ねこぢる大全 上

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 201
感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (800ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163706801

感想・レビュー・書評

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  • 表紙のネコの兄弟の日常?とか、
    作者のエッセイ漫画とか。
    面白いですがとてつもなく残酷です。
    「本当は怖いグリム童話」とか目じゃないです。

    読むとお腹のあたりがキリキリします。
    そこがいいんだと思います。

  • この本を単純に不快だ!ひどい!としか思えない人とはともだちになれないと思う

  • デビュー作で幕を開ける『ねこぢるうどん』から、作者ねこぢるの遺作とも言え、日常の視点を捉えた『ぢるぢる日記』、アニメ作品『ねこぢる劇場』での衝撃作、「かちく」を含む長編三篇が収録された、胃がキリキリし始める鋭作『ねこぢるだんご』、見開き二ページに収まった大量の狂気を堪能できる『ねこぢるせんべい』、その他エッセイで構成された800ページ近いボリュームの『ねこじる大全・上巻』。
    ようやく大全に手を出しました。ほとんど読んだ作品でしたが、何度読んだってその世界に戦慄し、嗜虐心がくすっと笑います。

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    【ねこぢるだんごの感想】

    「イカしたおっさんがあばれてるよ」
    「にゃ?」
    「もう10人ぐらいころしてるよ はやく はやく」
    「にゃー」

    ねこぢる劇場での衝撃話「かちく」が収録されている作品集。ねこぢるの作品の中でも特にクセが強く、残酷で酸鼻極まりない作品が「ねこぢるだんご」には収録されている印象を受ける。「半魚人」「かちく」はさることながら、「のらじじいの巻」「たぬきがりの巻」「けんかの巻」などの差別的でバイオレンスな作品たちが並んで配置されているので、一度に読むのには勇気がいるのかもしれない。が、他の感想にも書いた通り、ねこぢるの作品にはどこか別の温かさがあり、「ねこぢるだんご」も類に漏れない。目をそむけながらも、私達の心を掴んで離さない魅力的な作品たちに出会えた気がする。
    かく言う自分はアニメ「ねこぢる劇場」で本作を知り、またその中でも特に「かちくの巻」の攻め過ぎた表現に圧倒されたのだが、漫画でも「かちく」を読んで、アニメとの内容の違いのなさに驚いた。つまりアニメは原作に準拠するどころかそのままの構成と展開で流されたということになる。改めてねこぢる漫画の凄みと評価がうかがいしれるだろう。

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    【ぢるぢる日記の感想】

    『ねこぢるうどん』や『ねこじるせんべい』等のバイオレンスな日常作品(?)を代表作に持つねこじる本人の体験談が絵日記形式でまとめられた本作。連載が1994年から1998年までであり、最後の日記が「1998ねん4月〇にち」となっているということは、彼女が〇殺する直前の遺作と考えることもできなくない。そのような意味で考えてみても、ねこぢるのキャリアの中で、この作品の占める位置は大きいと思う。単純にシュールで、ウエッてなるけどスカッとするし、自分たちが見落としてしまう日常と皮一枚つながった狂気をきちんと捉えた作品だから、ここまでくると感動さえしてしまう。ちまちまと登場するクスリの話や、テクノにゴアの言及なども興味深く他作との関係も見えて、ねこじるを好む者としては、読んでおいて損はないと思う逸作でした。

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    【ねこぢるせんべいの感想】

    「にゃははは しねしね」
    「にゃー にゃー」

    なんだこれ・・・と、初読は度肝を抜かれたねこぢるの漫画。まだまだ幼いにゃーことにゃっ太のあどけない瞳の前で、実に淡々と行われる差別や殺人の数々。そして実際に殺してしまう何人もの動物や人間達・・・・・・・。どこか不気味な光のない瞳が、バイオレンスな、嗜虐的な瞳であると分かった時、やはり恐ろしさが込み上げるとともに、どこか共感できるような温かさを感じる。改めて、ねこぢるの漫画の凄みに気づかされる。この漫画は、私たち人間が忌避する、それでいて密かに求めるという二極性の本性に呼びかけ、どちらも体験させてくれる稀有な作品だ。様々なものに抑圧されている人間だからこそ、このどこか動物的な、本来の生と死の感覚(今はそれが「倫理観」という言葉で監視されている)について、懐かしく、惹かれるものがあるのではないか。残酷に求める郷愁・・・たしか江戸川乱歩は、そんな評論を書いていた気がする(『残虐への郷愁』)。ねこぢるの漫画は、ある意味万人受けする漫画だと言えるだろう。それにしても、定期的に読みたくなってしまう作品だ。目をそむけながら、顔をしかめながら、そして、懐かしさに微笑みながら・・・・・・・。

    「れいぞうこの巻」「あかしんごうの巻」「がっこうの巻」「ねこざる戦争①~④」「ないぞうの巻」「ガソリンの巻」「スーパーの巻」などは、私たちが直視しない本来の倫理観をいやでもかと見せつけてきたり、懐かしさをかんじる『ズレ』を的確に表現してくれている。
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  • 最高の一言に尽きる

  • 絶対の捕食者

  • はなぢる出るお

  • 淡々とした狂気

  • 内容(「MARC」データベースより)
    可愛いのに残酷、淡々としながらもエキセントリック。夭折した天才漫画家・ねこぢるの全作品を収めた超永久保存版。上には「ねこぢるうどん」「ぢるぢる日記」等のほか、唐沢俊一らの特別寄稿、hydeのインタビューを収録。

  • のうみそが ふっとばされる

  • 「死にたいって言ってる奴ほど、本当は生きたいんだよ。」

    昔、何かの物語で誰かがそんなことを言っていた。
    だけど、この人の作品から感じるのは、もっと違う何か。
    あまりに自然な、死への欲求。諦観みたいなもの。

    一回目に読んだ時、怖くて最後まで読めなかった。
    こんなにピュアで絶望的な瞳を見たのは、はじめてだった。

    この人の作品、「危なかわいい」と言われて一時期ブームになったみたいだけど、そんな簡単に触れちゃいけないと思う。

    彼女には、この世界はどんな風に見えていたのかな。

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ねこぢるの作品

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