はじめての文学 村上春樹

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163598109

作品紹介・あらすじ

小説はこんなにおもしろい!文学の入り口に立つ若い読者へ向けた自選アンソロジー。

感想・レビュー・書評

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  • 読み友さんご推薦、久しぶりに村上春樹。中学生の時に読んだ「ノルウェーの森」以来で、靄がかかったようなモヤモヤ感で終わった読書。今回は短編で、一眼レフカメラの焦点が合った作品があり、でもモヤモヤもあり。全体的に楽しめた。自分が思う村上作品は「ナンセンス文学の延長線上」であり、その深層にある心的情動をどう持つか?自分がどう考えるのか?ということに尽きるのだと思う。「沈黙」は気に入らない相手に対する葛藤、抑圧を自分のことのように読めた。「かえるくん、東京を救う」は震災に立ち向かう主人公の心情が伝わった。⑤

  • 村上春樹作品の短篇が収められている。中でも、『沈黙』は、秀逸。多くの若い人に読んで欲しいと感じる。

  • 高校の図書館で目に留まって、そのころ「村上春樹というものを読んでみたい」と思っていた私は意気揚々とページをめくってみたのだけれど、まるで意味がわからなくてすぐに書架にもどした。
    その時のことをよく覚えている。今じゃいちばん敬愛する作家であるのだから、人間はどうなるか分からないものだ。
    年少者向けに、いくつか春樹さんが自選しているとのこと。童話めいたものが多い印象です。
    『夜のくもざる』所収のもの以外は読んだことあるはずなんだけど、タイトルに見覚えがあっても内容は結構(というかほぼ)忘れている。
    私が好きな短編とは傾向がちがうものの、それも踏まえて楽しい読書だった。
    娘がいつか春樹さんの小説を読んでくれる日は来るだろうか?もしそうなったら、どの話を面白いと思ってくれるだろう。今のところ、そんな日は来なそうではあるけれど……。

  •  久々に心動かされた本だった。最初の作品から明らかに年少者向けって感じがプンプンしているんだけど、シンプルなおかげで、村上春樹の良さがちょっと分かった気がする。

     どれも非常にシンプルな短編集で、モチーフが雑多に散りばめられていた。メッセージ性はあるものもあれば、ないものもある。そんな感じ。話ごとにテーマも書き方も全然違かったから、飽きずに読めて楽しかった。物語を書く人も、こんな風にして表現の仕方を一個一個広げていくのかって思うと、天才も凡人と同じように一個一個成長していくものなんだなって思えて、なんだか身近に感じた。勝手に身近に感じて不相応ではあるのだけれど。1人の人間が書ける表現とかテーマって限られているけど、無限に思えるほど存在している。だからこそ無限に成長していけるし、未知の化学反応も無限にあるんだな。

     あと、あとがきが結構面白かった。作品が作られた経緯や主題について語られていたのだけれど、思わずクスッと笑ってしまうような書き方。自分で書いといて、「話はほとんどナンセンスで」とか「意味のようなものはほとんどない」って潔く言ってしまうところとか。正直、”読んでて面白いけど、意味はわかんないな”って思ってた作品に、「意味のようなものはほとんどない」と言われたら文句も言えない。”ああそうですか”って笑ってしまう。「時々僕はこういうことをする」って妙に客観的に言うところとか、ストレートな作品は小説家としてあまり好みではないとかも、村上春樹の人柄が滲み出てて面白い。
     あとがきのタイトルが「かえるくんのいる場所」なのも、心の特別な領域にはたらきかけるのが物語なんだっていうのも、素敵だった。
     「この作品で描きたかったのは…」って作者自身が言ってくれることってすごい貴重で、「ああなるほどな」って思えることが多くて、そういう意味でもすごく、読んでよかった本だった。年少者向けの作品って、余計な部分が削ぎ落とされてるから、噛むべきところをよく噛めて、味がよくわかっていいなと思う。これを機に、村上春樹の作品を色々読んで見たいなと思ったし、このシリーズの他の作者の作品も読んで見たいと思った。

     共感したのは「沈黙」で漱石っぽいなと思ったのと、「鏡」は江戸川乱歩っぽいなと思った。「シドニーのグリーンストリート」の最初の部分だけは、サリンジャーっぽいなと思った。ぽいとか言うと、本当にファンの人に怒られそうだけど。

  • 読了2009.10.22
    「鏡」「ドーナツ化」「沈黙」「かえるくん、東京を救う」が特に好きでした。

  • 様々な短編集に収録されている中から、抜粋された短編たち。久しぶりに読むものが多くほとんど内容を忘れていたので面白く読めたが、夜寝る前に読むのにはちょっと怖すぎた。。笑

  • 2013年4月23日
    「とんがり焼の盛衰」はおもしろかった。
    けど、かなりグロいものもあって、私的には10代の子どもに読ませたくない、と思ったものもあった。

  • 小5兄が教科書に載ってる「カレーライス」にはまり、重松清さん編探したけど近くの図書館で取り扱いなし。じゃあ母推薦村上春樹さん!と。小3妹がおもしろい〜!らしい。妹おすすめは「インド屋さん」

  • 幼少期にして村上春樹の良さに気づけたとしたら、何よりもの先行投資であるように思う。
    幼少期に村上春樹の魅力に気づけるなんて羨ましい話。


    村上文学特有の性描写は割愛され、長編に及ぶ物語ではないものの、メタファーは削り落とされることなく感じる。


    1番好きだったのは「沈黙」。
    本質を突く、ストレートなメッセージだったのが新鮮と感じたのだが、あとがきによると春樹さんはらしくないからと好んでいないよう。
    それを読み、自分の未熟さを感じた。
    メタファーから感じ取れる人間になりたいと強く思った。


    「カンガルー日和」が改編されているらしく、当初のものと脳内比較して、違うところの発見が一点。
    ビールが熊になっている。
    当初のビールでシメられる文こそ村上春樹らしいのに、と一瞬思ったものの、子どもの好奇心を際立てているとを感じた。熊でも悪くないな。



    あと、「ショートショート」というジャンル。
    改めて興味深い。。

  • 図書館で見かけて、久しぶりに読み返しました。後書きにもあるように、見比べると結構手を入れてあることがわかりました。「沈黙」は良い意味で年少者向けだと思います。何かのアンソロジーにも入っていた覚えがあります。渡辺昇シリーズ(?)は他の本にも収められていないかなと思っています。手元にほしいので。それから、村上春樹さんの描く「井戸」が何を意味するのか、最近はそればかり考えています。ねじまき鳥も読み返したくなってきます。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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