゴキブリの命と同じや」

    ☆関連図書(既読)
    「淳」土師守著、新潮文庫、2002.06.01
    「犯罪被害者の声が聞こえますか」東大作著、新潮文庫、2008.04.01
    「なぜ君は絶望と闘えたのか」門田隆将著、新潮文庫、2010.09.01
    (2015年7月12日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    愛していた。信じてもいた。その14歳の息子Aが、神戸連続児童殺傷事件の憎むべき犯人酒鬼薔薇聖斗だったとは…。両親が2年間の沈黙を破り悔恨の涙とともに綴った息子Aとの全て。

  • なんか、すごく普通だ。
    この手の加害者側の手記にはどうかと思うものが多いのだけれど、この親は、この本を読んだ限りではものすごく普通の親にしか見えない。

    もちろんダメな部分はあるけれど、それだってごく普通の「もううちの親ってばさー」で済むような、どこにでもあるダメさでしかない。
    だから、スッキリ単純にコレのせい!って片付けられない。

    子どもの気質と親の教育の相性とか、時代とか、環境とか、場所とか、学校とか、とにかくなにもかもが、ごく普通のほんの些細な瑕疵しかもたない本当にごく普通のありふれた条件が、最悪のタイミングで出会ってしまった結果なのだろうとしか思えなくて、つらい。

    「謝罪に行かない加害者の親」ってなんなの?と思っていたんだけど、そうか、自分の子が本当に!?という状態では行けないってのがあるのか。
    本当かどうかわからない状況では「とりあえず謝る」というわけにはいかない。
    そうだよな…自分の子を信じたいもんな…

  •  少年の事件がある度、精神鑑定だ、発達障害だ、やれアスペルガー症候群だ、と騒ぐが、支援する体制とか受け皿が整っていないだけに、事件は後を絶たない。親が不信感や疑いを持ったらしかるべきところに相談すべきだ。恥ずかしがることはない、見栄を張ってはいけない、事件が起きてからでは遅いのだ・・・。

  • 神戸の連続児童殺傷事件の加害者の親の手記。読む限りでは本当に普通の両親なのになんであんなにも残酷な少年になってしまったんだろう?少年の日記を読むとぞっとする。やっぱりどこか精神的に病んでる気がしてならない。ていうかそうだろうと思う。

  • さまざまな考えを持った人間がいる、そうういうことが、改めてわかった本。
    人間について、かんがえさせられます。

  • 神戸の連続児童殺傷事件の加害者の親の手記。これを読むと、親の育て方が悪かったから少年があの犯罪を起こしたとは思えない。母親が「あの時、私はこんな育て方をした…」とそれが間違いだったというような書き方をしているけど、どこの家庭の親だって何かしらおかしな育て方をしていることがあると思う。虐待されながら育ったって、犯罪を起こさない子どももいるし。少年Aのしたことは、許されないことだけど、原因を突き詰めるのは難しい。。考えさせられた本。

  • 衝撃的。この事件が少年の持つ性的サティズムだと分かる。が、それ以上に現実にこんなことがあるんだ、という恐怖で満たされる。そして、知らぬ間に涙を流していた。

  • 当時、社会問題まで引き起こした神戸連続児童殺傷事件。事件の容疑者である少年Aの父母によって書かれた一冊。事件が内から描かれており、とてもリアルで生々しい。

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