漆 塗師物語

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著者 : 赤木明登
  • 文藝春秋 (2006年6月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163682709

漆 塗師物語の感想・レビュー・書評

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  • 県外の人から見るとそうなんだ~と思う点も色々あり。
    桃居にも行ったばかりで、すごくニアピン感動倍増。

    自分の作りたいものをつくる。

    新しい形を付け加えることができたとしても、それはおそらく今まである中の砂粒のような何万分の一になるだけじゃないか。
    ずっと過去にさかのぼって、自分が出合った、美しいと思える椀を再び作ってみよう。同じ形なんだけど、ちょっとした線の揺らぎで印象が変わってくる。頭に思い描くことのできる軌跡は同形かつ無限。この無限の中で僕にはこれしかないんだという一本の線を見つけてやろう。

    本当の自分になることは、自分が自分と思っている小さな自分を捨てること。何かと出合ってこそ。僕になることができる。

    器の連続性の中に自己が消滅するのと同時に、驚くべきことが起こった。
    連続性の中にいながら、徹底して僕の器を体得した瞬間に、なんと僕の器が、ずらりと過去から、永遠の彼方まで連続しているのが見えてくるのだ。
    それは自己の消失とともに、たち現れた僕自身の姿・・
    僕の好みを徹底し、器の形も色も我が物にすることによって初めて、普遍
    性がたち現れる。

    無限の線から、たった一本の自分の線を見つけ出す。同時に連続するすべてのものと関連付ける。それによって僕は僕であることを知り、この世界とつながることができる。

  • 著者が編集者を辞めて東京から輪島に移り住み、塗師の親方のもとに弟子入り、4年の年季を経て独立、初個展を開くまでの物語。と同時に、幼い頃から抱き続けた、周りの世界とのズレの感覚をめぐる自分探しの物語でもある。が、この本の目的について、著者は、輪島に移り住む契機となった「(角)偉三郎さんから習ったことがらをここにどうしても書き留めておきたい。」と書いていて、輪島塗の制作における技術の問題が大きなテーマとなっている。最近、拝聴したトークショーで著者は「作り手はどこが美しいのかきちんと言語化できなければいけない。そうでないと、ただただ技術的に優れたものとなってしまう」と言った趣旨のことを話していた。この本を読むとその背景がよくわかる。たいへん難しいことだとは思うが、このことは”ぬりもの”に限らず、音楽でも演奏でも映画でも言えることではないかと思った。

    親方のところに弟子入りをして、塗師の仕事を一つひとつ教わっていく箇所は丁寧に書かれてはいるが、輪島塗を全く知らない者には、やはり理解しづらく、読み進めるのに気力を要する。同じ著者の『毎日つかう漆のうつわ』という本には、「講座 ぬりものってなんだろう」という章があって、輪島塗の製作過程をイラストを使って分りやすく説明しているので、こちらを先に読んでおけば良かったと思った。

  • 輪島の人達が守り、そして受け継いできた文化や伝統、その土地の風土に根ざした生活が、塗師赤木さんを育てたのだと思う。
    他所から来た人のことを「旅の人」と書いてあったけれど、「風の人」とも言う北陸の人の感性が素晴らしい。
    読み終わってみて、奥さんや親方、なにより輪島で出会った人達にほんとうに恵まれたんだなとしみじみ感じ入る。
    最後の「器とはなにか」の章は唐突に別の世界へトリップしたような内容でかなり抽象的。

  • 現代を代表する塗師が編集者からどのようにして塗師になったのか。漆とは。モノ作りとは。
    一つの漆器が出来上がる工程が細かく書かれているが、数十もの工程があるとは知らなかった。しかも椀型師、椀木地師、塗師など何人もの職人の手を経て出来上がる。これなら汁椀で15,000円とかしても安いくらいだと思う。
    漆器を通じて自分自身ととことん向き合い、本質を求める姿勢は素晴らしい。
    愛を持って産み出されたモノを大切に長く使うことの豊かさがここにある。
    上っ面をなぞらえたなんちゃってが溢れかえるこのご時世だからこそ、ホンモノを使いたい。
    赤木さんの漆器が欲しい〜!!

  • カバーをめくった瞬間、購入を決めました。まさに塗師の本!知られざる漆塗師の日常が興味深く綴られており、職人としては遅咲きの赤木さんが素朴にがんばって来られた背景がみえてきます。

  • 塗師・赤木明登の半生記。
    著者の一番古い記憶にはかなりぐっときました。
    しかし読んでいるうちに作る人なら話より、作った現物をじーっと見せてくれる本の方がよくないかと身もふたもない事を思ったわたくし。
    読む順番間違えたかしら。

  • 世界文化社の編集者は結婚しても毎夜飲み歩いていた。仕事は面白い。
    企画ごとに好奇心を刺激されるけれど、しかし心は移ろうだけだ。
    カッコたるなにものかがあるはず。なんだか満たされていない自分がいる。

    そんな時に、漆の作家角偉三郎に出会う。衝撃を受ける。
    漆って何なんだろう?
    生まれたばかりの子どもを連れて一家で輪島に移住し塗師の元に弟子入り。
    4年の年季と1年のお礼奉公を済ませて独立した塗師の物語だ。

    輪島という地域の中、工芸作品と日常使いのぬりものとの間で葛藤する大きな偉三郎を間近に見て学ぶ。
    この本は「偉三郎オマージュ」でもあり、ぬりものの技術紹介、塗師とは何かを知らせる著作でもあるが、
    それだけではない。

    いったい自分は何を表現したいのか、手を動かすことから何をわかるのか、
    自然の賜物である木材と漆を使うこと、先人のやってきたこと、これからのことなどなど、
    人生をきちんと生きていく、そして自分の立ち位置を明解にしていく、
    自然に囲まれ、人とそしてモノと生きるということを納得させられる著作だ。

  • 赤木さんのお椀を毎日使っています。

  • 塗師・赤木明登が初めて輪島に来た時から現在まで。 漆の専門的な話も温かい家族との日常も同じ目線で語られている。

  • ひとつにのめり込む。
    引き継がれる智慧。

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