夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163731001

作品紹介・あらすじ

村上春樹が語る村上春樹の世界。日本と海外メディアからのインタビュー18本を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 1Q84 Book1~3の2回の読了後、楽しみに読みだしたはずが、村上ワールド一色はムリと感じ約5年もたってやっと今、読了。(その間に色彩のない-や女のいない-は読んだが)
    これを読んで、今までの長編小説をもう一回読もうと思った。
    村上氏の話す事柄は人として生きるための良き心の在り方の指針となるように思う。村上氏は執着のないクールで、どろどろしたものから遠い、感情的にならない都会の人という印象があるが、違うみたい。 村上氏の言葉に感激しながら読んだ。

    「健全な肉体に不健全な魂」というのには深く共感。わたしも芸術家は身体的に健康であってほしいと願う。ニコチン中毒の作品に触れるのはノーサンキューと常々思っているので、

    目覚めながら夢を見ているっていうのは、村上氏は書いている内に知らず、瞑想してるんだなと思う。

  • インタビューって、
    ご本人の文章とはまた違う面白さがあって
    すごくいい!

    村上さんがどれほど言葉や小説を愛し、
    大切に思っているかということが
    リアルな言葉でひしひしと伝わってきて、
    しかもそれが、まだかなり最近のインタビュー
    なだけに新鮮で、ギュッとおいしかった。

    個人的には、村上さんのオフィスで、
    「女性アシスタントが、
     ストッキングをはいた優美な脚で、
     音も立てずに謎めいた行き来をしていた」
    なんてくだりも楽しみながら読みました。
    最高です。フフフ。

  • ご自身の著作の話、創作の技法や心構えなどから、著者自身はちょっと本意ではないようなのですが、著作の内容に関する質問への答えなども収録されています。また、数多くの翻訳の中から、とくにレイモンド・カーヴァーに関する内容のものが一つの章を割いてありますし、そのほかにも言及があります。村上春樹さんは、非リアリズムの作家でありますが、『ノルウェイの森』では唯一リアリズムの手法を試して成功させ、その技法に自信を持ち、たぶんに、その経験をも、その後の非リアリズムの作品に活かしているのではないだろうかと思います。彼が翻訳を手掛け、敬愛もしているレイモンド・カーヴァーはリアリズムの作家だとされているし、古い小説家のフィッツジェラルドもその手に分類される作家のようですし、村上さんと同じように分類されるマジックリアリズムの作家にはあまり興味を持っていないようなんです。自分にないもの、自分と違うタイプのものを好む傾向は、きっとそこから学べるものが大きいからなのかもしれないですね。「井戸」だとか「地下室」だとかという比喩を用いながら、彼の作りだす不思議な物語、世界、キャラクター、ストーリーの流れなどを説明しています。そして、その説明の言葉そのものがもはや読み物と化していて、読み手はぐぅっと惹きつけられながら、まるで村上春樹という小説家を主人公とした物語の断片を読んでいるような気にすらさせられました。

  • 創造とはどのようなことか、創造のプロセスはどのようなものか、創造の秘訣などについて、文献から学んでください。特に、物語をつくるときに、先が見えないなかで時間展開を追いながら書いて/描いていくという「つくり方」について意識的に読んでみてください。

  • 村上春樹の解説本は絶対読まない(過去に何度か読んで後悔したから)が、これはインタビュー集なので読んだ。
    最初に読んだ小説が何だったか全く覚えていないが、かなり初期の小説が書かれた時代のインタビューもあり、なかなか懐かしかった。
    自分の読書史を辿っているような感覚があった。
    年齢的にも近いものがあるせいか、「思えば遠くへ来た」ものである。
    考えてみれば、ストーカー的に、氏の作品は「そうだ村上さんに〜」シリーズも含めみんな読んでるようだ。
    ノーベル文学賞を取れなくて、残念だったけどちょっとホッとした。何でかな?まだまだ、先は長いぞ、と思いたいからかも知れない。

  • インタビューの困った点のひとつは、しょっちゅう同じ質問をされることである。人が興味を持つポイントはだいたい決まっているものだから、それはまあ仕方ないといえば仕方ない。それに対してこちらがそのたびに、目先を変えたカラフルな回答をできればいいのだろうが、普通の人間にはそんな器用な真似はなかなかできない。僕はそういう面ではただでさえ器用な方ではないし、僕の考えていることはもとよりひとつしかないのだから、洋服を着替えるように、あるいは壁の色を塗り替えるように、次々に回答を取り替えるわけにはいかない。だからいくらか表現に変化を持たせたとしても、同じ質問にはだいたい同じような回答が返されることになる。

  • 2014年49冊目。(再読)

    村上春樹のインタビュー集(1997〜2009)。
    再読だけどやはり面白過ぎる。
    作品も面白いけど、その創造過程やそれに対する哲学が、
    創造的な活動をする人なら本当に楽しく読めると思う。
    文庫版が出ていて、「〜2011」になっていたので、
    今回再読するならこっちを買っておけば良かったと後悔している(笑)
    とにかくこの本は心からおすすめ。
    ====================
    2012年40冊目。(2012年6月24日)

    すさまじく面白かった。
    著者の小説は「海辺のカフカ」しか読んだことはないけど、
    読み終わった後のあの独特な「未回収感」の正体が分かった気がする。

    自ら井戸の底の暗闇まで降りて行って、危険なその闇を描写するけど、
    あくまで解釈は読者に委ねるスタンス。
    その「未完成性」「空白感」が読者を前のめりにさせるんだと思う。
    優れた芸術作品に共通することは、そのようなある種の読者・見学者への信頼だと感じる。
    (久石譲さんも、「説明過剰な音楽にならないこと」を意識されていた。)

    それと、著者本人も書いている時はストーリー展開が分かっていないというのは面白い。
    パッと浮かんだワンシーンやフレーズから、「この先どうなっていくんだろう」と読者と同じ感覚で筆を進めていく。
    考え込まれた余計な解釈が入らない要因は、そこにもあるのだろうと思う。

    マイペースかつストイックな仕事や人生へのスタンスもとても魅力的だった。
    自分自身も周りのペースに合わせるのを苦に感じる人(最近気づいた)だから、
    自分の力が一番発揮される「自分らしいペース」を大切にしたい。

    著者の作品全部読みたくなったし、この本もまた読み返すな~

  • インタビューとかエッセイとかそういった小説作品以外で読んだはじめての作品。物語の役割について丁寧に語っているのが印象的だった。twitterやらでついつい共有したいしたい病に陥っている気がする昨今(これ書いてること自体がそうだけど)そういった細切れの時間を生きるのも大事だけど、もっと深く深く自分の中や物語の中に入っていく時間を持つことの大切さを教えられた。ときには井戸の中に入りましょう。

  • 批評家の方のレビューを読んだりすると、「うわぁ、そういう見方があったのか」と驚かされたり、よく自分の思考の浅はかさに落胆したりしてしまう。

    でもこの村上春樹のインタビュー集は、「あ、やっぱり単純に面白がったり、謎を謎のまま捉えてしまってもいいんだな」と不思議な自信を与えてくれた。

    これでまた小説を楽しく読めそうだ。

    また、小説家として、一人の人間としての社会に対する責任感は、いろんな意味でこの人を支える一つの柱なのかも知れないとも思った。

    インタビュー集という性質上、何回か同じような質問に答えていたりするのだが、そこはご愛嬌。

  • 村上春樹のインタビュー集。

    タイトルの「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」という言葉に、村上春樹の小説家人生の全てが詰まっている。彼は物語というものを心の底から愛している。人生の全てを創作活動に捧げており、その姿はあたかも聖人のようだ(彼は間違いなく否定するだろうが)。そして、多くの人の心を揺さぶろうと、心の奥底に深く沈みこみ、丹念に、長い時間をかけて文章をつむいでいくのだ。そのあまりに誠実な生き方が、世界中で愛される作品を生みだすのだと、この作品を通じてよく分かる。

    こんなにつまらない自分でも、心の声に従って素直に生きていこうと、そう思える素晴らしい一冊。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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