少年Aこの子を生んで: 父と母悔恨の手記

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163553900

感想・レビュー・書評

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  • 被害者のご遺族にお悔やみを申し上げます。
    この本を書いたお父さん、お母さんにも感謝をしたい。とても勇気がいることだと思う。

    神戸連続児童殺傷事件の犯人酒鬼薔薇聖斗の両親が書いた本。読んでいて辛かった、怖かった。私も子供を持つ親だが、子供が死ぬよりもキツイ事が有るんだと知らされた一冊。

    本を読む限りだと、昭和の子育てではあるかもしれないが、当時は当たり前に行われた教育様に思う。未成年の犯罪は親に大部分の責任があると思っていたが、こういったケースも有るのだと。レアケースだが、そういった傾向を持つ遺伝子を持って生まれて来てしまった子なんだと思う。この本を読んだだけで思う感想ではないは、こういったケースは本人も辛いし、レアだが一定数発生するので周りがその事に気付きケアしていくしか無いと思うのだが。

    人類のどう仕様もなく、辛い一面。

  • 私はまだ生まれてなかったけどあまりにも切ない事件。

  • 悲しいな悲しいな。
    愛情持って育ててた我が子が、罪を犯した。
    親として出来うる限りやっていたんだと思う。
    神の目線からなら、あの時こうすればよかったと言えるけど、当事者がそんな完璧にはできない。
    急な逮捕後生活が一転し、加害者の親として世間とマスコミに追われてビクビク暮らす日々。

    特に印象的なのが、自分(母)はお尻をぶつ位はしてるけど叱っていたつもりだったのに、少年Aの供述では虐待を受けていたという事になっていてそれがのちの犯行に繋がったというもの。
    真実は当然分からないが、私は母の認識の方が真実に近い気がする。

    幼年期の子供の場合自分中心のものの見方だから凄い嫌なことされたというそこの部分だけの感情を、さらに少年Aは記憶力が人並み外れているので延々と持った。
    そして、家庭内で叱られる含めて嫌なこともあれば、家族で遊ぶ、出かけるなど楽しい事もあったはずだが、逮捕後の少年Aの中には嫌な事しか思い出せなくなっているのかもしれない。

    作中で命について触れていたけど、


    亡くなった被害者のお2人のご冥福をお祈りし、怪我された被害者のお2人と全ての被害者家族の皆様にどうか心の平穏が訪れますように。
    そして、加害者家族も救われて欲しい。

  • 酒鬼薔薇聖斗の両親の手記。
    2人の小学生を殺害し、生首を中学の校門に遺棄し、警察に挑戦状を送った14歳、中学3年生、少年A。

    この本は読むのは2度目。
    前に読んだときは、父母共に”息子の奇行に気づけなかった自分たちが悪いのです。育て方に問題があったのだと思われます。ごめんなさい”というメッセージの手記に感じた。
    今回読み直してみて、両親のメッセージは違うように思えた。
    ”息子が大変ひどいことをして申し訳ありません。でも、本当に息子(だけ?)の犯行なのでしょうか?”と訴えているように感じた。

    少年A逮捕直後から、本当に少年Aが酒鬼薔薇聖斗なのか?という声はあった。
    しかし、殺人容疑で中学生を誤認逮捕したとなればそれこそ警察の信頼はゼロになるだろう。絶対的な自信を持って当時の警察は少年Aを逮捕したのは間違いない。

    ただ、単独犯ではなく複数犯ではないか、という声も少なくない。
    今回、この手記を読み直して感じたのも、息子だけが犯人なのでしょうか?と両親は疑っているのではないか、ということだ。
    具体的にいえば、何度となく暴力事件や万引きで指導された少年Aだったが、彼が指導されるときはひとりではなく、何人かの友人が一緒だったことがあった。
    両親は少年Aの友人を共犯ではないか、と疑っていたように、いまさらながらそんなふうに感じた。

    もう18年も前の事件なんだな。
    池田小の事件や秋葉原の歩行者天国の事件、救いようのない殺人者は何人もいる。彼らは圧倒的な悪だ。しかし、彼らの目線、彼らの気持ちを考えたとき、ただのキチガイと割り切れるかといえば、そうとも言えない。

    『みんなの願いは同時には叶わない』と宇多田ヒカル氏は歌った。
    被害者の両親はきっと、自分の子どもの幸せを願っていたことだろう。少年Aは誰かを殺したくて、傷つけたくて仕方なかった。そんな行為への性的興奮を抑えられなかった。少年Aが自身の欲求を満たした時、被害者の両親は失意のどん底に落とされた。

    そういうことでしか欲求を満たせない人はいったいどうやって生きていけばいいのか。難しい。みんなの願いは同時には叶わないのか。

    『SKOOL KILL』という曲をロックバンド・銀杏BOYZは歌う。
    酒鬼薔薇聖斗の声明文からの引用だ。銀杏BOYZの峯田氏は「酒鬼薔薇聖斗はみんなの心のなかにいる」と言う。みんな誰かを殺したいと思ったことがあるはずだ、と。

    人を殺す人間と殺さない人間の違いは何なのか。
    ゴキブリの命と人間の命の違いは何なのか。
    何かが違うのかもしれない。全部一緒なのかもしれない。
    誰もが同時に幸せになることはないのか。
    ひたすらに難解で答えがないような闇を感じる。

  • [主な内容]
    「信じていた、愛していた息子が、当時、世間を騒がせていた
    神戸連続児童殺傷事件の犯人だった。」
    報道だけではわかり得ない加害者家族の”おもい”が
    つづられています。

    [おすすめの理由]
    最近、「加害者家族」をテーマとしたドラマや映画を見かけます。
    この本も加害者家族(少年Aの父母)の手記です。
    加害者家族に対する世間の目、少年Aへの思い、苦悩、そして「家族」とは・・・。
    多くのことを考えさせる1冊です。

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