- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163736501
感想・レビュー・書評
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本書は一人の男を主人公にし、政官業「癒着」の核心や“政治とカネ”のリアルを描いたアングラノンフィクションであります。現在の事象に至る『萌芽』が書かれており、「オトナの世界」を垣間見ることが出来ます。
この本は『平成の政商』といわれた水谷功を中心とした『政治とカネ』の問題をいぶりだしたノンフィクションであると捕らえております。描かれているのは建設会社を舞台にした政・財・官の癒着の構図で小沢一郎やその秘書をしていた石川智裕氏や亀井静香議員までが勢ぞろいし、ドロドロとしたやり取りが繰り広げられております。
小沢・石川両氏は僕なんぞが是非を論じる人間ではないのは重々承知ではありますが、彼らの持っている絶大な権力を利用して事業を拡大したり、現在、もっともホットな話題である原発を建設したりする話なども盛り込まれていて、『日本の裏』というものが描かれている、という意味で一読をされてはいかがでしょうか?
僕はこの作品に書かれている裏事情などというものはほとんどわかっていなかったので、「オトナの世界」というものの一端を覗かせてくれた本書には本当に感謝しておりますし、この構図がいわば『日本の縮図』ではなかろうかと思ってもおります。かなりアングラな話なので、賛否両論は分かれるかとは思いますが、今に続く問題の『萌芽』があぶりだされている作品であると、個人的にはそう思っております。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
江戸の政商河村瑞賢、昭和の政商出光佐三がポジティブなイメージで語られる一方、平成の政商は、という話。
小沢一郎氏の陸山会事件にも関わる水谷建設、水谷功を追ったルポ。巨大国家プロジェクトにまつわる談合、重機を使った裏金作りのカラクリとその流通ルート、真偽はさておき少なくともありえそうな可能性の話として、なるほどなあという点も多い。
裏金の流通の中で美味しい思いをした人もいるだろうし、下請業者という立場の弱さから付き合わされて対して美味しくもない割りに逮捕されたりとかいう人もいるのだろう。怖い怖い。 -
ゼネコンではなくその下の会社をサブコンというらしいのだがそういった人たちの談合や入札に対する手法を赤裸々に綴った本。いや面白いですねえ。その是非はともかくとりあえず皆が食える仕組みを作るという点では談合にもメリットあるんだよね。値段の叩き合いやって共倒れみたいなことやってるよりよっぽどいいかなと。
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現代日本という「システム」を水谷建設の社長、水谷功氏を通して知れる本。
3.11以降は特に色々考えさせられる本で、日本の談合の歴史がわかる。 -
2011/7/1:読了
談合は人が作り上げたシステムなんだなぁという感想 -
裏金が付いて回るゼネコンの世界。その世界を泳ぎまわった水谷建設の社長、水谷功氏。ノンフィクションライターとして労作を連発する森功氏の新著です。
本書には元福島県知事で収賄で有罪となった佐藤栄佐久氏や小沢一郎氏も登場します。
実際に読んでいただいた方がいいと思いますので内容は詳しく書きません。 -
水谷功が裏金王として暗躍してきた過程とそこにからむ、さまざまな人物、その中にはこれまでマスコミを騒がせてきた多くの人物の名がある。小沢一派、二階、野中といった国会議員の他にレインボーの小坂など・・・。これまでそれぞれの政界事件がバラバラに散在していたものが、水谷という触媒を介することで全て一つのライン上に並んでくる。こうした内容が事実であるなら、特捜部があれだけの執念を込めて小沢事件を追及したのは当然であろうと思われる。それは小沢1人の首を取るだけではなく、戦前から日本の暗黒底にうごめく「水谷」によって動かされてきた日本の裏社会構造を根底から覆そうとしていたことになるからである。そう考えればあの特捜部の証拠改ざん事件すら、一体どのような者達が関与しているのか?それは単なる功をあせった特捜検事の勇み足とみなしてよいのか?さまざまな疑問を読者に投げかけざるであろう。後、できれば水谷功および水谷建設の先代家族の生活史等についても知りたいと思う