風をつかまえた少年

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制作 : 池上 彰(解説)  田口 俊樹 
  • 文藝春秋 (2010年11月19日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163730806

風をつかまえた少年の感想・レビュー・書評

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  • これほどワクワクしながら本を読んだのは本当に久しぶりだった。

    本のタイトルは「風をつかまえた少年」。14才にして独力で風力発電を作った少年,ウィリアム・カムクワンバのドキュメンタリーである。

    彼が住むアフリカ,マラウィの村カスングでは,2000年に大きな旱魃と飢饉にみまわれる。もともと豊かとはいえないこの地域では多くの人が職を失い,飢餓や伝染病により多くの死者がでるなど,重層的な困難に直面していた。

    このような状況の中,中学を辞めざるを得なかったカムクワンバが思いついたのは「風車」をつくることだった。

    風車で電気を起こせば夜でも本を読んだり,働いたりすることができる。電気で水をくみ上げることができれば,女の人たちは毎日の水汲みから解放され,畑にも水をまくことができる。風車と揚水ポンプがあれば多くの作物を栽培でき,飢餓から解放される・・・。

    そして何より,もともと科学者志望だったカムクワンバは何かをつくるのが楽しくてたまらないのだ。

    自分が卒業した小学校の図書室に通いつめ,自分が経験的に知っていた知識を体系的に理解した時の喜び。理解した知識をもとに実際に装置を作り,上手くいった時の楽しさ。「創造する」喜びがあふれていて,読んでいるうちにこちらもニヤニヤしてしまう。

    周りになんでも揃っている私たちには思いもよらない方法で,彼はあらゆるものを作り出す。風車を作るための道具,ドライバーやナイフまで手作りなのだから!

    この風車が話題になり,中央の役員の目に止まり,新聞に取り上げられ,数人のブロガーに取り上げられて,「TED(テクノロジー・エンターテイメント・アンド・デザイン)グローバル2007」という国際会議に出席することになる。ここに至る状況の変化は劇的で「これからどうなるんだろう?」という彼のワクワク感が,読んでいる方にも乗り移る。

    彼が素晴らしいのは,何かを作りたい,という動機が自分の利益のためではないからだ。中央の役員の目に止まるきっかけになったのは,小学校で科学クラブを始めたことだが,ここでも彼は,「自分の風車を見て子供たちが何かをつくってみようという刺激になれば」と考えている。

    この本をぜひ,大学生に読んで欲しい。ものづくりを目指す学生に。

    私はキカイ系がさっぱりわからないので,彼が完成させた「風車」の素晴らしさを充分に理解できていないかも知れない。ガラクタの寄せ集めで「風車」をつくることがどれほどすごいことか,実感できるのは機械系の学生?それとも電気系?

    また,世界のことを広く知りたい,と思う学生にも読んで欲しい。

    アフリカが直面する食糧問題,エイズの問題,環境問題などがカムクワンバの目を通して語られていて,これらがどれほど彼らにとって切実な問題かが実感できる。

    そして,このような苦しみの中だからこそ,カムクワンバが成し遂げたことは希望につながる。

    カムクワンバは困難な状況でも夢を失わない。まえへ進みつづけようとがんばっている人たちを励まさなくてはいけない,と彼はいう。絶望的な状況にくじけそうになっている仲間にこの物語が届いてくれれば,と。

    震災,原発と多くの問題を抱える今の私たちにとっても大きな勇気となるだろう。

    私たちが本当に世界を理解し,新しい世界を創造するためには,断片となって伝わる情報ではなく,物語が必要だ。

    そしてこの本は,喜びと希望に満ちた物語である。


    http://opac.lib.tokushima-u.ac.jp/mylimedio/search/search.do?materialid=210005182

  • マラウイで14歳の時に風車を作った少年。トウモロコシ農家で育ったが、半年間通常の食料が食べられないような冷害による飢饉に見舞われ、学校にも行けない。何とか自力で勉強しようとして図書室に通う。そこで見つけた「エネルギーの利用」という本から彼が試行錯誤して風力発電装置を廃品から自力で作るまで。
    本の半分くらいまでは生い立ちと飢饉のひどい状況が語られるが、後半の試行錯誤の軌跡は感動的だった。
    最後にはTEDに出席したり、新聞やラジオなどのマスコミに登場したりと世に出るのだが、それでも魔術を法律で取り締まるべきだと述べていたり、未開発な知性がそのままで面白い。

    物理的な難しい話はほぼ出てこないので、大丈夫。直流(電池みたいに一定に電気が流れ続ける)と交流(ダイナモみたいにパルスで電気が流れる)の違いを知らなかったので、勉強になった。

  • アフリカの最も貧しい国のひとつ、マラウィを襲った食糧危機。十四歳の少年、ウィリアムは学費が払えず学校に行けなくなりました。しかし、勉強をしたいウィリアムは学校の図書室に通います。そこで出会った1冊の本『エネルギーの利用』が彼の人生を大きく変えることに…風車が電気を作ることを知ったウィリアムはゴミ捨て場の廃品を集め風力発電をつくります。

    学校図書館で出合った本が人生を大きく変えるのですよ!!私たち、まさにその最前線にいるのですね。(kei)

  • 2001年に起きた大飢饉について多くのページが割かれています。読んでいるだけでも辛くて、重苦しい気持ちになりました。
    しかし、風力発電とは直接関係のないようにみえるこの記載が、マラウィの一般市民の置かれた状況を遠く離れた私たちに伝え、教育の重要性を痛感させてくれる重要な役割を果たしていると感じました。
    カムクワンバ少年は1000クワチャの授業料を支払えずに中等学校を退学になります。訳者あとがきに「1クワチャは現在の為替レートで六十銭弱」との記載がありました。たった600円程度(日本だったらランチでも安い部類に入るでしょう)のお金が支払えずに教育を受けられない現状が今現在もあるということに愕然としました。

  • 図書館で。
    こういうのを読むと物が無いってのは反対に創意工夫に富んだ応用が考えだせる良いチャンスなんだなぁって思います。まあとはいえガジェットとか材料はそれはそれ、必要なんだと思うけど。

    アフリカの主食もコーンなのか。なんとなくトウモロコシって南米原産ってイメージがあったんですがアフリカにもあったのかな。トウモロコシ、すごい。
    トウモロコシの主食を食べないと食事を食べた気がしないってのは日本人がコメを食べないとダメってのと似てるのかな。ちょっと面白い。そして飢饉は恐ろしい。日本なんて自給率がめっちゃ低いから本当に怖いよなぁと読みながら思いました。

  • りろ

  • 読み始めはいつ題名のことに繋がるのか、全くわからなかった。
    読書の大切さが伝わる1冊。
    子供にもすすめたい。

  • アフリカの少年が一人で風力発電を作った話。
    私は名前も知らなかった「マラウイ」という国の少年。
    毎年の収穫によって食を維持し、飢饉が起これば餓死の危険にさらされる生活の中、中学校も行けず、図書館の数冊の本だけで、廃品置き場のものを再利用して風力発電を作り上げた少年の姿には感動を覚えた。

    何でもまわりにあり、勉強するにしても本だけでなくインターネットなどでも自由に情報を手に入れることができるのにもかかわらず、まともに勉強もできていない自分と比較してはずかしくなってしまう。

    本屋にやまのようにある自己啓発本より数倍も自分をやる気にさせてくれる。
    「トライして、やり遂げました」はずっと心に残ることばになるであろう。

  • 佐々木のおすすめです。

    斉藤先生の授業で紹介された「風をつかまえた少年」です。
    TEDのスピーチだけではわからなかった彼の背景や思いが丁寧につづられています。そうか,その思いがあるからあのTEDのスピーチが感動を呼ぶのだな,ということがよくわかります。
    池上彰さんの後書きも面白い。
    なんせ,読んでいるとわくわくします。「事実は小説より奇なり」を地でいく物語。

  • まず、アフリカの小国マラウイのカムクワンバ少年の生い立ちが面白い。携帯電話なども存在する一方で魔術がいまだに存在する世界。不作のせいで餓死の危険が迫る日々。停電はしょっちゅうとはいえ、ほとんどの家庭に電気は通っておらず、学費が支払えず中学校に通えなくなった彼は、貧困のサイクルを抜け出すためには確実に収穫できる農業環境と、それによって得られる安定した生活基盤が必要であることを痛感する。そして一冊の本との出会い。無から生み出す想像力。すごいなと思う。
    日本でも貧困による教育格差が目立ってきている。機会が与えられないままに埋もれたままになった力があるとしたら、それこそ国家の損失であると思う。

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風をつかまえた少年の作品紹介

アフリカの最貧国、マラウイを襲った食糧危機。食べていくために、学費が払えず、著者は中学校に行けなくなった。勉強をしたい。本が読みたい。NPOがつくった図書室に通うぼくが出会った一冊の本。『風力発電』。風車があれば、電気をつくれる。暗闇と空腹から解放される。-そしてマラウイでは、風は神様が与えてくれる数少ないもののひとつだ。

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