向田邦子の陽射し

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 187
感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163743509

作品紹介・あらすじ

太田光が選んだベストエッセイ・小説・シナリオの名シーンの原文を掲載。没後三十年向田ワールドの最強の向田論、最高の入門書。

感想・レビュー・書評

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  • 「大根の月」がこわくて、長いこと再読出来なかった。いい機会なので、思い切って再読した。
    12ページを読んで、なるほどと思う。こわいだけじゃないんだな。

    向田邦子全集の月報に掲載された文章などをまとめ、また太田光の薦めるベストも収める。
    初めて向田邦子を読む人でも彼女の仕事の全体がわかるし、ファンにとってもこの太田光の”読み”は、確認と再発見があるのではないか。

    「かわうそ」をベストにあげているが、私は「かわうそ」もこわい。

    近頃のTVドラマを私はめったに見ないが、たまになんの拍子が目にすると、そのセリフの饒舌さに驚かされる。
    登場人物たちが、何もかも語ってしまう。語ることが感情の表現だと考えているようだ。
    向田邦子の作品、人物たちとは対象的である。

    女性が、姉に電話をしている。ハナシがあるの、と言いながら、曇った窓ガラスに「父」という字を書く。
    ただこれだけの。これだけでつかむ。
    …こういうドラマが見たいな、と思う。
    太田光は、もう向田ドラマ以上のものは出てこないのでは、と言う。

    また集中して読み直したいな、と思った。

    • 抽斗さん
      私も、ドラマを見ていて「主人公、自分の気持ちわかりすぎていないか?」と思うことが多いような気がします。
      そして、登場人物たちが言っているこ...
      私も、ドラマを見ていて「主人公、自分の気持ちわかりすぎていないか?」と思うことが多いような気がします。
      そして、登場人物たちが言っていることが全部本当の気持ちなら、そんな単純なことはないなぁ、と思ったりもします。

      アヴォカドさんの「大根の月」がこわくて~、という言葉を見た瞬間、自分が「大根の月」を読んだときの怖さを鮮明に思い出して、ああ、読んだ当時は自分が話を読みきれていないような気がしたけど、やっぱり感覚が「残ってる」んだなぁ、やっぱり向田邦子ってすごいんだなぁ、と思いました。
      2012/01/15
    • アヴォカドさん
      そうなんです。年々、向田さんの「すごさ」が身にしみてまいります。。。

      向田さんが活躍されていた頃は、他のホームドラマとは、どこか違うなあと...
      そうなんです。年々、向田さんの「すごさ」が身にしみてまいります。。。

      向田さんが活躍されていた頃は、他のホームドラマとは、どこか違うなあと思いながらも、どこがどう違うのか、よくわかりませんでした。

      幸福で暖かなだけでない、ホームドラマ。
      昨今の「癒し」とか「ほっこり」とは対極にあるような気がします。
      2012/01/15


  • 文藝春秋
    太田光 「 向田邦子 の陽射し 」

    向田邦子愛が強すぎる気もするが、テレビの世界にいる著者だからこそ語れる向田邦子論。なるほどと思う指摘が多い。良書だと思う


    なるほどと思う指摘①
    「向田邦子は、夫婦や家族でも共有できない幸福の中に 人間ドラマを見出している」という指摘〜夏目漱石の影響では?


    なるほどと思う指摘②
    「向田邦子の生き方は、自分を殺して、言いたいことを言わない」という指摘〜それを突破したのがエッセイ「夜中の薔薇〜寺内貫太郎の母、手袋をさがす」だったのではないだろうか?


    なるほどと思う指摘③
    「向田邦子は、自分以外の何かに愛情を注ぐことを生きる根拠としている」という指摘


    著者が選ぶベスト10は読んでみようと思う
    小説
    *かわうそ
    *三枚肉
    *男眉
    *大根の月
    *あ・うん

    エッセイ
    *ごはん
    *水羊羹
    *なんだ・こりゃ
    *鉛筆
    *マスク


    「自己表現とは、自分を表すことではなく、自分を消すことである〜本当の自由とは、自由と決別する覚悟をすること〜その覚悟が相手を守り、自分を守る」

    「花の美しさは、花にまかせる〜そこに自分を入れなくても、それでも好きだという覚悟〜向田邦子にとっては覚悟でもなんでもなく、花が好きだから自分を消せる」























  •  昭和56年8月22日、航空機事故で向田邦子さんが亡くなりました。存命だと93歳になられます。向田作品を読み、向田邦子さんに親近感を抱き続けている私です。太田光「向田邦子の陽射し」、2011.8発行。よく分析されてるなと感じ入りました。向田邦子さんは「沈黙」の作家。必ず、重要な部分で沈黙する。一番言いたいことを言わないこと、それは自分を殺すことである。その覚悟は恐ろしいほど。それが、向田さんの生き方であり、誇り!

  • 叫んでいるだけの芸人かと思っていたが、感受性に富み確かな文筆力を持っている。

  • 岩田書店さん推薦

    太田さんが向田さんに影響をうけていることがよくわかった。
    太田さん独自の感性と切り口で、向田さんを分析している、つまりはとても尊敬していて何冊も愛情をかけて読んだ、見たのだな~と思いました。

    言葉に情熱があるため、こちらにかかれていた作品を解説を読みながら、読みたいと思いました。

  • 図書館で借りた本

    太田さんが、向田邦子が好きなのはとてもよく分かった。
    推しているところも、私が印象に残っている箇所と随分重なっていたし。

    でも伝えたいであろうことが、どうも自分の中に入って来ない。
    この本、しゃべり過ぎなのかな。
    作品前の解説だけで、私は充分。

  • 読んでいたら自分の本箱ひっくり返して向田さんのエッセイをまた読み返したくなってきた。
    太田さんの向田さんへの敬愛があふれまくってる1冊。

  • 向田さんの原作の映画、『あ・うん』、『阿修羅のごとく』を
    見たことがあるだけ。
    そんな向田作品入門者の僕にとって、

    爆笑問題の太田光さんの著書
    『向田邦子の陽射し』出版:文藝春秋 は向田邦子作品の魅力を
    幅広く味わえる魅力ある贅沢な本でした。

    この本の内容は太田さんが向田作品のどういったところが好きで、凄いのか
    が書かれ、
    向田さんの妹・和子さんとの対談や、
    そして何より太田さんの選んだ向田さんの作品が
    小説、エッセイ、シナリオと幅広く収められています。

    中でも短編小説の『大根の月』、
    この小説のつながり方と最後の描写が印象に残りました。

    『向田邦子の陽射し』、素敵な本です☆

  • 向田邦子のようにオトコギのあるオンナに惚れる。
    なかなかできない。
    太田光の男としてのふところは広い。

  • 向田邦子さんのエッセイや短編小説、脚本を
    太田光独特の感性で読み解き、それぞれベスト10を紹介、採録したもの。
    著者自身も大変な読書家で、しかも小説や文章を書いているが、
    向田さんの影響を大きく受けているらしい。
    私も向田さんの書かれたものをよく読んでいて、
    登場人物のイキイキとした表情が浮かび、とっても辛辣で凄みがあるのに、
    なぜか人物が滑稽で生活臭漂う内容がとても好きだけど、
    愛情を持って読み込んだ著者に寄るとても詳しい解説があって読むと、
    また違う角度で読め、全然違った読み物になった。
    ずいぶん前、向田邦子役を山口智子さんが演じたドラマ
    『向田邦子の恋文』(向田邦子さんの妹さんが書かれた作品)を観て、
    知らなかった向田さんの人生、美意識や葛藤を垣間見た。
    今年の始めには、山口智子さんから見た向田邦子が記した家族と、
    ご自身の家族について語った『向田邦子が教えてくれたこと』という番組も観て、
    いろいろ考えるところがあったけど、
    今回はまた違う視点で向田作品が読めて、読書の面白さを再確認した気がする。

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著者プロフィール

一九六五年埼玉県生まれ。八八年に田中裕二と「爆笑問題」を結成。二〇一〇年初めての小説『マボロシの鳥』を上梓。そのほかの著書に『違和感』『芸人人語』『笑って人類!』などがある。

「2023年 『文明の子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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