- Amazon.co.jp ・本 (257ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163710709
感想・レビュー・書評
-
元裁判官が光市母子殺害事件について書いた本。一審から最高裁の差し戻し判決まで、判決の読み方がよくわかります。
ただし、現役の裁判官の判決文に対して「蛇足だ」「違法だ」と言っているところもあるので、裁判官も一筋縄じゃないというのがよーくわかります。「一説には」であることを承知で読みましたが、それでも、『さもあろうなあ』と思うこと大でした。
遺族である本村洋さんらの訴えが法を変え(平成19年6月の「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法の一部を改正する法律」)、裁判所を変え(相場主義の克服)たということもはっきり書いています。相場主義判例踏襲がはびこっていたことを認めたこと、永山基準は判例ですらないと喝破したことは、本書の白眉であると思います。
しかし、『冗談ですが、今後にこうした「木村基準」というか「F基準」が「中山基準」にとって代わるかもしれません』という文言は頂けません。ここで冗談を言うべきではない、この事件のために泣いている人がいる今、「冗談ですが」とわざわざ断って冗談をいうのは、不謹慎の誹りを免れないと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
冒頭から私にはすごく読みにくかったけど、検死の担当が最近読んだ上野正彦だと分かったり、後に読んだアフターザクライムにもこちらの事件ののことが直接的、間接的に出ていたので、前後に読んだ本と関わり合って助かった。
元々この事件の報道をリアルタイムで見た時は、やはり木村さんが会見で発言されてる姿が記憶に残ってたけど、事件後の最初の報道では規模が小さかったとかもちろん知らなかったし、裁判で被害者の立場がこんなに小さいなんて考えも及ばなかった。アフターザクライムの中でもそういうことが触れられていたけど、木村さんの声があって変わった点については触れられていなかった。
本題。裁判での主文やら判決文の解説もさすが元裁判官だけあってわかりやすい、いやわかりやすいというかなんというか人が人に話している言葉に翻訳してもらえてるって感じ。
永山判決は何度も出てきたけど、これも年明け?に読んだ本があったのでよかった。
逆に言うと前後にこういう本を読んでなかったらこぼれ落ちたものが多そう。今でも落としてきたもの沢山あると思うし。ただ再読するかは不明。関連書籍的に最初に並べられていた本には興味あるけど。今まで犯罪関係では心理とかそういうのばっなり読んでたので、司法の面から書かれた本を読めてよかった。他にも探したい。