現代史の虚実―沖縄大江裁判・靖国・慰安婦・南京・フェミニズム

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著者 : 秦郁彦
  • 文藝春秋 (2008年5月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163702704

現代史の虚実―沖縄大江裁判・靖国・慰安婦・南京・フェミニズムの感想・レビュー・書評

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  •  著者は、著名な「歴史家」であると思っていたが、本書を読んで非常な違和感をもった。
     「沖縄大江裁判」についての内容は、歴史を冷静に検討しているとは思えず、ヒステリックとも感じるような表現が多々ある。
     沖縄の抗議集会についての「県当局の動員による11万人(実数は2万人前後か?)」との表記は、本書では別のところにも記載されているところから著者は大きなこだわりを持っているのだろうが、一般的にはこのような集会の主催者発表と警察発表は違うのが当たり前である。そこをわざわざ強調すること自体に違和感を感じる。
     本書では、沖縄戦における日本陸軍が住民対策を全くしなかったわけではなく「・・・台湾に8万人を疎開・・・戦闘圏外となる本島北部へ10万人を疎開させるように督励・・・史上稀な大規模疎開プロジェクトで、それなりの評価を与えて良いと思う」とあまり知られていないことを指摘しているが、「本島北部の移動は住民がためらったので3万人にとどまり・・・先頭協力者をふくめ9万人が犠牲になった」のでは、やはり日本陸軍の責任はいささかも軽減されないと思えた。
     他にも、「沖縄集団自決問題を象徴するかのような高校生のセリフ」について「扇情的なスピーチにはシナリオライターないし演出者がいると私は直感した」とこきおろしているが、これは「歴史の実証主義」を標榜する著者にとって、決しておこなってはいけない思考法なのではないか。
     また「正論の日々」は、右寄りのオピニオンである産経新聞掲載と関連するのかもしれないが粗雑な考察が多いと思えたし、「歴史よもやま話」はもっとひどく、「核抑止にレンタル核の勧め」などは、歴史上唯一の多くの原爆被害を経験した日本の歴史を考慮しないひどいものとしか言い様がないし、「私のタバコ疫学」「喫煙者へのいじめ迫害の自制を」などは、大勢の非喫煙者への迷惑を省みない「ワガママじいさんのたわごと」にしか思えない。
     本書は、極めて残念な書であると思う。

  • 嘘や欺瞞がまかり通っている日本近現代史の諸「通説」に、真っ向勝負を挑んだのが本書である。内容自体は非常に客観的で、説得力に富む。
    ただ書物としての体裁が、著者がこのテーマで近年書いた原稿をまとめたというもので、必然的に重複が多い。また口調が多分に揶揄的で(くり返しを経るうちにやむをえないことであろうが)、全体としてすでに著者のファンになっている人が、シニカルな笑みをともにしながら読むのがふさわしい雰囲気である。
    何度も言うが内容自体はすばらしく、全日本人必読と言いたいようなものなので、著者にはぜひ「一見さん」向きの入門書をお願いしたい。

    2011/8/2~8/3読了

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現代史の虚実―沖縄大江裁判・靖国・慰安婦・南京・フェミニズムの作品紹介

マスコミが醸成し強要する先導的な「歴史解釈」「空気」「同調圧力」に異議あり。

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