ひとり語り―女優というものは

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著者 : 吉行和子
  • 文藝春秋 (2010年5月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163725604

ひとり語り―女優というものはの感想・レビュー・書評

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  • 月刊誌PHPで著者の文章を読み、淡々とした中に力強さがある語り口に惹かれてこの本を読んでみた。自伝の体裁なので、どうしても感情が入りすぎて乱れたところもあるが、かえってそれが素直な表現に感じられてよかった。

  • この人の本は何冊か読んでいる。
    好きなエッセイスト。
    素敵な女優さんでありながらエッセイも素晴らしい。
    のんびりした雰囲気の女優さんだが、強い情熱を持ち続けている。
    のびのびと書かれた文章にもその時々の作者のひたむきな生き方が
    あらわれていていつもながら読み終わった後の後味がよい。

  •  最後の舞台出演として『アプサンス ある不在』が上演されたり、そして1978年製作の出演ドラマ『密約 外務省機密漏洩事件』が劇場用映画としてリバイバル公開されたりと、ホットな話題が続いた今年の吉行和子であるが、こんどは自伝本『ひとり語り──女優というものは』(文藝春秋)が刊行された。

     強度のぜんそくと貧血症のため、学校(女子学院)の授業にはほとんど出席できず、空想の中で遊ぶことを唯一の悦楽とした少女期。衣裳係を志して入団したはずが、心ならずも女優として抜擢されてしまう劇団民藝での日々。さらに、映画女優としての飛躍、アングラ演劇への進出など、いろいろと書かれていて、どの章も興味津々で読み終えた。もちろん、代表作『愛の亡霊』(1978)についても、カンヌ滞在記を中心に多くの紙数を割いて回顧しているし、母・あぐり、父・エイスケ、そして2人の芥川賞作家である兄・淳之介、妹・理恵についての記述も、これほど楽しいものはない。
     本書を読むと、この人は自分のことをどうやら、融通の利くワガママ者、というような感覚でとらえているように感じる。ワガママではあるが、つまらない頑固者ではなく、聞き分けがあり可愛らしいワガママ者。だからこそ、あのような独自の女優キャリアを築けたのであろう。彼女が見せる最初のワガママというのは、早稲田小劇場の舞台に上がりたくなって、民藝を辞めたことである。リーダーの宇野重吉が彼女の退団をミーティングで発表したときの、北林谷栄(先日お亡くなりになった)の苦虫を噛み潰したような反応もおもしろい。
     同じ時期に、岸田今日子などの大量離脱にさらされた文学座の杉村春子が、走って、民藝の宇野重吉のところまで泣きつきに来た、というエピソードも語られている。信濃町から麻布まで泣きじゃくりながら走る杉村春子、という図を想像すると、なにやらものすごいイメージだ。距離的にはありうるので、よけいに恐い。

     『黄金の馬車』やら『残菊物語』やらを見ると、役者は、舞台上で演じる生と実生活での幸福を両立させることができない生き物として描かれている。本書のタイトルである『ひとり語り』というのは、大間知靖子という同志的な演出家を得た彼女が、一人芝居を得意のレパートリーとしていたことばかりでなく、病弱な女が、女優としてもひとりの生活者としても孤独な戦線を戦い抜いてきたことを暗示している。失礼ながら、本書において、一流でありつつもユニークさも失わないみずからの半生を活写する彼女の筆致には、こうした〈馬車〉や〈残菊〉が充ち満ちているように思えてしまう。(拙ブログより転載す http://blog.goo.ne.jp/oginoyoichi/

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吉行和子の作品

ひとり語り―女優というものははこんな本です

ひとり語り―女優というものはの作品紹介

私は五十年以上も女優という職業に就いている。まさか-?「アンネの日記」から「アプサンス〜ある不在〜」まで波乱万丈な女優人生。芝居よりも面白い。

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