偽善系―やつらはヘンだ!

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著者 : 日垣隆
  • 文藝春秋 (2000年9月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163566009

偽善系―やつらはヘンだ!の感想・レビュー・書評

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  • 本書で著者が糾弾するのは、人権ママ、携帯電話、インターネット、郵便局、教育偽善者、少年法、裁判官、名著など。

    少し前の本なので今読むと古いところもあるけれど、基本構造は変わっていない。
    人権ママはモンスターペアレントとなり、傍若無人な携帯電話は少し落ち着いてスマホでメールやLINEが増え、裁判員制度が導入されたけど。

    で、今、このタイミングで読んでよかったと思ったのが、文科省と私立大学の関係について。
    この本が出た当時はまだ文部省だったけど、内実は変わっていないでしょう。

    この本を読むまで疑問に感じていなかったけど、私立大学が学部増設をするためには文科省の認可がいるということ、よく考えたら変だよね。
    だって私立なのだから。
    自校の教育理念に合わせて自由に学部を作ったり無くしたりすればいいじゃないの。

    ところが、小中高と私立の学校は文科省の管轄外なのに、大学だけは文科省に縛られる。
    それは、明治維新後初等教育は官主導で行われたのに対し、大学は早稲田慶応が引っ張っていったところがあるから。
    官としては、大学についてもいずれは管轄下においてやりたいわけです。だから帝国大学に力を入れるのですが、それと同時に私立大学を締め付ける。

    そして平成3年、18歳人口の減少を受けて文科省の中におかれた大学審議会が《大学等の新増設については原則抑制の方針を前提とし》つつ《抑制の例外》として《情報関係、社会福祉関係、医療技術関係》を考慮する答申を出す。
    答申を出したのは大学審議会だけど、文章を起草したのは文部省高等教育局大学課の職員。

    そのため平成5年以降、経済学部とか体育学部とか獣医学部とか中南米文学科などの申請がなされなくなった、と。なるほど。
    で、このたびの獣医学部の認可についても、文科省としては平成3年度の答申に基づいて却下したのに、国家戦略特区という教育行政とは無縁のところから横やりが入ったうえに認可してしまった。
    行政が捻じれたと言われるゆえんですな。
    面子がつぶされることを何より嫌いますからな。

    しかし、じゃあ文科省には問題なかったの?
    平成3年から何年経ったと思ってるの?
    とはいえ、総理のお友だちだから行政をねじってでも通すよっていうのは、言語道断ではありますが。

    本書の感想から外れてきた。戻さねば。

    “狭い専門縄張りに拘泥してしまうと、独善性と既得権確保のために、一方で威圧的になり、他方で自己防衛的になる。
     簡単にいえば「やつら」は、偉いとみなされているものや組織に媚び、生身の人々を無視する。偽善系に特徴的なことは、二重規範(ダブルスタンダード)である。”

    上記がこの本の内容を端的に語っている。
    そう、ダブルスタンダードなんだよ。
    それを見破る眼を自分の中に常に意識していないと、知らないうちにだまされて、全然違うところへ持って行かれる可能性がある。
    こんなはずじゃなかったとほぞを噛む羽目になる。

    あと、著者が中学生のときに読んで以来、記憶に刻印されているという、三島由紀夫が自害の四カ月前に書いた文章も鋭い。

    “二十五年前に私が憎んだものは、多少形を変えはしたが、今もあいかわらずしぶとく生き永らえている。生き永らえているどころか、おどろくべき繁殖力で日本中に完全に浸透してしまった。それは戦後民主主義とそこから生じる偽善というおそるべきバチルスである。
     (中略)私はこれからの日本に大して希望をつなぐことができない。このまま行ったら「日本」はなくなってしまうのではないかという感を日増しに深くする。日本はなくなって、その代わりに、無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜目がない、或る経済的大国が極東の一角に残るのだろう。それでもいいと思っている人たちと、私は口をきく気にもなれなくなっているのである。”

    当時の戦後民主主義がどのようなものだったのかはちょっとわからないけれど(生まれてたけど)、今の日本の民主主義といわれる手法は民主主義ではないと思う。
    「0か100か」ではなく、どれだけ互いに歩み寄れるかが民主主義の核だと思うから、自分の意見を押しとおす権利の主張だけで、他人の意見に耳を貸さないのは卑怯。
    その結果が“無機的でからっぽでニュートラルで中間色の富裕で抜目がない経済大国”日本だ。
    と書いたら言い過ぎでしょうか。
    言い過ぎですね。

  • 世の中には偽善者が多いのかな, 2004/9/27


    人権ママ、少年犯罪の裁判、携帯電話マナー等の偽善と思われる内容を取り上げています
    特に同意した部分は「少年犯罪にも死刑を」という点。以前、山口県光市で少年による母子暴行殺人がありましたが、これを裁判官が「更正の余地があるので」と言ったり、被害者が遺影を裁判所に持っていったら、裁判官が「被害者側」に遺影を犯人に見せるな、覆い隠せとどなったとか・・・。裁判官がいかに偽善者かをあらわしている(というか裁判官って単なる過去の判例でしか判断できないロボットの印象)。
    内容的にはちょっと読みきれなかった部分もあったけど、世の中には偽善者が多いのかなと感じました

  •  日垣氏は『「買ってはいけない」は嘘である』で名を馳せた人物。左翼系人権派をこき下ろしたコラムが多いが、決して右寄りではない。ここがミソ。徹底した取材を基にして、「普通の感覚」で切り捨てている。後味が悪くないのはそのためだ。

     <a href="http://d.hatena.ne.jp/sessendo/20080518/p1" target="_blank">http://d.hatena.ne.jp/sessendo/20080518/p1</a>

  • 7人の命を奪った、秋葉原無差別通り魔事件。
    さも、最近こんな事件が多いような、ニュースやワイドショーでの扱いに、なんだか疑問符がつきます。
    本当に多いの?いつの時代と比べてのこと?
    「コミュニケーションが不足した社会の病理なんて」発言を繰り返すコメンテーターさん、そんなこと何の根拠があって言っているのでしょう?

    この容疑者について個別に、犯行理由を分析し、親の教育やまわりの環境等に原因を見つけて語るのであれば、それはいいでしょう。
    しかし、いきなりこの事件を社会に繋げて、現代社会の病理だなんて語るのは、無責任じゃないでしょうか?
    社会の責任に結びつけるのは簡単なんです。個人個人じゃ何も対処できないんですから。それよりも、個人で今すぐにでも日頃対処できるようなところに原因を追求してほしいものです。

    メディアの発達で、日本中、世界中、あらゆるニュースを簡単に得られる時代になりました。
    日本だけを見ても、一定期間を見れば、似たようなニュースなんて結構あるものです。ど根性野菜だって探せば何処にでもあったんですから。
    似たニュースが続けば、マスコミは「またもや、白昼の凶行」などと、類似性をにおわすようなフレーズで視聴者を煽ります。

    アレハンドロ・イニャリトゥ監督の映画「バベル」でも、言語や文化が違えど所詮人間は人間。つながってしまった世界の中で、人間はどこでも愚かで弱いという事実が、浮き彫りにされていました。

    今回の事件にいたっては、ホコ天の自粛や、サバイバルナイフ等の販売規制など、周りも踊らされています。こんなことしてたら、ますます日本が住みずらくなって行きます。

    「こいつらは変だ!」
    ごの本を読むと、なんだか強く発言したくなる・・・ような気がします。

  • 日垣節。面白いです。

  •  私のなかでは、この本は少しコアな一冊であった。 この本を読みながら、漠然と著者のマッチョさを勝手に感じ取っていた。 文章の節々に著者の感情というか、怒りみたいなものが滲み出ていた。 なんだか、終始、こちらが叱られているような気分だった。 彼は、高校以来、一日一冊、本を読み続けてきているらしいが、バカバカしい程にマッチョである。 著者紹介の欄で、顔写真を確認したのだが、なんだが、そこにまた硬派さを感じてしまった。 なんせ、この本の後半で彼は、様々な古典の筆者を罵っていた。 そこに、新鮮さを覚えた。  ところが、ある日、朝方、民放のNEWSを見ていると、日垣 隆というレギュラーコメンテーターが、出演していた。 「んっ!」あっ!あの著者だと気づいた。
    それを見た時に、随分、私が勝手にほんの中で抱いていた著者のイメージとは違ったことに、勝手に幻滅した記憶がある。結局、全ては私の勝手なイメージなのである。冷静に考えて、TVと書物では、単純にメディアの形態が違うのだから、印象が変わったとしても不思議ではない。

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