- Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163579405
作品紹介・あらすじ
柳田国男、三角寛、以来の山窩論争に終止符を打ち、日本人の山窩幻想を鮮やかに総括。
感想・レビュー・書評
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フィクション的な要素の多かった三角寛サンカ論へのディスり本。
サンカについて知りたいことが網羅されており、巻末の方には実際にサンカの生活をしていた末裔に聞き取りを載せてあるなど内容の信憑性も高い。参考になった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
まぁぼちぼち
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民俗学の本として、なかなかの好著ではないだろうか。きちんと学者らしく綿密に調べ上げて書いており、信頼性がある。
サンカは関西辺りから中国地方にかけて、明治から1950年代くらいまでは確かに存在していたが、1960年代から1970年代にかけて消滅してしまったらしい。
山に住み、自然採集で生きて、ときおりふもとの農村に下り、採集物や木などから手仕事で作った品物で交易する。
柳田國男の説では、サンカは先住民族の末裔とのことだが、近世以前に史料が残されていないことから、著者のいうように、江戸時代後期ぐらいから現れた、と見る方が妥当だろう。
飢饉などさまざまな原因から農村を離れ、山に隠れて生活を始めた彼らは、国が近代化し、マックス・ウェーバーの言う「官僚制化」が一挙に進んだ頃は「戸籍に載っていない者」として弾圧され、官僚制化が完成した1960年代あたりに消滅したようだ。そのときから、国民は官僚制システムに完全に管理されるようになったわけだ。
貧窮し山に逃げ込んだ者、というと今で言う「ホームレス」に近いものだろう。ただ、現在の都市部は山に逃げ込めないので、そこらで無為にすごしているだけだ。
とはいえサンカは山で暮らす技術を持っていたわけだし、家族同伴で動いていたようだ。
国家により山から閉め出された彼らは平地の村落に押し込まれ、広島あたりのいわゆる「被差別部落」の中に組み込まれてしまったらしい。
北海道に住んでいるとサンカも被差別部落も、全く知らない、縁の遠い話なのだが、このように庶民の姿の一部を客観的かつ生き生きと描き出した「民俗学」の書物には、なぜかとても引き込まれるものがある。 -
昭和20年ごろまで各地で活動していたサンカについて丹念に調べています。サンカ小説などという事実と異なる風説が小説となり広がってしまいました。その後、五木寛之の「風の大国」であらためてサンカの生活が紹介されました。きちんとサンカの生活を見直すのにいい本だと思います。
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2009/04/02
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一所不在。一畝不耕。大自然と共生し、漂白を続けてきた民。卓越した技能を
持ちながら賤視され、歴史の闇に沈んできた「サンカ」。従来の虚像を解体し、
知られざる実像に肉迫する、豊饒にしてスリリングな沖浦民俗学。
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不思議よね。どこから来てどこに行ったんだろう。
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2002年8月 読了。沖浦先生の本は興味深く、知らないことをおしえてくれる。