後藤田正晴と十二人の総理たち: もう鳴らない“ゴット・フォン”

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163681207

感想・レビュー・書評

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  • カミソリ後藤田と呼ばれた元警察庁長官、官房長官の後藤田正晴氏が支えた歴代の総理大臣の時代の危機管理案件について記述した本。後藤田正晴と十二人の総理、というタイトルではあるが、どちらかというと佐々淳行と十二人の総理、というほうが正確なのではなかろうか。ゴットフォンがあろうとなかろうと、佐々氏がどういう危機管理を想定し、実践してきたかが書かれている。
    さすが理論家かつ実践家という感じで、非常におもしろく読みやすかった。多数のデモに対しての鎮圧方法として、「汝殺スナカレ」を守りつつ、音と光で制圧するなど、現実にいつ役に立つかはわからないが、非常に勉強になる。
    後藤田五訓
    一、省益ヲ忘レ、国益ヲ想エ。
    二、嫌ナ事実、悪イ情報ヲ報告セヨ。
    三、勇気ヲ以テ、意見具申セヨ。
    四、自分ノ仕事ニ非ズトイウナカレ。自分ノ仕事デアルトイッテ争エ。
    五、決定ガ下ッタラ従イ、命令ハ直チニ実行セヨ。
    佐々氏の本はもっと読んでみたくなるね。

  • なんというか、一兵卒の従軍記みたいな文体で天下国家を語ってるよな。後藤田正晴じゃなくて自分の話ばっかりだし。

  • 情熱的な老人のめちゃめちゃおもしろい昔話。湾岸戦争の戦費負担の90億ドルが円建てかドル建てか不明瞭なままであとから為替差損をアメリカから要求された話については手島龍一氏の著書「外交敗戦」で知ったが、この本でも同じスタンスで論じていた。「我が上司後藤田正晴」も読んでみたいと思う。図書館でたまたま手に取って借りた。

  • なるほど無茶な老人に違いない。けれど、死ぬまで「護民官」であり続けた氏の姿勢には、尊敬の念を抱かざるをえない。また、佐々氏の文章の妙技と言うか、実に当時の情景が浮かんでくるものだ。別著なのだろうけれど、危機管理のありかたを事例を踏まえて解説してくれるとなお良かった。今回は、佐々氏の回想録でもあっただろう。

  • 佐々氏の著作は何冊か読んでいますが、どれも語り口が平易で読み物として非常に面白いと思います。
    この著書についても、大きな事件の裏側を知る二人の行動について参考になるところは多いですよ。

  • 久々に日本語で本読んだ。

    なんか自慢話ばっかり・・・でも日本人でここまで自分をうまく褒められる人もたぶんなかなかいないだろうから、彼の本はそれなりに売れるのだろう笑。あと浪花節的な描写が随所に見られるので、中高年層のウケもよさそう。

    記録文学というよりかはエンターテイメントだと思う。

  • いままでさんざん佐々が書いてきた内容とほぼかぶるのだが、
    叙情的な、小説的な仕上がりになっているのはよかった。
    後藤田さんの葬式で、次々献花におとずれる歴代の総理と後藤田、
    佐々の思い出を書いている。
    さすがに新しい事件はないし、佐々の手柄話ばかりなのもいつものことだけど、
    それでも最後、あまりの佐々の後藤田への愛に泣いてしまった。
    佐々も長くなさそうだし、いい時代の語り部が減るのは苦しいな。

  • 読むべし。世間でそれなりに生きてきた人の話をいろいろ読むのはとても興味深い。

  • 後藤田さんが他界されたからでしょうか。今まで書かなかったことがたくさん書かれています。
    冷静な行動、義理の堅さ、現実志向。学ぶ点は多いです。
    また、マスコミのいい加減さも改めて思い知らされます。

  • 好きな人の事を語られる言葉はとても愛情あふれるものである。たとえば敬愛とはこうゆうものかなとも想ったり

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著者プロフィール

1930年東京生まれ。東京大学法学部卒業後、国家地方警察本部(現警察庁)に入庁。「東大安田講堂事件」「連合赤軍あさま山荘事件」等に警備幕僚長として危機管理に携わる。86年より初代内閣安全保障室長をつとめ、89年昭和天皇大喪の礼警備を最後に退官。2000年、第四八回菊池寛賞を受賞。2001年、勲二等旭日重光章受章。著書に『東大落城』(文藝春秋読者賞受賞)等がある

「2016年 『重要事件で振り返る戦後日本史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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