がんと闘った科学者の記録

著者 :
制作 : 立花 隆 
  • 文藝春秋
4.23
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本棚登録 : 126
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163709000

作品紹介・あらすじ

ニュートリノ観測でノーベル賞を確実視されていた物理学者が、最期の11ヵ月に綴った病状の観察と死に対する率直な心境。

感想・レビュー・書評

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  • ニュートリノの質量を観察で発見した物理科学者による自身のがん観察のログブック
    科学、人生、自然、仏教等に関する考察

    自分が死に近付いてることを観察する
    科学者としての生き様が格好いい

  • 序文 立花隆
    The First Three-Months
    The Second Three-Months
    The Third Three-Months
    The Fourth Three-Months
    対談「がん宣告『余命十九ヵ月の記録』」戸塚洋二×立花隆
    巻末註
    略年表

  • 8/16 大阪紀伊国特設コーナー

  • ノーベル賞に一番近い日本人といわれた物理学者 戸塚洋二氏の闘病記録をまとめたもの。闘病記録は、本人がブログで発表していたもので、世界の頂点に立つ科学者らしくデータや治療薬名と投薬量、副作用の状況に至るまで、詳細な記録が示されている。また、著者のすごいところは、自分の専門と癌のことだけではなく、草木のこと、仏教のことなど他分野に関しても学者級の知識を持っていることだ。優秀な科学者の探求心、好奇心の高さに感嘆させられた。立花隆氏の視点から、とてもよくまとめられた良書である。

  • いつか人は死ぬ。どんな死に方をするのか、死を目前にして私はどうするのか。死が間近になっていく年齢になって、こういう本ばかり読んでいる。

  • 遺書代わりのブログ
    科学者でも量子物理学の摩訶不思議な現象を腹の底から理解しているわけではないのか。。

    おもしろかった。。

  •  がんで残された命の期間が限られた人は数多いだろうが、それを冷静にとらえて文章化することは難しいと思う。
     がんに侵された科学者の「ブログ」をまとめた本書を読んで、これは「一つの知性のありかた」と感嘆した。
     もちろん、文章の専門家ではないから、構成がうまいわけではないし、医療データの数値化にしても部外者には興味を持てないかもしれない。
     しかし、この著者の「死生感」は見事の一言である。
     「わたしにとって、早い死といっても、健常者と比べて10年から20年の差ではないか。みなと一緒だ、恐れるほどのことはない」。
     これは、我がものとして、ぜひ見習いたいものであると思えた。

  • 物理学者が自分のがんを客観的に分析しながらがん医療への考え(主に愚痴)や日々の生活を記したもの。
    実はこの人が亡くなってしまって、ニュートリノ質量発見に関するノーベル賞を誰にあげればよいのか分からなくなってしまったというぐらいすごい方。
    面白いのは物理学者の視点で書かれているということ。
    表紙の絵は戸塚さんの頭に浮かんだ幻覚のスケッチ。本人いわく、葉っぱのお化けか。
    他にも、抗がん剤が腫瘍マーカーの時間変化に及ぼす影響を片対数グラフにして紹介したりしている。

    最初はそんな珍しい記録に対する好奇心から読み始めたけれど、読み進めるうちに世界第一線の物理学者が世の中とどう接していて、世界情勢にどういった意見をもっているのかがじかに伝わってきて、同じ物理の道を進むものとしてとても参考になりました。
    とくに、医療分野への物理の応用の話や日本のエネルギー安全保障の話など。自分でも少し勉強しようと思いました。

    それから、戸塚さんは静岡の方だったんですね。
    静岡を訪れた時の記録も割と詳しく書かれていてうれしくなりました。

    この本に収められなかった科学の話は『戸塚教授の「科学入門」』となって出版されているのでそちらも読んでみたいと思います。

  • 医者はデータと数字に弱い、という実験物理学者ならではの愚痴が面白かった。医師は一人一人違うから、とビッグデータにあまり目を向けないように見えるらしい。
    編者の立花隆は戸塚氏を評して「淡々と死を受け入れているように見える」と述べているが、私には「自分にはこれしかない」というやり方で恐怖と戦っているように見えた。

  • ノーベル賞も固いと言われた科学者が大腸がんになり、再発して、最後は死んでしまうがその記録を冷静にブログにつけていた。
    交友のあった立花隆が編集して出版。
    自分の死のもとであるガンの変化を冷静に分析し、死と向かい合い、医療について科学者として提言し、植物に心慰められる姿がアリアリと見えてくる。物凄い精神力。



    本などに没頭していると、限られた有限の時間を無限のように感じるのです。
    我々のような実験物理学者だったら、CT写真だけで一週間は楽しめるのに(笑)
    医師というのは、意外なことに、数値を使わない。
    抗がん剤はある程度使うと効かなくなるが、やめる決断を下す時のしっかりした判断基準がほしい。
    おお酒を飲んだのがガンになった理由。
    ガンのデータベースかがぜひ必要。
    ガン手術五年後から全身検査をして欲しかった。
    感情を抑えることが、これまで科学者として努力してきたことを発揮する修行。
    いずれは万物も死に絶える、早い死と言っても健常者と比べて十年、二十年違うだけ。
    正岡子規「悟りといふことは如何なる場合にも平気で生きていることであった。」
    仏教の世界観は多宇宙論に近い。
    エピクロス「人は死を恐れる必要が全くない。あなたが死と会うことは永遠にない」

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