質問する力

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163594804

作品紹介・あらすじ

1993年、「今こそ家を買え!」と政府と不動産業界は国民に勧めました。住宅金融公庫は「ゆとり返済」という当初5年間の返済額を低くするローンを売り出し、不動産業者は、「月々たった×万円で、ハイグレードなマンションがあなたのものに」と35年ローンの最初の返済額を広告にのせて購買欲をあおりました。日本には、この時期に不動産を買い、半値以下に暴落した資産を抱えてローンに苦しむ人が現在700万人もいます。この700万人の人々の不幸は避けえなかったことなのでしょうか?違います。「質問する力」があれば、購入を5年待つことができたのです。この本で人生をより良く生きるための最大の武器「質問する力」を私が伝授します。

感想・レビュー・書評

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  • 勉強になったこと、メモ

    『ピラミッドストラクチャーの実践的な使い方』
    ・話し始める前、相手の話を聞くときには、反射的にピラミッド・ストラクチャーが頭に浮かぶ
    ・【話すとき】1つの命題を見るとそれを支える論理構造が瞬間的に頭の中に視覚化されるので、そこで問題の整理をつけてから話し出す
    ・【聞くとき】ピラミッドストラクチャーを作り、そうした結論を出すには、足りないいくつかの証拠を求めて質問をする

    『大前研一が考える起業の鉱脈』
    ・高齢者が資産を取り崩しても良いと思うほど、心を動かされる商品を企画し、提供する
    ・家の建て替え、バリアフリー需要
    ・ゴルフ場に公園墓地、お金は死んでから、生命保険、貯金、住宅を抵当に、するとお金を手放したくない高齢者を安心

    『大前研一流本の読み方』
    ・本を読むと、その読むのに要した時間の3倍、できれば5倍の時間をその本を体の(頭の)滋養とするために考える時間をとる、自分の血となり肉となるから、そこまでやる必要のない本は読まない

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB00062879

  • 1

  • 書名と中身が合っていない。「こういう見方もあるのか~」って勉強にはなるが、それは大前研一氏の考察であってべつに質問する力が身に付く訳でもない。雑書ですね

  • 対話の中で物事の本質を探り当てていく。
    著者の書いている通り日本の明示以来の教育が受け身の人間を育てている。というのは理解出来る。
    質問される側の立場の変化も必要だろう。
    まずは疑問を持って物事に当たる姿勢を大事にする。

  •  大前研一は溜息をつきながらこの本を書いたにちがいない。なぜ日本人はもう少し論理的にものごとを考えようとしないのか、自分は繰り返しそのことを説いてきたはずなのに、と。
     が、愚痴が並んでいるわけではない。再読、三読する価値がある。
     著者自身、最後にこう書いている。
    <blockquote> まずはこの本の価値があったかどうか?高くなかったか?元を取り返すにはどうしたらいいか?高いとすれば、本書を読むことによってこのあと、どのような価値が生じてくればいいか、考えて下さい。やすい、とすれば何に比べて安いのか、そもそも本の価格は何で決まるべきだ、と考えているのか、など私にも聞かせてもらいたい者です。私は本を読むと、その読むのに要した時間の三倍、できれば五倍、の時間をその本を体の(いや頭の)時用とするために考える時間をとることにしています。そうすると、実にどんな本でも安く思えてくるほど自分の血となり肉となるのを実感します。またそこまでやる価値のない本は読まないようにしています。</blockquote>
     「あとがきにかえて」での、幕末に活躍した志士たちが褒めそやされているけど、彼らは世界のことなど何も知らない跳ね返りだっただけで、明治維新以降の日本の成功は、実は幕府によって既に築き上げられていたのだという指摘、なるほど、である。

     目次だけでも目を通すに値する。[more]

    第1章 地価の下落は予想できた
     1993年、「今こそ家を買え」と政府と業界は勧めた
     最後の借り手である国民が利用された
     「住宅情報」の発行元の関連会社を調べてみる

    第2章 1995年から世界は変わった
     ゴルバチョフの登場で冷戦構造の崩壊が始まった
     プラザ合意は日本人の所得をアメリカに移転した
     プラザ合意は一方で日本にとって最大のチャンスだった
     ウィドゥズ1.0の発売
     ビフォーゲイツ、アフターゲイツ
     消費に国境がなくなった
     まったく新しい遺伝子を持ったゴジラ企業の出現
     中国にもゴジラ企業現る
     国際関係もスピード化する
     質問することから全てが始まる

    第3章 シンガポールの奇蹟
     ゲイツ二年に英語を学校教育用語にした国
     国家の経営ノウハウを売る
     日本はゆったりとした下り坂をおりる
     五十年後、日本経済の規模はアメリカの四分の一になる
     スペイン、ポルトガル、アルゼンチン
     日産の改革をなぜ日本人ができなかったか
     瑕疵担保条項の本当の話
     所与の条件を所与として諦めない

    第4章 質問せよ、さらば開かれん
     国の年金はあてにしない人生設計をする
     国の格付けと国債の格付けを混同しない
     国債は紙屑になることも覚悟する
     株価が下がっても、ほとんどの国民は困らない
     不良債権を処理するだけでは景気は良くならない
     ペイオフ延期の真の理由
     既存の銀行は潰れても新規参入がある
     日本の金利を疑う
     金正日と交渉することに意味はない
     北朝鮮の暴発を恐れてはいけない
     原子炉に傷はできる
     官庁は原子炉の安全について判断する能力などない
     原子炉は絶対安全ではない
     東京に原発をもってくる
     トレードオフを分かった上で、エネルギーは住民が選択する
     郵政民営化を考える
     郵便事業の民営化は不可能である
     なんのために民営化するのか
     郵便貯金の民営化も無意味である
     郵便は各自治体が配達公団をつくって省力化する
     郵貯は民営化ではなく解体する
     道路公団改革を考える
     道路公団のそもそもの出発点にさかのぼる
     道路はネットワークであり単線ごとの収支に意味はない
     プレート課税を提案する
     新しい高速道路の建設は税金でまかなう
     長野のダム問題、結論は最初から出ていた
     公共事業費は誰の金か考えてみる
     国債は未来からの借金である
     長野県の産業振興を考える
     道州制しかない

    第5章 「質問する力」を育てる
     質問し、権威に挑戦する教育
     信長はなぜ光秀に殺されたのかを考えてみる
     なぜ日本人は英語ができないのか
     英語はまず伝えたい中身である
     英語教師の採用は国籍条項を外してしまう
     模倣の教育ではなく創造の教育をする
     とがった人材を育てる
     ITは学校では教えない
     マンガとアニメとゲーム
     義務教育の役割は、社会人をつくること
     才能を育てるのは親の役割
     大前家の教育方針
     親が反対しても、子供はやる
     日本人留学生の能力も低下している
     受験競争の弊害
     世界の大学の趨勢は私立である
     アメリカでは、社会を経験してから大学院に進む
     中国の大学は、ベンチャー企業を起業している
     中国では優秀な学生を巡って地域間競争が激化している
     日本の大学には競争がない
     日本は学生の間にも競争がない
     海外の一流大学の通信講座を紹介する

    第6章 説明する力
     企業コンサルタントは質問する職業だった
     「ラリー・キング・ライブ」に出演する
     論理的な思考は世界共通の言語である
     小渕さんには「質問する力」があった
     政治家には「質問する力」が不可欠である
     指導者は戦争について考えねばならない
     経営者にも「質問する力」は重要である
     海外で名前の通用する新しい経営者が出てきていない

    第7章 解答を考える
     「質問する力」を試す例題を解く
     解答は、個人に企業会計を導入すること
     欠点の列挙では問題は解決しない
     高齢者に企業の鉱脈がある
     高齢者が家の建て替えをする
     老人三人で一つの家に住む
     お墓をビジネスにする
     書斎減税を実施する
     日本は住宅が余っている

    あとがきにかえて
     明治維新時の日本を考えてみる
     幕臣小栗忠順は論理的思考でアメリカと交渉した
     幕藩体制が明治維新を準備した
     現在の日本にも次の時代を準備している人々がいる

  • 図書館で見かけて読んだ。質問の例といいながら政治に関する持論が展開されていく本。2003年の本だけど15年後の今見ても合っているのがすごい。プレート課税案いいと思うけど。
     
    ・現実の社会では、正しい質問をしない限り答えどころか「何が問題なのか」さえはっきりしないのです。(p242)
     
    ・だめな経営者に限って、問題点を羅列し、それを逆さまにして解決策と称する傾向があります。(p251)

  • なぜ、著者は未来の予想が出来るのか、それはまともな質問ができるからである。これがこの本の趣旨。確かに、なんとなくそういうものであるという理解の下で、思考停止してしまっている事って多い気がする。それをいちいち、「なんで?」なんて考えていたら、息が詰まってしまうかもしれないが、「なんで?」と考えないから行き詰るのかも。ある科学者が、「なぜ雲は落ちてこないのだろう?」と考えない人は幸せであるが、人類を進歩させるのは不幸な人であるといった。まさに質問力とはこの類のことであろう。良い。

  • 2003年と少し昔の作品ですが、郵政民営化など当時の社会問題を題材にした大前氏の、本質の見極め方、解決策の考え方は、十分に参考になる。大前氏の場合、いつの時代の著作を読んでも、基本的な発想の切り口が変わっていないのは、やっぱりすごい。

  • 質問する力は重要。

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著者プロフィール

1943年、福岡県生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工学科で修士号を、マサチューセッツ工科大学大学院原子力工学科で博士号を取得。(株)日立製作所原子力開発部技師を経て、1972年、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社。 以来ディレクター、日本支社長、アジア太平洋地区会長を務める。現在はビジネス・ブレークスルー大学学長を務めるとともに、世界の大企業やアジア・太平洋における国家レベルのアドバイザーとして活躍のかたわら、グローバルな視点と大胆な発想で、活発な提言を行っている。

「2018年 『勝ち組企業の「ビジネスモデル」大全 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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