イルカと墜落

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 121
感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163585000

作品紹介・あらすじ

アマゾンの奥地で遭遇したピンクのイルカとひとつの事故。ただそこにあるだけの「死」と向かいあったブラジルへの旅。

感想・レビュー・書評

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  • 沢木さんがパイロットの荷物を選んで捨て、パイロットが怒っているのを聞いて喜んでいるエピソードが面白く、クスッと笑ってしまった。人間味があって良い。
    墜落事故に巻き込まれてしまった沢木さんだが、本人は至ってケロッとしているというか、楽観的である。
    どんな状況でも楽しめるのは彼の強み。
    今までの旅行記とはまた打って変わった本ではあるが、どんな食べ物も美味しそうに書かれているなと。

  • 新刊時の2002.5.29に読了しているが再読。
    『ヤノマミ』の国分氏は、このときからずっとアマゾンの原住民を追っていたのだ。

  • 何気なく手に取った本書は、タイトルからはまったく想像できない内容でかなりの満足度を得た。
    この本の時間軸は、バックパッカーのバイブルであり彼の代表作である深夜特急の最終巻から10年ほど経っている。場面は2001年。

    まず本書は大きく2章しか存在しない。それはタイトルにも表現されているが「イルカ記」と「墜落記」。目次のページ数を見れば一瞬でわかるように、「墜落記」が圧倒的に頁数を割いている。このメインとなる墜落に関しての内容が本当に面白かった。実は「堕落」と読み間違って手に取ってたはいたものの、その掛け違いも功を奏する形になった。

    イルカ記まで読んだとき、文章は沢木節に似たエモい文章だったものの、ここで話が終わったような気がしたしここからどう続くのかわからない。短い旅行記の総集編なのかな?どこを目指すのかな?と想像しているだけだった。

    本の半分(墜落記を50ページほど)まで読み進めたときにこれらを理解した。といってもこの時点でも驚くことがある。9.11テロの影響を行程で受けていたこと。事件当時に滞在していた国が違うものの、当時の雰囲気が如実に描かれているので臨場感がすごかった。
    それ(50ページほどまで)以降まで読むと、もう読む手は止まらないのは間違いない。ここから一気に事態は急変し、物語が加速する。それはもちろん、只事ではなかった。

    沢木耕太郎氏は不死身なんじゃないかと思わざるを得ない体験記だけに、マジで行きててよかったと思う。準備も大変、向かってる最中も大変。やはりアマゾンはそれだけ難しい環境なのかもしれない。

    最後の章「終結」に記載してあるのは、おそらく『一号線を北上せよ』の話なのだろう。

    内容は前述したとおりかなり面白かったが、文章もやはり良かった。彼の作品は今後長いこと受け継がれていくだろう。わたしが生きている間は生き続けて出版し続けていただきたいものだ。これから時々彼の著書を読むようにしよう。

  • 先日、食事をしていた時、ウェイターがカトマンズ―出身ということがわかり、興味深くて少し談笑していました。その際、「沢木耕太郎の深夜特急のカトマンズ―でのエピソードを思い出す」というような話を同席した友人たち(同世代)にしたところ、誰も沢木耕太郎も深夜特急も知らないことが判明し、少なからずショックを受けました。

    そんなことがあって久しぶりに読みたくなったので、本棚からこの本を引っ張り出してきました。ブラジルのアマゾンへ原住民を取材に訪れた際、乗っていたセスナ機が墜落したという衝撃的な内容。それなのに、文体はいつものシンプルでクリアな沢木節。これぞノンフィクション紀行文というべき、この文体が好きなんですよね。

    沢木耕太郎も、深夜特急も、読まずにこの年齢を迎えるのはもったいない。必読ですよ、と友人たちには言いたいところです。

  • 一号線を北上せよに続き、本棚から取り出して再読。発売直後に購入していたので18年ぶりの再読となる。私は最初に読んだ時から数年後にブラジルに在住していたが、本当に不思議なのだがこの本の存在を忘れていたのだろうか?この本に登場している舞台とはほとんど皆無に過ごしてしまったことを本当にもったいなく思う。しかしブラジルという大好きで馴染みのある国が舞台になっており、沢木耕太郎のこれ以上ない境遇に食い入るように読み進めた。またブラジルに行かないといけないな。

  • ブラジルで乗っていたセスナが墜落。まさに危機一髪の体験をした著者。それでも、半ばおいしい体験とばかりに、淡々と客観的に書いているのがいかにも沢木氏らしい。

  • ご多分に漏れず、わたしも『深夜特急』から沢木耕太郎を読み始めた。
    なにかのきっかけで1号を読み始め、そこで止まらなくなって、6号までをブクオフの105円本だけではなく、新本もまじえてあわてて買い揃えて読んだ。
    この6冊の新旧文庫本『深夜特急』は、わたしにはたいへんめづらしく、今だに手元にあるのだ。なんとなくまた読むことがあるだろう、くらいに思っているのかも知れない。

    え?で、この本『イルカと墜落』はどうなのかって。
    そりゃ、沢木耕太郎のえらく高飛車な物の言い方がとっても不快な一冊ですよ。うんざりするけど、大した量ではないのでなんとか読み終わるのです。で、この本で良いのは表紙カバーの絵だけ。

    すまんこってす。本です。

  • 『ヤノマミ』を読み終わったら、久しぶりに読み返したくなって。

    『ヤノマミ』の著者国分氏に誘われて沢木さんがアマゾンの奥地まで行く旅のエッセイ。取材そのものは沢木さんの乗ったセスナが墜落(!)してしまうことで中止になるのだけれど、そういったハプニングも何もかも含めて、軽妙に描く沢木さんのエッセイは本当に好きだな。

  • *『イルカ記』:ブラジルに行った著者は、ピンクのイルカに遭遇する。
     『墜落記』:著者はセスナ機に乗ってアマゾン上空を飛ぶが……。*
    飛行機って、あっけなく墜落するものなんですね。セスナですけど。
    落ちるその時の風景まで描写されていて、とてもリアルでした。読む分には面白かったけど、こんな体験、絶対したくない。

  • 組合図書

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著者プロフィール

1947年東京生まれ。横浜国立大学卒業。73年『若き実力者たち』で、ルポライターとしてデビュー。79年『テロルの決算』で「大宅壮一ノンフィクション賞」、82年『一瞬の夏』で「新田次郎文学賞」、85年『バーボン・ストリート』で「講談社エッセイ賞」を受賞する。86年から刊行する『深夜特急』3部作では、93年に「JTB紀行文学賞」を受賞する。2000年、初の書き下ろし長編小説『血の味』を刊行し、06年『凍』で「講談社ノンフィクション賞」、14年『キャパの十字架』で「司馬遼太郎賞」、23年『天路の旅人』で「読売文学賞」を受賞する。

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