はじめての文学 よしもとばなな

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  • 文藝春秋 (2007年1月12日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163598307

はじめての文学 よしもとばななの感想・レビュー・書評

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  • 文学の入り口用に作られたシリーズ。自選アンソロジー。よしもとばなな編。
    『キッチン』『「おかあさーん!」』
    『おやじの味』『バブーシュカ』
    『ミイラ』『ともちゃんの幸せ』
    『デッドエンドの思いで』を収録。

    このシリーズ、すごく良いなあ。あとがきも、十人十色で面白い。
    ふだんあとがき書かないひとのあとがきも読めて、すごく楽しい。

    『キッチン』
    祖母を亡くした、台所フェチの女の子の話。
    転がりこんだ別の台所で、
    少女は祖母を亡くした喪失感から、日毎豊かに回復していく。

    このマッタリ感が、すごく心地良かった。
    久々に、あー終わっちゃう!読むのもったいない!と悔しがった。

    『「おかあさーん!」』
    毒を盛られたOLが、一命をとりとめて社会復帰するものの、
    日常には戻れず葛藤するお話。

    払拭できない悪いことって、大概輪郭がぼやけてる種類のものだよなあ。

    『おやじの味』
    失恋の痛手から山ごもりする話。
    “ 生きていることには本当に意味がたくさんあって、
    星の数ほど、もうおぼえきれないほどの美しいシーンが
    私の魂を埋めつくしているのだが、
    生きていることに意味をもたせようとするなんて、
    そんな貧しくてみにくいことは、もう一生よそう、と思った。”

    こんな数ページの短編に、色んな物を凝縮してつめこめるもんなんだよねえ。圧縮方法を学びたい。

    『バブーシュカ』
    静かな雪の日。
    傷ついている彼を慰めたいけれど、うまく癒せないカップルの話。

    天命をうけて主人公は、たおやかな母性を得るんだけど、
    私もはやく霹靂を得て、人生に活かしたい。

    『ミイラ』
    殺人鬼かもしれない男についていって、軟禁される話。

    雌の話。女じゃなくって、雌が行動を司っている時ってあるよねえ。
    動物的本能でいうと、防衛本能より生殖本能がまさってしまうこと。
    逆だけど、雌に食べられるカマキリを思い起こした。

    しかし一番衝撃的だったのは、
    “ 賢くて、考古学が好きで、異常な感性を持っているからって、
    そのまんまの職業につくなんて、大した人じゃなかったんだ“
    という一文。よしもとばななに、俄然興味がわいた。

    『ともちゃんの幸せ』
    わりと波乱万丈な人生を送ってきたともちゃんが、恋をする話。

    よしもとばななの毒は、冷たくないかんじがする。
    毒というか、正直な感想なんだけど他人を傷つける強い言葉。
    純粋な毒、なんだろうなー。

    『デッドエンドの思いで』
    婚約者に逃げられた女が、新しい土地で、不思議な男と一緒に働き、
    新たなスタートをきるまでの話。

    よしもとばなな作品のキャラは、みんなシビアだなあ。
    “もう、二度とあの楽しい日々は帰ってこないから、
    もう会わないんだろうな ”
    っていうのが切なくて現実すぎて、うああああああああ!
    世の中、それを言わないで誤魔化して生きてる人が大半なのに!
    刹那的に体感したくって必死なのに!

  • 日常生活が書かれているが視点を変えると面白いなって感じる作品。風景の描写がすごい。気持ちの描写もすごい。読んでいて飽きない。
    今の私に合う著者だった。
    著者が述べる「夢はお金持ちになる、美味しいレストランに行く、ではない。夢とは自由のこと。その中に周りの人がいることに気づく。」「この世に生まれたことを肯定して受け入れるといいことがあるのでは。生命の感謝を表し、それを本で魔法として創りたい。」この言葉が文章からすごく感じられた。

  • 短編集
    キッチン
    「おかあさーん!」
    おやじの味
    バブーシュカ
    ミイラ
    ともちゃんの幸せ
    デッドエンドの思い出

    キッチンは読んだことあるから読まなかった。
    キッチンとともちゃんの幸せが特に好き。
    デッドエンドの思い出も良かった。

    デッドエンドの思い出より↓

    "「そうだよ、これで外に出て行こうなんて思ったら、それは傲慢っていうものだよ。世の中には、人それぞれの数だけどん底の限界があるもん。俺や君の不幸なんて、比べ物にならないくらいものがこの世にはたくさんあるし、そんなの味わったら俺たちなんてぺしゃんこになって、すぐに死んでしまう。けっこう甘くて幸せなところにいるんだから。でもそれは恥ずかしいことじゃないから。」"___227p

    "家族とか、仕事とか、友達だとか、婚約者とかなんとかいうものは、自分に眠るそうした恐ろしいほうの色彩から自分を守るためにはりめぐらされた蜘蛛の巣のようなものなんだな、と思った。そのネットがたくさんあるほど、下に落ちなくてすむし、うまくすれば下があることなんて気づかないで一生を終えることだってできる。"___235p

    あとがきより↓

    "夢も持てない人生なんて、あってはいけない。夢とは、お金持ちになって広くて良い部屋に住み、仕立てのいい服を着て、おいしいレストランに行く………そんなものではないのです。夢とは、自由のことです。"

  • 読んだことのない人の本を読もう月間.
    意外と有名どころを読んでなかったりして、本のタイトルはたくさん知ってるんだけれど、なぜか手に取ったことがないという人が、わたしにはかなりいる.

    読んだことがない作家さんにトライするときは、この『はじめての文学』があれば最初に読んでおきたいなと思う.たくさん読まれている話も入ってるし、何より自選っていうのがいい.小川洋子さんも最初に読んだのはこれだった.

    全部で7つの短編&中編が収録されているけれど、好きだったのは『キッチン』『「おかあさーん!」』『おやじの味』『デッドエンドの思い出』.どれも悲しいことがあった後のやさしい再生のお話.悲しいことがあって弱ってるときのほうが、世界を見る感度が上がったり、いろんなことに気づけるということはあると思うけれど、そういう普通に生活してたら何てことのないものの美しさとかきらめきがぎゅっと詰まってる感じ.

    ファンタジーぽさもあるし、そんなに現実はやさしくないと思うところはもちろんあるんだけれど、最後のあとがきの「この世に生まれたことをなんとか肯定して受け入れようではないか、だいたいが面倒で大変なことばかりだけれど、ふとしたいいこともあるではないか、そういうことを言葉で表したいのです。」というところを読んで納得.

  • はじめて、よしもとばななの作品に触れるあなたへ。

  • 中高生向け?中短編自選アンソロジー「はじめての文学」シリーズ。

    吉本ばななといえば20代の前半に『TSUGUMI』を読んだっきりだったのですが、いやまさか、この中短編集にこんなにも泣かされるとは。
    いつも大体こういう作品なのか、それとも選んでみたらたまたまこういうのが集まったのか、ばななビギナーの私には解らないのですが、本書では「こっぴどく傷ついた女の子が癒されていくお話」が多め。
    だからってワンパターンなのかと言うと全然そんな事はなくて、傷つき方も傷の受け止め方もそれぞれに哀しくて苦しくて切なくて生々しくて、だけど読んでいく内に自分までもが癒されていくようで。なるほど、これがばななの操る「魔法」なのか……。

    ばなな先生の長編も読みたくなりました。

    【収録作品】
    キッチン
    「おかあさーん!」
    おやじの味
    バブーシュカ
    ミイラ
    ともちゃんの幸せ
    デッドエンドの思い出

  • 短編、中編集。

    一作目のキッチンを読んだときは、まったく良さがわからなかった。しかし、何作か読み進めていくうちに、よしもとばななさんの現代的ともいうべきか独特の文章と構成で描かれた主人公の感受性が味わい深いなのかなぁと思った。

    話の雰囲気はいずれもよく似ている。
    マイベストは、ストーリーで選んで「おかあさーん!」に一票投じる。いや、あとがきが一番素敵かも…。

    ーーー
    p139「おやじの味」より
    自分の毛虫に対する強度がゼロの価にまでいつのまに下がっていたのだろう。(略)こんな調子で私はどれだけの感受性をすりへらしてきたのだろう?

    p147「おやじの味」より
    生きていることには本当に意味がたくさんあって、星の数ほど、もうおぼえきれないほどの美しいシーンが私の魂を埋めつしているのだが、生きていることに意味をもたせようとするなんて、そんな貧しくみにくいことは、もう一生よそう、と思った。

  • 勝手に、恋愛ものの小説に苦手意識があったけれど、この本はまったく苦手に感じず読み終えられた。
    ちなみに短編集。いろいろ考えさせられる、けれども心が透き通るような短い物語が5つか6つくらい収録されている。

  • 2015.7.21

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